金型改修の後にとるべき処置とは

更新日

投稿日

 
  生産マネジメント
 
 今回は、すでに量産体制に入った金型において、例えば故障や製品不良が起こった際に行う金型改修の後にとるべき処置について解説します。
 
 何といっても量産体制に入っていて生産中の金型トラブルということになれば、事は急を要すると思いますので、まずは応急的な処置を行うかと思います。例えば、パンチが折れたり、ダイスが割れたりといったトラブルに対する処置が考えられます。
 
 また、順送プレスであれば、跳ねあがりや腰折れ、吊り上がり防止のための追加部品を取り付ける処置もあるかもしれません。
 
 そういった金型は、設計上の問題であれば、生産計画のロット数が打ち終わり次第、プレス機から降ろされるタイミングなどで、再発しないよう恒久的な対策が取られると思います。
 
 ここまでを 手順 → 対策 でまとめますと、次のようです。
 
  • 金型トラブルが発生 → 応急処置
  • 再発防止のため → 恒久処置
 
 私が見てきた中で、ここまでの流れを社内の標準的なプロセスとしているメーカーは多いようです。しかしながらもう一段階、この先の「標準化」プロセスが必要です。
 
 例えば考え方として、金型A、金型B、金型Cなど、個々の金型(製品)それぞれに対してとられる対策が応急処置や恒久処置であり、発生するトラブルごとにカテゴリーを分け、複数の金型で共通的な対策を設計段階から盛り込んでいくのが「標準化」の考えです。
 
 例えば、順送プレスであれば、カス上がり対策としてストリップレイアウトの外形トリムや分断トリム形状に引っ掛かりを設けるとか、吊り上がり対策で上型に、板厚や形状に応じた一定のルールで払い機構を設けるなどがあります。
 
 こうした標準化は、いずれ社内の「設計規格」として文書化していくことになり、金型メーカーに発注する際の金型仕様書として使うこともできます。
 
 ちなみに設計規格には、金型コストに応じた「グレード」別の標準ルールも盛り込まれることがありますが、この場合まずは、松竹梅のうち、松の品質で標準化し、掛けられるコストに応じて、竹→梅といったように段階的なグレートダウンを行って標準ルールを設定していく手順が望ましいと思います。
 
 最後にここまでをまとめますと次のようです。
 
  • 金型トラブルが発生 → 応急処置
  • 再発防止のため → 恒久処置
  • 設計段階から盛り込める対策を作る &...
 
  生産マネジメント
 
 今回は、すでに量産体制に入った金型において、例えば故障や製品不良が起こった際に行う金型改修の後にとるべき処置について解説します。
 
 何といっても量産体制に入っていて生産中の金型トラブルということになれば、事は急を要すると思いますので、まずは応急的な処置を行うかと思います。例えば、パンチが折れたり、ダイスが割れたりといったトラブルに対する処置が考えられます。
 
 また、順送プレスであれば、跳ねあがりや腰折れ、吊り上がり防止のための追加部品を取り付ける処置もあるかもしれません。
 
 そういった金型は、設計上の問題であれば、生産計画のロット数が打ち終わり次第、プレス機から降ろされるタイミングなどで、再発しないよう恒久的な対策が取られると思います。
 
 ここまでを 手順 → 対策 でまとめますと、次のようです。
 
  • 金型トラブルが発生 → 応急処置
  • 再発防止のため → 恒久処置
 
 私が見てきた中で、ここまでの流れを社内の標準的なプロセスとしているメーカーは多いようです。しかしながらもう一段階、この先の「標準化」プロセスが必要です。
 
 例えば考え方として、金型A、金型B、金型Cなど、個々の金型(製品)それぞれに対してとられる対策が応急処置や恒久処置であり、発生するトラブルごとにカテゴリーを分け、複数の金型で共通的な対策を設計段階から盛り込んでいくのが「標準化」の考えです。
 
 例えば、順送プレスであれば、カス上がり対策としてストリップレイアウトの外形トリムや分断トリム形状に引っ掛かりを設けるとか、吊り上がり対策で上型に、板厚や形状に応じた一定のルールで払い機構を設けるなどがあります。
 
 こうした標準化は、いずれ社内の「設計規格」として文書化していくことになり、金型メーカーに発注する際の金型仕様書として使うこともできます。
 
 ちなみに設計規格には、金型コストに応じた「グレード」別の標準ルールも盛り込まれることがありますが、この場合まずは、松竹梅のうち、松の品質で標準化し、掛けられるコストに応じて、竹→梅といったように段階的なグレートダウンを行って標準ルールを設定していく手順が望ましいと思います。
 
 最後にここまでをまとめますと次のようです。
 
  • 金型トラブルが発生 → 応急処置
  • 再発防止のため → 恒久処置
  • 設計段階から盛り込める対策を作る → 標準化
 
 ぜひ、恒久処置だけで終わらず、標準化のステップまでを社内プロセスにして、強固な自社の「設計規格」を作り上げてください。この点については、社内で金型を内製している、していないにかかわらず必要なステップかと思います。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

村上 英樹

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント

金型・部品加工業専門コンサルティングです!販路開拓・生産改善・外注費削減の3つを支援するトライアングル支援パッケージ、技術を起点とする新しい経営コンサルタント


「生産マネジメント総合」の他のキーワード解説記事

もっと見る
納期遵守率を向上させるには 見える化(その6)

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...

【見える化 連載目次】 1. 情報の取り扱いで競争力をつける 2. 見えないことの方が大切なことがある 3. 職場の全員がコスト意識を持つに...


中国工場の実状を知る、部品・材料について 中国工場の品質改善(その34)

 前回のその33に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.4 三つの歯車の実践で管理された工場にする】  第3章...

 前回のその33に続いて解説します。 【第3章】(自社)中国工場、品質管理の進め方 【3.4 三つの歯車の実践で管理された工場にする】  第3章...


現場改善で空間を空ける意味 儲かるメーカー改善の急所101項(その81)

  6、強いモノづくり ◆ 改善で生み出された空間は新事業へのポテンシャル  2021年、新型コロナウィルス感染拡大により、私たちを取...

  6、強いモノづくり ◆ 改善で生み出された空間は新事業へのポテンシャル  2021年、新型コロナウィルス感染拡大により、私たちを取...


「生産マネジメント総合」の活用事例

もっと見る
成膜装置のワーク保持動作のダメージ・発塵対策へのアイデア

       成膜装置においてはワーク(製品)のハンドリングも大切なポイントです。ワークを保持する搬送トレイ(搬送キャリア)では、ワークを安定的に保...

       成膜装置においてはワーク(製品)のハンドリングも大切なポイントです。ワークを保持する搬送トレイ(搬送キャリア)では、ワークを安定的に保...


仕入先から直接顧客に納入した部品でクレーム 中国企業の壁(その40)

        建設用の組立ユニットを生産している中国企業の工場では、自分の工場で部材を調達・加工、そしてサブアッセンブリーをした上で顧客に納入して...

        建設用の組立ユニットを生産している中国企業の工場では、自分の工場で部材を調達・加工、そしてサブアッセンブリーをした上で顧客に納入して...


製品開発と金型の設計製作を社内で一貫体制 伸びる金型メーカーの秘訣 (その33)

       今回紹介する金型メーカーは、株式会社Wの本社に所属する製造部 工作課です。同社は、国内及びアジア地域をは...

       今回紹介する金型メーカーは、株式会社Wの本社に所属する製造部 工作課です。同社は、国内及びアジア地域をは...