物流事業者連絡会:物流協力会社の育て方(その2)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

 少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤配がわかるような管理水準の会社もあるので、まずはその要因をきちんと調べてもらい二度と同じ過ちを繰り返さないように指導する必要があります。

 この時にもしかしたら誤配の真の要因をその物流事業者が把握できない可能性があります。表面上の現象だけをとらえてそれだけに手を打つケースがあるのです。私たちの改善でもこのようなことが無いように注意が必要ですが、あまり改善活動に取り組んだことの無い事業者であれば改善の仕方を教えてあげることも必要かもしれません。

 物流エラーが発生している場合その実態をきちんと物流事業者に伝え、改善施策を提出してもらう必要があります。

 

 メーカーと物流事業者とではこの改善ノウハウに大幅なギャップがあります。「改善して欲しい」と言われれば「はい、わかりました」と答えが返ってきますがもし何度もエラーを繰り返す会社であればノウハウに問題があると考えた方がよいと思います。

 一度一緒になって改善活動に取り組んであげるような大きな心で対応してあげましょう。もしそれを受け入れない会社であれば会社を変えればよいだけです。もし複数の物流事業者と取引があるのであれば月次で物流事業者連絡会を開催してみてはいかがでしょうか。

 この連絡会では荷主会社の生産状況、将来の見通し、イベント情報などを通知する一方、物流事業者の改善状況報告や要望事項などの話をしてもらい情報の共有化を図ります。そして併せてこの連絡会の中で各社の物流品質の状況を報告します。もちろん全取引会社が参加していますのでそこで恥をかきたくありません。

 このような形でそれとなくプレッシャーをかけることも重要ではないでしょうか。物流事業者もうるさい客の方に目が向くのは当然です。問題があっても何もアクションをとらないような顧客は軽視される可能性もあるのです。そうならないように荷主側としても物流品質向上のための活動は確立しておかなければなりません。

 これが一般的に言われているサプライヤーマネジメントというものです。取引先をマネジメントできないのであれば求める品質を享受できない可能性もあるのです。

 

 次回に続きます。

 


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その7)

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...

第7回 道具5「物流評価シート」(上) 前回のその6に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.物流評価の目的を理解し...


競争社会の中のサプライチェーンマネジメント

 グローバルな経済圏の中で大きなビジネス環境変化が起こっており、昨日の成功企業が苦戦しています。今日の成功企業でも明日は分かりません。規制緩和が新規参入を...

 グローバルな経済圏の中で大きなビジネス環境変化が起こっており、昨日の成功企業が苦戦しています。今日の成功企業でも明日は分かりません。規制緩和が新規参入を...


サプライチェーンもTビジネスからeビジネスへ

 あらゆるビジネスが、伝統的な従来の商売のやり方(トラィデショナル:Tビジネス)から、コンピュータとインターネットを使った商売のやり方(エレクトロニクス:...

 あらゆるビジネスが、伝統的な従来の商売のやり方(トラィデショナル:Tビジネス)から、コンピュータとインターネットを使った商売のやり方(エレクトロニクス:...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
在庫の理由を明確に:在庫意識を高く持つ(その1)

  ◆ 在庫の理由を明確に 在庫は「罪固」と揶揄されることもありますが、顧客に迷惑をかけない程度で少なければ少ないほど良いとされることが...

  ◆ 在庫の理由を明確に 在庫は「罪固」と揶揄されることもありますが、顧客に迷惑をかけない程度で少なければ少ないほど良いとされることが...


ビジネスと採算 物流会社と荷主会社の関係性(その1)

  ◆ 物流価格値上げと契約解除申請  サプライチェーンにとって、コスト増と輸送能力の減少は大きな問題です。この要因としてドライバー不足...

  ◆ 物流価格値上げと契約解除申請  サプライチェーンにとって、コスト増と輸送能力の減少は大きな問題です。この要因としてドライバー不足...


物流情報への取組み方で物流コストが変わる 物流情報の一元化でコスト削減(その3)

◆ サービスレベルアグリーメントとKPI  各部門が各々の発注窓口から同一の物流会社に発注している場合は、発注窓口を一カ所とし、そこから物流会社に発...

◆ サービスレベルアグリーメントとKPI  各部門が各々の発注窓口から同一の物流会社に発注している場合は、発注窓口を一カ所とし、そこから物流会社に発...