調達段階のコストダウン (その2)

3.相見積りの弊害を知って活用する

 前回のその1に続いて解説します。私が多くの会社を訪問して、調達品のコストダウンの相談を受けますと、購買担当の方が、あまり調達している品目の商品知識や加工技術などの知識を持っていないことに出会います。たとえば、モーターを購入していて、現在購入しているモーターは、標準タイプかオーダーメイドタイプか、そのモーターについての競合先は何社あるのか、それは何という会社なのかといった単純なことですら調べないと答えられないといったことです。
 
 最も重要な外注加工品については、「この品目は、どのような加工方法で作っていますか。」とよく質問するのですが、「たぶんこのように作っているのでないか。」とか、「分からない。」という返事が返ってくることがあります。つまり、製作依頼をしている部品について、その作り方を知らないのです。このように状況で、取引先からの見積価格を何を持って評価するのでしょうか。
 
 このような会社の多くは、調達品を複数の会社に見積もり依頼をして、一番安価なコストを提示した会社を選ぶ、いわゆる相見積りをしています。その結果、外注先が固定してしまっていることもあって、限られた中での検討しか出来ません。また、取引先も、この状況を見透かして見積りを提示してくるようになります。結果的に、調達品の価格の妥当性が全く無くなって、異常に高い価格で買っていたり、仕入先が取引をやめてしまうような価格設定などが起きてしまいます。このような相見積もりでのコストダウンは、すぐに限界がきてしいます。
 

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4.見積書の査定・評価の進め方

 調達品のコストダウンのためには、購入品目について、その中身である作り方について知ることが必要です。そのためには、まず取引先から提出される見積書をじっくりと見てください。見積書を見て、最初に何を確認しますか。当然、見積価格をチェックするのではないでしょうか。それでは、つぎに何を見ますか。見積書の明細は、どうなっているのかを確認するでしょう。
 
 外注加工品の場合によく見受けられるのが、見積もり単価の金額だけ記入されていることです。この見積書を見て皆さんは、その金額をどのように評価・査定するでしょうか。このように詳細が記載されていない状態で、コストダウンを進めようとしたらどうしますか。結局は、価格の比較しかできなくて、取引先に対して価格交渉で買い叩くか、お願いすることで値引きしてもらうしかないでしょう。
 
 また、多くの取引先に見積もりを依頼しても、受注できない会社では、「また見積依頼がきた。どうせ注文にはならないのだから適当に出しておけ。」という程度の話になって、真剣に見積もってこなくなってしまうのではないでしょうか。これは、このような方法が、限界にきているということなのです。このため、まず見積書について、しっかりとその明細を記入してもらうように改めることが大切です。
 
 そして、つぎは、自社では「この値段で買いたい」という金額を持つことです。皆さんの会社で算出・評価した金額を持っていれば、見積もり単価が高いのか安いのかも容易に判断できるでしょう。ただし、自社で算出・評価した金額は、その裏づけがしっかりとないといけません。裏づけによって、取引先との差額が明らかになり、差額を改善してもらうように促すとともに、より適正な価格による購入ができるからです。このように自社のコスト見積もりについての整備を図ることが、コストダウンに結び付くスタートになるのです。
 
 次回、調達段階のコストダウン(その3)は、資材・購買でのコストダウンのポイント、から解説します。
 

この記事の著者

間舘 正義

製品を切り口に最適コスト追求のためのコスト・ソリューションを提供します。

企業の第一の目的は利益の獲得にあります。弊社では、製品を切り口にコストテーブル手法をベースに用いて、ものづくりの固有技術と管理技術の向上、見積り技術の確立、コストダウンなどコストマネジメント体制の構築と儲ける会社のしくみ作りを指導していま…

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