なぜ標準時間が導入されていないのか 物流標準時間導入成功のポイント(その1)

投稿日

 
 SCM
 
 生産工程では当たり前に導入されている標準時間ですが、物流工程ではほとんどの会社で標準時間は導入されていません。しかし、生産作業でも物流作業でも考え方は同じであり、一つひとつの作業ごとに実施すべき時間値というものは決まっていなければなりません。
 
 ではなぜ物流工程では標準時間が導入されていないのでしょうか。
 
 いくつか理由がありますが、その一つが標準時間を導入するノウハウが無いということでしょう。メーカーは生産工程は生産技術部門がしっかりと面倒を見る体制が整っていますが、物流工程についてなぜか生産技術は自分たちのテリトリーと認識しません。結果的にどこも面倒を見てくれることもなく、宙ぶらりん状態になってしまっているのが物流なのです。
 
 他部門で面倒を見てくれないのであれば、自分たちで実施するしかありません。外部講習を受けるか、メーカーであれば生産工程の標準時間を設定した人に習うかして、標準時間を設定できるようにします。
 
 物流標準時間が設定されない別の理由として、用途が不明確だということが挙げられます。一般的に標準時間は適正な要員算出や労働生産性把握に使います。物流工程では要員は勘で算出され、たいていの場合常時過剰の状態にあります。また労働生産性の把握などは行っていません。
 
 つまり現状の多くの場合において、標準時間が無くても問題が発生していないのです。でもこの状態がよいわけではないことに気づく必要があります。
 
 生産工程がやっていることと同様のことを物流工程で行うとしたら、物流標準時間は必ず必要だということになります。ではこの標準時間を導入するにあたって、成功のポイントは何になるのでしょうか。
 

◆ 物流標準時間導入成功のポイント

 その1つは「難しくしすぎない」、「細かくしすぎ...
 
 SCM
 
 生産工程では当たり前に導入されている標準時間ですが、物流工程ではほとんどの会社で標準時間は導入されていません。しかし、生産作業でも物流作業でも考え方は同じであり、一つひとつの作業ごとに実施すべき時間値というものは決まっていなければなりません。
 
 ではなぜ物流工程では標準時間が導入されていないのでしょうか。
 
 いくつか理由がありますが、その一つが標準時間を導入するノウハウが無いということでしょう。メーカーは生産工程は生産技術部門がしっかりと面倒を見る体制が整っていますが、物流工程についてなぜか生産技術は自分たちのテリトリーと認識しません。結果的にどこも面倒を見てくれることもなく、宙ぶらりん状態になってしまっているのが物流なのです。
 
 他部門で面倒を見てくれないのであれば、自分たちで実施するしかありません。外部講習を受けるか、メーカーであれば生産工程の標準時間を設定した人に習うかして、標準時間を設定できるようにします。
 
 物流標準時間が設定されない別の理由として、用途が不明確だということが挙げられます。一般的に標準時間は適正な要員算出や労働生産性把握に使います。物流工程では要員は勘で算出され、たいていの場合常時過剰の状態にあります。また労働生産性の把握などは行っていません。
 
 つまり現状の多くの場合において、標準時間が無くても問題が発生していないのです。でもこの状態がよいわけではないことに気づく必要があります。
 
 生産工程がやっていることと同様のことを物流工程で行うとしたら、物流標準時間は必ず必要だということになります。ではこの標準時間を導入するにあたって、成功のポイントは何になるのでしょうか。
 

◆ 物流標準時間導入成功のポイント

 その1つは「難しくしすぎない」、「細かくしすぎない」ということでしょう。物流標準時間は難しいものだとか、できるだけ精緻に設定すべきだと考えると失敗しやすいと思います。
 
 なぜなら物流標準時間は未来永劫に使っていくべきもので、そのメンテナンスが常に必要となるからです。あまりに細かくしすぎると、このメンテナンス工数が膨大となり、途中で投げ出すような形になりかねないのです。
 
 次回も、物流標準時間導入成功のポイント解説を続けます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCMの一環としての輸送とは 儲ける輸送改善 (その3)

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...

  【儲ける輸送改善とは 連載目次】 1.輸送改善はなぜ『おいしい』のか 2.輸送改善のための工場環境整備とは ...


回収作業について 物流改善ネタ出し講座 (その7)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


SCMの定義と長期的価値

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...

1.サプライチェーンの需要と供給はコインの表裏  生産も販売も、顧客から見ると供給業務の連鎖です。また生産から見ると販売は需要であり、販売からみれば生産...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流は認知されているか、地位向上を考える(その1)

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...


在庫マネジャーの育成とは

1. サプライチェーンにおける在庫管理    物流コスト改善アイテムの筆頭に挙げられる在庫改善。どこの会社でも例外なく在庫管理に注力しているようです...

1. サプライチェーンにおける在庫管理    物流コスト改善アイテムの筆頭に挙げられる在庫改善。どこの会社でも例外なく在庫管理に注力しているようです...


コーチングの活用とは:物流管理者の育て方(その5)

  ◆ コーチングの活用 前回、解説しましたが、コーチングのスキルの一つ目は「聞く」スキル。二つ目のスキルは「質問」でした。今回は、スキルの三つ目...

  ◆ コーチングの活用 前回、解説しましたが、コーチングのスキルの一つ目は「聞く」スキル。二つ目のスキルは「質問」でした。今回は、スキルの三つ目...