原価削減のフレームワーク

投稿日

 製造業にとってコスト削減は必要不可欠な取り組みです。コストは工場の稼働に関係なく発生する固定費と、生産量にほぼ比例して増加する変動費に大別出来ます。投資回収の視点から、変動費を回収できるだけの売上高確保は絶対条件です。当然ながら、変動費が小さい方が回収も容易となり、損益分岐点売上高も下がります。即ち変動費削減は利益を生みやすい収益構造を作り出す鍵になります。製造業で変動費削減の主たる取り組みとなるのは製造原価削減です。原価削減の課題を見出す手段は様々ですが、原価削減に適したフレームワークを用いると効果的なアイデア抽出が可能となります。ここでは図1に示すフレームワークを用いて6つの分類項目を紹介します。
 
                       freemu
図1.原価削減のフレームワーク
 
 まず"削減"は、製品性能を一定に保てる範囲で、若しくは顧客ニーズに対し過剰である部分を削減します。例えば原材料の添加量や過剰包装の撤廃が挙げられます。次に"効率化"は、複雑な作業手順の簡素化や統合を行うことでサイクルタイムを短縮し、光熱費や時間依存副資材量を減らす効果が得られま。"再利用"は不適合処理品の手直しや、原料の再利用で廃棄コストを減らし、"代替"は原料や資材を「同一仕様」の低コスト品(別サプライヤー)へ切り換え、"変更"は「機能は同等」で物理的・化学的に別の安価な原料や部品へと置き換え、より低コストの手段を採用する事です。最後に"生産性"は歩留り改善や、製造スループット向上による単位時間当り生産量増加等、インプットに対するアウトプット比率を向上させる事です。
 
 プロセス解析を行う際、原価削減の実情にマッチしたフレームワークを用いる事で、MEC...
 製造業にとってコスト削減は必要不可欠な取り組みです。コストは工場の稼働に関係なく発生する固定費と、生産量にほぼ比例して増加する変動費に大別出来ます。投資回収の視点から、変動費を回収できるだけの売上高確保は絶対条件です。当然ながら、変動費が小さい方が回収も容易となり、損益分岐点売上高も下がります。即ち変動費削減は利益を生みやすい収益構造を作り出す鍵になります。製造業で変動費削減の主たる取り組みとなるのは製造原価削減です。原価削減の課題を見出す手段は様々ですが、原価削減に適したフレームワークを用いると効果的なアイデア抽出が可能となります。ここでは図1に示すフレームワークを用いて6つの分類項目を紹介します。
 
                       freemu
図1.原価削減のフレームワーク
 
 まず"削減"は、製品性能を一定に保てる範囲で、若しくは顧客ニーズに対し過剰である部分を削減します。例えば原材料の添加量や過剰包装の撤廃が挙げられます。次に"効率化"は、複雑な作業手順の簡素化や統合を行うことでサイクルタイムを短縮し、光熱費や時間依存副資材量を減らす効果が得られま。"再利用"は不適合処理品の手直しや、原料の再利用で廃棄コストを減らし、"代替"は原料や資材を「同一仕様」の低コスト品(別サプライヤー)へ切り換え、"変更"は「機能は同等」で物理的・化学的に別の安価な原料や部品へと置き換え、より低コストの手段を採用する事です。最後に"生産性"は歩留り改善や、製造スループット向上による単位時間当り生産量増加等、インプットに対するアウトプット比率を向上させる事です。
 
 プロセス解析を行う際、原価削減の実情にマッチしたフレームワークを用いる事で、MECEな視点での課題抽出が可能となります。もちろん既存プロセスだけを考えるのでは無く、開発プロセスにおいても低コストモデリングの観点から積極的活用が効果的です。注意すべき点は変更管理です。統計的データ解析などの論理的・客観的手法を用いた検証作業の上で判断する事が重要です。
 
 この文書は、 2016年1月7日の日刊工業新聞掲載記事を筆者により改変したものです。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します


「財務マネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
製造業、コストダウンの進め方 【連載記事紹介】

  製造業、コストダウンの進め方の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=標準原...

  製造業、コストダウンの進め方の連載記事が、無料でお読みいただけます! 【特集】連載紹介の一覧へ戻る ◆こんな方におすすめ!=標準原...


製造業のコストダウンの進め方 (その3)

 前回のその2に続いて解説します。   4.原価の算出    台車を例にして説明します。台車には、タイヤが4つ付いていますが、...

 前回のその2に続いて解説します。   4.原価の算出    台車を例にして説明します。台車には、タイヤが4つ付いていますが、...


知らないと損をする! 中小企業におすすめの補助金4選 

      中小企業は日本経済の基盤ですが、多くの課題に直面しています。そんな中小企業に対して政府や自治体はさまざまな...

      中小企業は日本経済の基盤ですが、多くの課題に直面しています。そんな中小企業に対して政府や自治体はさまざまな...


「財務マネジメント」の活用事例

もっと見る
物流コストを示す 物流関心度を高める(その1)

    物流の仕事をしていると、周りが物流に対してもっと関心を持ってくれれば、と感じることがあります。これは物流を本業とする事...

    物流の仕事をしていると、周りが物流に対してもっと関心を持ってくれれば、と感じることがあります。これは物流を本業とする事...


物流は他部門の結果が表れる 物流収益管理の大切さ(その3)

◆ 物流各部門の役割とは  同じ入出庫業務と配送業務を請け負ったとしても、ある得意先は数パーセントの利益が出るのに別の得意先は赤字ということがよくあ...

◆ 物流各部門の役割とは  同じ入出庫業務と配送業務を請け負ったとしても、ある得意先は数パーセントの利益が出るのに別の得意先は赤字ということがよくあ...


センター業務・自社輸配送・協力会社輸配送 物流収益管理の大切さ(その2)

◆ 得意先別の収益管理  原則として付加価値を与えるのは現場ですから極力、間接経費は少ないほうが望ましく、そこで間接部門が現場に対してどのような貢献...

◆ 得意先別の収益管理  原則として付加価値を与えるのは現場ですから極力、間接経費は少ないほうが望ましく、そこで間接部門が現場に対してどのような貢献...