作業者が現場を変える:現場発信型の改善(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 作業者が現場を変える 

 前回の固定観念を取り払え:現場発信型の改善(その2)から、続けて解説します。昔大手調味料メーカーの女子社員が考えたある改善案、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんがそれは「中蓋の穴径を大きくする」というものでした。そうすることで消費量が増え売り上げ増につながるというアイデアだったわけです。穴径を若干広げることで気づかぬうちに消費が増えてしまうということです。これは「なるほど!」と思ってしまう良いアイデアです。

 このように社員からさまざまなアイデアを集めることで会社収益向上に貢献ができるわけです。ここで重要なことは大きな改善案を求めるというよりも小さくてもよいので数を集めるということではないでしょうか。

 そこで「提案制度」が生きてくるわけです。この制度を始める際にはとにかく壁を下げることです。どんな小さなことでもよい、ただし必ず月に何件かは提出させるというルールにすることです。

 さらに望ましいのは報奨を伴う制度にすることです。報奨はその提案の効果の大きさによって決めればよいでしょう。ただし参加賞としてわずかな金額でもよいのでどの提案に対しても与えるようにします。

 特に優れた提案に対しては社長賞を与え、皆の前で褒めることがモチベーションアップにつながるのです。提案に対してはポイントを定め一定のポイントに達したら初段、さらに進むと2段といったように提案有段制度にするのも面白いかもしれません。

 

 社員は仕事にやりがいを求めています。給与で報いることも重要です。しかしその職場で自身が貢献しているということを承認するためにはその社員発信のアイデアを採用していくことかもしれません。その現場を一番よく知っているのはそこで実際に働いている作業者の方たちです。ある程度裁量を与え、自...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 作業者が現場を変える 

 前回の固定観念を取り払え:現場発信型の改善(その2)から、続けて解説します。昔大手調味料メーカーの女子社員が考えたある改善案、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんがそれは「中蓋の穴径を大きくする」というものでした。そうすることで消費量が増え売り上げ増につながるというアイデアだったわけです。穴径を若干広げることで気づかぬうちに消費が増えてしまうということです。これは「なるほど!」と思ってしまう良いアイデアです。

 このように社員からさまざまなアイデアを集めることで会社収益向上に貢献ができるわけです。ここで重要なことは大きな改善案を求めるというよりも小さくてもよいので数を集めるということではないでしょうか。

 そこで「提案制度」が生きてくるわけです。この制度を始める際にはとにかく壁を下げることです。どんな小さなことでもよい、ただし必ず月に何件かは提出させるというルールにすることです。

 さらに望ましいのは報奨を伴う制度にすることです。報奨はその提案の効果の大きさによって決めればよいでしょう。ただし参加賞としてわずかな金額でもよいのでどの提案に対しても与えるようにします。

 特に優れた提案に対しては社長賞を与え、皆の前で褒めることがモチベーションアップにつながるのです。提案に対してはポイントを定め一定のポイントに達したら初段、さらに進むと2段といったように提案有段制度にするのも面白いかもしれません。

 

 社員は仕事にやりがいを求めています。給与で報いることも重要です。しかしその職場で自身が貢献しているということを承認するためにはその社員発信のアイデアを採用していくことかもしれません。その現場を一番よく知っているのはそこで実際に働いている作業者の方たちです。ある程度裁量を与え、自分たちで現場を変えることができるようにすることも必要です。

 単に日々の作業を淡々と流すだけではなく、考えさせ、変えさせる、これこそがその人たちのモチベーションを向上させる最良のしかけだと思います。皆さんの会社でも作業者の方が参加できる仕組みを導入し、どんどん現場から良いアイデアを吸い上げていきましょう。きっと会社が活性化して行くことは間違いないでしょう。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCMの定義と長期的価値

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない 【連載記事紹介】

  ◆ ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れないとは ネット時代は個別化要求時代で、多様化した商品を並べても選択するよりは、自分だけの...

  ◆ ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れないとは ネット時代は個別化要求時代で、多様化した商品を並べても選択するよりは、自分だけの...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その9)

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...

   前回のその8に続いて解説します。   3. ブルウィップ克服の方向性    それでは、ブルウィップを克服する...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
荷主の思いと期待値:物流顧客のニーズを知る(その1)

  ◆ 荷主の思いと期待値  荷主会社が物流をアウトソースした際に時々次のような意見が出ます。 「思っていたほど物流改善が進まなか...

  ◆ 荷主の思いと期待値  荷主会社が物流をアウトソースした際に時々次のような意見が出ます。 「思っていたほど物流改善が進まなか...


  部下の評価とは:物流管理者の育て方(その6)

  ◆ 部下の評価 物流管理者が部下を評価する際には、公平公正に行うことが重要です。上司が評価する能力を持っていない部下は可哀そうです。...

  ◆ 部下の評価 物流管理者が部下を評価する際には、公平公正に行うことが重要です。上司が評価する能力を持っていない部下は可哀そうです。...


物流業が製造業に学ぶこととは

    1. 物流作業速度の違い  日本の産業の内、グローバルで競争力のあるものはそれほど多くありません。競争力に優れているという産業は製造業の一...

    1. 物流作業速度の違い  日本の産業の内、グローバルで競争力のあるものはそれほど多くありません。競争力に優れているという産業は製造業の一...