物流作業の特徴は作業の自由度が高いこと 物流標準時間導入成功のポイント(その2)

投稿日

 物流標準時間導入成功のポイント、前回のその1に続いて、解説します。 
 
  SCM
  
 物流作業を標準化しその作業に時間値を付けて行くことで物流標準時間が出来上がります。物流作業の特徴は作業の自由度が高いことです。
 
 製造作業では手順通りにやらないと作業そのものが成立しないことがほとんどですが、物流ではそれほどでもありません。物流では設備を使って実施する作業が少ないことが一つの要因かもしれません。このように自由度が高い作業では作業を標準化せずに作業者任せにしている現場が多いようです。
 
 しかし、これは決して望ましい姿ではありません。きっちりと手順を定め、時間値を付与することで、誰が作業を行っても同じ時間で同じ結果が出るようにしなければなりません。作業者任せにすることは違った結果が出ても当然です。最悪は物流品質にバラつきが出ることです。これでは顧客の信頼を得ることはできませ。
 
 さて作業を標準化し、時間値を付けたとして、課題はその作業が変更になることです。変更になれば物流標準時間も変動させる必要があります。自由度が高いがゆえに物流作業は「変更しやすい」のです。たとえばものの置場を数メートル移動させることが考えられます。
 
 そうなると標準作業上、運搬に変動が生じ、運搬時間が変わります。
 
 たとえば棚の1段目に保管するものを3段目に変更することが考えられます。この時も投入、取り出し時の必要時間に差が出ます。あるいは容器内の入数に変動があったとします。12個入りが15個入りに変更になったようなケースです。この時もその容器のハンドリング時間は変わらなくても、1個当たりの時間値は変動します。
 
 物流標準時間は標準作業が変更になれば、それに応じてメンテナンスしなければならないのです。ただしその程度にも考慮の余地があります。
 
 杓子定規的に言えば1mでも変われば標準時...
 物流標準時間導入成功のポイント、前回のその1に続いて、解説します。 
 
  SCM
  
 物流作業を標準化しその作業に時間値を付けて行くことで物流標準時間が出来上がります。物流作業の特徴は作業の自由度が高いことです。
 
 製造作業では手順通りにやらないと作業そのものが成立しないことがほとんどですが、物流ではそれほどでもありません。物流では設備を使って実施する作業が少ないことが一つの要因かもしれません。このように自由度が高い作業では作業を標準化せずに作業者任せにしている現場が多いようです。
 
 しかし、これは決して望ましい姿ではありません。きっちりと手順を定め、時間値を付与することで、誰が作業を行っても同じ時間で同じ結果が出るようにしなければなりません。作業者任せにすることは違った結果が出ても当然です。最悪は物流品質にバラつきが出ることです。これでは顧客の信頼を得ることはできませ。
 
 さて作業を標準化し、時間値を付けたとして、課題はその作業が変更になることです。変更になれば物流標準時間も変動させる必要があります。自由度が高いがゆえに物流作業は「変更しやすい」のです。たとえばものの置場を数メートル移動させることが考えられます。
 
 そうなると標準作業上、運搬に変動が生じ、運搬時間が変わります。
 
 たとえば棚の1段目に保管するものを3段目に変更することが考えられます。この時も投入、取り出し時の必要時間に差が出ます。あるいは容器内の入数に変動があったとします。12個入りが15個入りに変更になったようなケースです。この時もその容器のハンドリング時間は変わらなくても、1個当たりの時間値は変動します。
 
 物流標準時間は標準作業が変更になれば、それに応じてメンテナンスしなければならないのです。ただしその程度にも考慮の余地があります。
 
 杓子定規的に言えば1mでも変われば標準時間は変更する必要があります。一方でこの厳格なルールを作ったとして、現実問題として対応が可能かどうかという問題が発生することでしょう。それでなくても導入が難しいと思われる物流標準時間において、日常メンテナンスが大変ということになると導入しようという熱も冷めてしまうのではないでしょうか。
 
 ですから、物流標準時間のキーワードとして「日常メンテナンスの容易化」を挙げたいと思います。
 
 次回に続きます。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その4)

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その1)

第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...

第1回 日本流物流はグローバルスタンダードにあらず   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地に持って行くべき「物流指導...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その7)

1.韓国の事例    前回のその6に続いて解説します。今回使用するデータは「読者が理解しやすい」を前提に、数字は円表示するとともに多少まるめ...

1.韓国の事例    前回のその6に続いて解説します。今回使用するデータは「読者が理解しやすい」を前提に、数字は円表示するとともに多少まるめ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流作業標準化は必須 物流品質不良を撲滅するには(その2)

        物流作業は自由度が高いため、いろいろな手順で行うことができてしまいます。生産活動では多くの作業が一定の手順に従わないとできませんが、...

        物流作業は自由度が高いため、いろいろな手順で行うことができてしまいます。生産活動では多くの作業が一定の手順に従わないとできませんが、...


購買業務の要点:見積査定

 前回のその6に続いて解説します。購買業務の中でもとりわけ重要とされるのが『見積査定』ではないでしょうか。サプライヤーから提出された見積価格が妥当なのか否...

 前回のその6に続いて解説します。購買業務の中でもとりわけ重要とされるのが『見積査定』ではないでしょうか。サプライヤーから提出された見積価格が妥当なのか否...


物流管理業務という商品 喜ばれる物流の創造(その3)

  1. 一般消費者と物流商品  一般消費者は普段の生活に密接に絡む物流サービスを望んでいるでしょう。私たちは宅配を使うことがあります。...

  1. 一般消費者と物流商品  一般消費者は普段の生活に密接に絡む物流サービスを望んでいるでしょう。私たちは宅配を使うことがあります。...