現場同士の話し合いのみで契約内容を変更 荷主と物流事業者の関係(その3)

投稿日

 
  SCM
 
 荷主と物流事業者の間で、特に現場同士の話し合いのみで契約内容を変更してしまう傾向があるようです。しかしそう簡単に契約内容を変更してしまってよいのかというと、それには問題ありと言わざるを得ません。よくあるパターンが、契約内容に含まれていない細かい仕事を荷主が物流事業者に気軽に頼んでしまうことです。
 
 たとえば在庫報告。契約には在庫報告を実施する旨含まれていなかったとします。しかし物流事業者に保管業務を委託している荷主からしてみれば在庫報告は常識であり、あえて契約書に明記しなかったということも考えられます。このような場合、荷主から物流事業者の現場(この場合倉庫)に対して電話で日々在庫報告をFAX送信で行うように依頼することがあります。小さなことかもしれませんが、これによって物流事業者側にコストが発生します。このケースであれば人件費と通信費ということになります。
 
 物流事業者の現場サイドも「これくらいならサービスで(無料で)対応してもよいだろう」と考え、気軽に受けてしまうことが多いようです。でもこのようなことが重なると、物流事業者の収支にも影響が出てきます。ふたを開けてみたら儲からない事業所があり、その要因が追加業務を無料で行っていた、というようなことが起こりかねません。
 
 日本は欧米に比べて「契約」に関する意識が薄いようです。ビジネスはすべてお互いの決め事である「契約」によって成り立っています。ですから、取引内容を変えることは契約内容を変えることです。そしてほとんどの場合、契約内容が変われば支払価格も変わるはずなのです。
 
 仮にわずかな金額であったとしても、契約金額は変えなければなりません。現場サイドが勝手に無償で仕事を引き受けることなど、コンプライアンス上あってはならないことです。今見直すべき取引条件の中にこのような事象があればぜひ修正していきたい...
 
  SCM
 
 荷主と物流事業者の間で、特に現場同士の話し合いのみで契約内容を変更してしまう傾向があるようです。しかしそう簡単に契約内容を変更してしまってよいのかというと、それには問題ありと言わざるを得ません。よくあるパターンが、契約内容に含まれていない細かい仕事を荷主が物流事業者に気軽に頼んでしまうことです。
 
 たとえば在庫報告。契約には在庫報告を実施する旨含まれていなかったとします。しかし物流事業者に保管業務を委託している荷主からしてみれば在庫報告は常識であり、あえて契約書に明記しなかったということも考えられます。このような場合、荷主から物流事業者の現場(この場合倉庫)に対して電話で日々在庫報告をFAX送信で行うように依頼することがあります。小さなことかもしれませんが、これによって物流事業者側にコストが発生します。このケースであれば人件費と通信費ということになります。
 
 物流事業者の現場サイドも「これくらいならサービスで(無料で)対応してもよいだろう」と考え、気軽に受けてしまうことが多いようです。でもこのようなことが重なると、物流事業者の収支にも影響が出てきます。ふたを開けてみたら儲からない事業所があり、その要因が追加業務を無料で行っていた、というようなことが起こりかねません。
 
 日本は欧米に比べて「契約」に関する意識が薄いようです。ビジネスはすべてお互いの決め事である「契約」によって成り立っています。ですから、取引内容を変えることは契約内容を変えることです。そしてほとんどの場合、契約内容が変われば支払価格も変わるはずなのです。
 
 仮にわずかな金額であったとしても、契約金額は変えなければなりません。現場サイドが勝手に無償で仕事を引き受けることなど、コンプライアンス上あってはならないことです。今見直すべき取引条件の中にこのような事象があればぜひ修正していきたいものです。ただし一点判断が難しいことがあります。物流事業者側から「無償で安請け負いした仕事」が何年も、場合によっては10年以上にもわたって行われてきた場合です。
 
 このようなケースでは今までも価格見直しの機会は多々あったわけですから、それを行ってこなかったということは、お互いの合意があったと考えられるのです。つまり今の取引価格にそのサービス分が含まれているという解釈です。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンマネジメントの最終目標とは

 サプライチェーンマネジメントは、企業のキャッシュフローのスピードを上げて、企業の生命力を強くすることが最終目標です。血液の流れが円滑であることが生命力の...

 サプライチェーンマネジメントは、企業のキャッシュフローのスピードを上げて、企業の生命力を強くすることが最終目標です。血液の流れが円滑であることが生命力の...


サプライチェーンの戦略的経営モデル -人間系と情報技術(ICT)の融合-

 生産財メーカーの今後の経営モデルをサプライチェーンの原理原則からみると、熟練をベースとした人間系と情報技術(ICT)の融合といえます。「BTB(ビジネス...

 生産財メーカーの今後の経営モデルをサプライチェーンの原理原則からみると、熟練をベースとした人間系と情報技術(ICT)の融合といえます。「BTB(ビジネス...


コア・コンピタンスを再定義する

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...

 大手企業・完成品セットメーカーのコア・コンピタンスは、量産立ち上げの早い生産技術かも知れないし、熟練した開発設計技師の開発スピードや会社のハイテク技術製...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
社員みんなが本気になる 物流改善技術とともに大切なこと(その2)

◆ 社員みんなが本気になる  会社を変えるために最も必要だと思われることが「社員みんなが本気になる」ということでしょう。よく社員に危機意識が欠けてい...

◆ 社員みんなが本気になる  会社を変えるために最も必要だと思われることが「社員みんなが本気になる」ということでしょう。よく社員に危機意識が欠けてい...


リターナブル容器:梱包品質向上の進め方(その3)

  ◆リターナブル容器 梱包は包装とかパッケージ、荷姿などと呼ばれます。この内企業間の梱包を「工業包装」、一般消費者向けの梱包を「商業包...

  ◆リターナブル容器 梱包は包装とかパッケージ、荷姿などと呼ばれます。この内企業間の梱包を「工業包装」、一般消費者向けの梱包を「商業包...


物流情報への取組み方で物流コストが変わる 物流情報の一元化でコスト削減(その3)

◆ サービスレベルアグリーメントとKPI  各部門が各々の発注窓口から同一の物流会社に発注している場合は、発注窓口を一カ所とし、そこから物流会社に発...

◆ サービスレベルアグリーメントとKPI  各部門が各々の発注窓口から同一の物流会社に発注している場合は、発注窓口を一カ所とし、そこから物流会社に発...