5Sと人財育成の事例(小樽にて)

 クリーン化では、人財育成も重要だと言うことを常々説明しています。今回は直接のクリーン化自体からは少々離れますが、高校生のマナーについて、私が感激した事例を紹介します。非常に心打たれた良い話です。

 ものづくり革新ナビでは、北海道の方もお読みになっていると思います。以下に取り上げた高校の事例について、ご存じの方もいらっしゃるのではないかと思います。とりわけ小樽や札幌の方でしたらぴんと来るかも知れません。

 ある年の年末、ふと思い立って北海道を旅行しました。北海道と言っても、冬の時期ですから、広範囲ではなく主に札幌、小樽中心でした。札幌ではホワイトイルミネーション、小樽では新鮮な魚介類を中心とした寿司や海鮮丼等食べることが目当てで、他のことはあまり意識していませんでした。

 12月でしたが、雪ではなく冷たい霙が降り、傘を持つ手がかじかむような夕方、一通り観光を終え、小樽から札幌へ向かう電車に乗りました。車内には、部活帰りと思われる男子高校生も大勢乗っていました。お腹がすくのでしょう。パンやカップラーメンを食べながらも静かに談笑していました。通路を挟んで隣にも高校性が座っていました。鞄や服装から、この車両に乗っている殆どは、小樽のある高校の生徒だと分かりました。

 電車が次の駅、次の駅と停まるたびに高校生が一人、二人と降りて行く。すると、二人掛けの座席がぽつぽつと空いて行く。このあとが驚きでした。この空いた席に、こちらも一人になった高校生が移動し、どんどん詰めて座って行ったんです。従って、一人で座席を占有しているところはありませんでした。前の席、後ろの席で空いたメンバーと連絡を取り合いながらスムーズに移動し、つめて行くのです。

 シートを倒すと4人掛けになったり二人掛けになったりする座席です。4人掛けをしていて二人になると、シートを倒し、二人で並んで座るようにしていました。次の駅、次の駅と到着のたびに、同じ風景が繰り返されました。常に多くの席を空けるための行動が自然にできているのです。この移動時に、自分たちが食べた後のゴミもきちんと持って移動し、座席も綺麗になっていました。“立つ鳥跡を濁さず”と言ったところでしょうか。ちょっとクリーン化との繋がりも感じました。

 次の駅に到着する前に、このように、次のお客様のためにゴミを片付けたり、座れる準備をして降りて行くので、途中駅から乗り込んできたお客様も気持ち良く、また多くのお客様が座われることになります。見ていても本当に清々しい気持ちになりました。

 これってもしかすると、次のお客様を意識した行動、ちょっと変形してはいるもののCS(顧客満足度)向上そのものではないかと思いました。これが自然と出来ているんです。本来は、JRCS対象が乗客ですが、ここでは、乗客同士が相互にCS対象ですね。その辺を指して、ちょっと変形と言う表現をしました。

 今時の高校生、ここまで大勢が徹底してやるところがあるだろうかと思いました。寒い中を震えながら電車に乗って、ほっとした部分もあると思いますが、心温まる風景でした。私も随分長い間、電車通勤をしましたが、車内で高校生が何人かが集まると、大騒ぎしたり、通路に荷物を置いたり、携帯電話の操作などの姿を見てもがっかりすることが多かったですし、注意出来ない雰囲気も有りました。ところが、この小樽の高校生の行動を見て、日本の心が蘇ったようで、心洗われる思いでした。これは、学校の躾や校風だろうか、家庭の躾だろうか。それとも北海道の道民性だろうか感心したものです。

 おそらく学校での教育や躾の部分が大半だろうと思いますが、表面的な教育では、普通は校門を出ると乱れるものです。それが、校外でも自然に、しかもきちんとできることに、表面だけの教育や躾ではないと感心しました。学校での成績が優秀だと、何をやっても大目に見るとか優遇される風潮もあるけれど、こういう人財を育てることが真の教育だと感じました。また、こういう人達ほど成績が優秀なのではないかと思います。

 このことについては、私が執筆した本の人財育成の部分にも載せてありますが、そのことも含め、該当の高校の校長先生に、大変感激したと手紙を差し上げました。その校長先生のお手紙の内容を見ますと、真の教育とは何かを常に探っていると感じました。常に現在進行形なんですね。

 近年、“最近の若者は”という声を良く聞きますし、これからの日本大丈夫なのかと思う時も有りましたが、こういう風景を見て安心したり、関心したりしました。こういう若者が、これからの日本を支えて行くんですね。 

 今になると、旅行の当初の目的はどこかへ吹き飛んでしまいましたが、この心温まる高校生の行動のみが新鮮に思い出されます。貴重な思い出です。私もいつまでも心に残るような、こういう人財育成に関わりたかったと思います。


この記事の著者

清水 英範

ゴミによる品質問題への対応(クリーン化活動)を中心に、安全、人財育成等も含め多面的、総合的なアドバイス。クリーンルームの有無に限らず現場中心に体質改善、強化のお手伝いをいたします。

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