パートナーとなって欲しい物流会社を探すには アウトソースを過信するな(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ 物流会社評価を実施する

 物流アウトソースを行った時に「こんなはずではなかった」という思いを持たれる荷主会社が多いようです。このような思いはどこから出てくるのでしょうか。

 この思いのギャップの一つが前回お話させていただいた「仕様書」です。仕様書を作成せずに「多分物流会社は自分たちの考えている物流をやってくれるだろう」という勝手な思い込みを持つことは危険です。仕様書を提示しなければ物流会社側でやり方を決めてしまいます。皆さんの思惑とは違った結果となることが大なのです。

 もう一つ「こんなはずではなかった」となる要因があります。それは物流会社の実力です。皆さんが物流会社は物流のプロだから、と思っていても、意外とそれほどでもないことにがっかりさせられることがあるのです。

 そこで物流会社にアウトソースする前に実施しておきたいのが「物流会社の評価」です。この基準は荷主会社がパートナーにはこういったレベルであってほしいという思いに基づいて決定します。

 評価項目は、S(安全)、Q(品質)、D(納期)、C(コスト)、M(マネジメント)の 5分野で設定していくのが良いでしょう。

 安全では過去の構内事故や交通事故の件数、安全教育の実施回数などを項目として設定します。その項目に対して5段階または4段階でレベルがわかるように評価基準を設定します。

 同様に品質では誤出荷率や輸送中のダメージ件数などを、デリバリーでは作業が予定時間通りできている比率、トラック出発や到着時刻の順守率を、コストでは年間改善件数やコスト削減率実績などを項目として設定します。

 マネジメントでは教育訓練計画通りに人材育成をしているかどうか、SQDC各項目の実績管理を実施しているかどうかなどについて項目として設定していきましょう。

...

サプライチェーンマネジメント

◆ 物流会社評価を実施する

 物流アウトソースを行った時に「こんなはずではなかった」という思いを持たれる荷主会社が多いようです。このような思いはどこから出てくるのでしょうか。

 この思いのギャップの一つが前回お話させていただいた「仕様書」です。仕様書を作成せずに「多分物流会社は自分たちの考えている物流をやってくれるだろう」という勝手な思い込みを持つことは危険です。仕様書を提示しなければ物流会社側でやり方を決めてしまいます。皆さんの思惑とは違った結果となることが大なのです。

 もう一つ「こんなはずではなかった」となる要因があります。それは物流会社の実力です。皆さんが物流会社は物流のプロだから、と思っていても、意外とそれほどでもないことにがっかりさせられることがあるのです。

 そこで物流会社にアウトソースする前に実施しておきたいのが「物流会社の評価」です。この基準は荷主会社がパートナーにはこういったレベルであってほしいという思いに基づいて決定します。

 評価項目は、S(安全)、Q(品質)、D(納期)、C(コスト)、M(マネジメント)の 5分野で設定していくのが良いでしょう。

 安全では過去の構内事故や交通事故の件数、安全教育の実施回数などを項目として設定します。その項目に対して5段階または4段階でレベルがわかるように評価基準を設定します。

 同様に品質では誤出荷率や輸送中のダメージ件数などを、デリバリーでは作業が予定時間通りできている比率、トラック出発や到着時刻の順守率を、コストでは年間改善件数やコスト削減率実績などを項目として設定します。

 マネジメントでは教育訓練計画通りに人材育成をしているかどうか、SQDC各項目の実績管理を実施しているかどうかなどについて項目として設定していきましょう。

 これら設定された項目を質問票にして物流会社に送付し、回答してもらいます。回答の際にはそのデータの裏付け資料を提出してもらうことで、その回答の正しさを担保するようにしましょう。

 この物流会社評価は物流会社のレベルを把握することが第一の目的ですが、もう一つ、皆さんの会社が真剣にパートナーとなって欲しい物流会社を探しているという真剣度が相手に伝えるという目的があります。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
部品メーカーのサプライチェーン戦略

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...

 どんな業界においても、マイクロソフトやインテルのようになる経営体は数社に限られるでしょう。  米国では完成品メーカーで直接サプライするモジュールメーカ...


レイアウトの考察 物流改善ネタ出し講座 (その9)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


第3のSCM:【精査】戦略と挙動をつなげる手法 

   前回の第3のSCM: 社会変革共創を前提とした唯一の戦略に続いて、解説します。   1. TOCの限界  SCM:サプライチェーンマネジ...

   前回の第3のSCM: 社会変革共創を前提とした唯一の戦略に続いて、解説します。   1. TOCの限界  SCM:サプライチェーンマネジ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
荷姿効率をKPIで評価する エンジニアリングとしての物流(その6)

 製品形状に対する改善要請は、常日頃「製品荷姿」を目にしている人が発信すべきだと思います。その立場にいる人とは、出荷担当者であり物流会社の担当者であるわけ...

 製品形状に対する改善要請は、常日頃「製品荷姿」を目にしている人が発信すべきだと思います。その立場にいる人とは、出荷担当者であり物流会社の担当者であるわけ...


物流品質向上法 (その1)

  1. 物流品質の5類型    物流品質、これは当たり前のことである一方でなかなか改善されない機能でもあります。私たちは物流のプロとして品質の向...

  1. 物流品質の5類型    物流品質、これは当たり前のことである一方でなかなか改善されない機能でもあります。私たちは物流のプロとして品質の向...


業務領域拡大:物流の地位向上とは(その3)

  ◆業務領域拡大 物流はサービス業ですから、お客様の要望に応えなければ存在意義はありません。法令に反しなければ運送や保管以外の仕事はい...

  ◆業務領域拡大 物流はサービス業ですから、お客様の要望に応えなければ存在意義はありません。法令に反しなければ運送や保管以外の仕事はい...