サプライチェーンとしての物流設計 真の物流事業者(その1)

投稿日

 
  物流
 
 日本では古くからトラックなどを使って運送を行う事業者を運送事業者、倉庫で保管業務を行う事業者を倉庫事業者と呼んできました。モノの流れをトータルで見ていくと、一時ストックを行いながらモノを運んでいくという行為が自然に発生します。
 

1. 物流事業者とは

 モノの保管と運送を合わせたところで「物流」と呼ぶようになりました。そしてこの保管と運送の両方ができる事業者を物流事業者と呼ぶようになったわけです。
 
 少し物流の領域が広がったためにこのように呼ばれるようになったわけですが、一般的に物流という解釈では単純な保管や運送にとどまらず、その行為をコントロールする管理業務の方が重視されるようになりつつあります。
 
 さらに物流は最初の設計でその効率は決定してしまうため、物流発生以前の活動がより重視されてしかるべきです。
 
 これを物流設計と呼んだ場合、その設計業務ができる会社こそ、「物流事業者」と呼ぶにふさわしい存在であると考えられるのです。
 
 それはサプライチェーン設計の一部であると思われます。どこからモノを調達し、どこで生産を行い、どこに販売するのか。これをつないでいくことが物流の役割でもあるのです。
 
 では今の物流事業者がこの重要業務を行っているかといえば、それはほとんど手が付けられていません。むしろこの物流設計業務はサプライチェーンのホルダーである、物流用語でいうところの「荷主企業」が行っています。
 

2. 物流設計業務とは

 今現在、物流設計業務ができる主たる「物流事業者」は「自動車メーカー」であると思われます。日本では最も進んだサプライチェーンを構築している自動車メーカーです。...
 
  物流
 
 日本では古くからトラックなどを使って運送を行う事業者を運送事業者、倉庫で保管業務を行う事業者を倉庫事業者と呼んできました。モノの流れをトータルで見ていくと、一時ストックを行いながらモノを運んでいくという行為が自然に発生します。
 

1. 物流事業者とは

 モノの保管と運送を合わせたところで「物流」と呼ぶようになりました。そしてこの保管と運送の両方ができる事業者を物流事業者と呼ぶようになったわけです。
 
 少し物流の領域が広がったためにこのように呼ばれるようになったわけですが、一般的に物流という解釈では単純な保管や運送にとどまらず、その行為をコントロールする管理業務の方が重視されるようになりつつあります。
 
 さらに物流は最初の設計でその効率は決定してしまうため、物流発生以前の活動がより重視されてしかるべきです。
 
 これを物流設計と呼んだ場合、その設計業務ができる会社こそ、「物流事業者」と呼ぶにふさわしい存在であると考えられるのです。
 
 それはサプライチェーン設計の一部であると思われます。どこからモノを調達し、どこで生産を行い、どこに販売するのか。これをつないでいくことが物流の役割でもあるのです。
 
 では今の物流事業者がこの重要業務を行っているかといえば、それはほとんど手が付けられていません。むしろこの物流設計業務はサプライチェーンのホルダーである、物流用語でいうところの「荷主企業」が行っています。
 

2. 物流設計業務とは

 今現在、物流設計業務ができる主たる「物流事業者」は「自動車メーカー」であると思われます。日本では最も進んだサプライチェーンを構築している自動車メーカーです。
 
 もちろん、彼らは知らず知らずのうちに物流設計業務を始め、グローバルで展開しています。元々は物流を専門にやってきた人ではなく、生産技術や生産管理を行ってきたメンバーなのです。
 
 では一般的に物流事業者と呼ばれる業界に物流設計業務ができず、それがメーカーにできるのは何故でしょうか。これは仕事の取組み領域にヒントがある気がします。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンマネジメントと情報共有

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...

       1. サプライチェーンマネジメント   サプライチェーンというキーワードが出回り始めたのは1990年代中頃からだったと思います。...


サプライチェーンの構造的・長期的な課題、サプライチェーン戦略とは

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...

   サプライチェーンマネジメントに対して、サプライチェーン戦略はより長期的・構造的なサプライチェーンの改善課題を扱います。従来から行なわれて...


格差が拡がるSCM   SCM最前線(その1)

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...

 サプライチェーンマネジメントのレベルアップは、一朝一夕ではできません。長い時間が掛かります。資金を大量に投入しても、なかなかこの時間を買うことはできませ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
  物流業務が貢献できること:物流作業をシンプル化せよ(その1)

  ◆技能向上をサポートできる物流サービス 伝統的な料理業界では未だに「仕事は先輩から盗め」とか「飯炊き〇年」といったことが言われている...

  ◆技能向上をサポートできる物流サービス 伝統的な料理業界では未だに「仕事は先輩から盗め」とか「飯炊き〇年」といったことが言われている...


荷主から頼られる物流マンとは 物流マンが備えるべきスキル(その3)

◆ 質問力と会話力  物流マンとしてはサプライチェーン全体を見渡し、各工程でどのような問題点が潜んでいるのか推測できなければなりません。そして、それ...

◆ 質問力と会話力  物流マンとしてはサプライチェーン全体を見渡し、各工程でどのような問題点が潜んでいるのか推測できなければなりません。そして、それ...


現場収益の向上、人財育成 物流業センター長の役割(その1)

  ◆ 会社収支の認識と人財育成  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになり...

  ◆ 会社収支の認識と人財育成  現場の管理職、その長のマネジメント次第で現場のパフォーマンス、そして会社の収益が全く違ったものになり...