業際間課題と改善効果

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 inf52コスト改善活動を全社的に行っている企業はどのくらいあるのでしょう。この場合の『全社的』とは全ての従業員が活動に携わるという意味だけで無く、全ての従業員が取り組み内容に応じ、部門の垣根を越えて活動を行っているかという意味です。
 
 コスト改善に力を入れている企業でも蓋を開ければ部署内課題の取り組みが殆どです。 即ち所属する部署のPDCAだけで完結できる取り組みだけに力を入れています。部署内活動だけでは限りがありますし、規模も小さなものばかりになります。
 
 大きな効果を欲するなら部署間に跨がる『業際間課題』への取り組みは欠かせません。実のところ本当に何とかしたいと感じる課題は、他部署の協力が必要だったり、顧客からの情報が重要だったり、解決に相応のコストがかかりそうだったりと、自分の権限だけで進められないものが多くないでしょうか、
 
 そう感じてはいても、そもそも越権行為だと最初から諦めていませんか、これら多部門に跨がる課題を『業際間課題』と言いますが、部門長クラスが自主的に話をしても殆どの『業際間課題』は解決には至りません。
 
 どの部署長も自部署の利益を優先し、不利益を被らないように考えるので意見が中々纏まらないと言うのもありますが、そもそも結論を出すための判断基準が無い、もしくは主観的になるために落とし所が見つからないのです。
 
 例えば販売サイドは注文を取るため現行品種に無い仕様も引き受けて注文を取ります。結果的にアイテム数が増え在庫管理や生産管理のコストも増えることになります。
 
 生産側は出来るだけ要望に応えようと頑張りますがプロダクトミックスが複雑になり生産効率も下がりますから本来はアイテム数は増やしたくないのです。然しながら顧客の要望に応え且つ注文を多く取るのが販売側の仕事ですから多少無理してでも対処して欲しいという事になります。
 
 会社として将来的なオーダー増に繋がるよう顧客優先で行くのか、収益性を考慮し生産効率優先で対応するのか、両者のバランスをどう取るかの舵取りが必要です。
 
 『業際間課題』に立ち向かい解決する事が出来れば、これまでに無い大きなコスト改善や業務効率改善に繋がり、企業の収益向上にも結びつくのは想像に難くないと思います。
 
 『業際間課題』に取り組む時の考え方としては部署の利益では無く会社全体の利益として考える事です。即ち全体最適化の考えで活動を行います。全体最適で考え、各部署が個々の利害に捕らわれず努力を惜しまなければ時間はかかってもこれまで放置されていた慢性的な課題をクリアする事が可能となるはずです。
 
 『業際間課題』のジャッジは必ず...
 inf52コスト改善活動を全社的に行っている企業はどのくらいあるのでしょう。この場合の『全社的』とは全ての従業員が活動に携わるという意味だけで無く、全ての従業員が取り組み内容に応じ、部門の垣根を越えて活動を行っているかという意味です。
 
 コスト改善に力を入れている企業でも蓋を開ければ部署内課題の取り組みが殆どです。 即ち所属する部署のPDCAだけで完結できる取り組みだけに力を入れています。部署内活動だけでは限りがありますし、規模も小さなものばかりになります。
 
 大きな効果を欲するなら部署間に跨がる『業際間課題』への取り組みは欠かせません。実のところ本当に何とかしたいと感じる課題は、他部署の協力が必要だったり、顧客からの情報が重要だったり、解決に相応のコストがかかりそうだったりと、自分の権限だけで進められないものが多くないでしょうか、
 
 そう感じてはいても、そもそも越権行為だと最初から諦めていませんか、これら多部門に跨がる課題を『業際間課題』と言いますが、部門長クラスが自主的に話をしても殆どの『業際間課題』は解決には至りません。
 
 どの部署長も自部署の利益を優先し、不利益を被らないように考えるので意見が中々纏まらないと言うのもありますが、そもそも結論を出すための判断基準が無い、もしくは主観的になるために落とし所が見つからないのです。
 
 例えば販売サイドは注文を取るため現行品種に無い仕様も引き受けて注文を取ります。結果的にアイテム数が増え在庫管理や生産管理のコストも増えることになります。
 
 生産側は出来るだけ要望に応えようと頑張りますがプロダクトミックスが複雑になり生産効率も下がりますから本来はアイテム数は増やしたくないのです。然しながら顧客の要望に応え且つ注文を多く取るのが販売側の仕事ですから多少無理してでも対処して欲しいという事になります。
 
 会社として将来的なオーダー増に繋がるよう顧客優先で行くのか、収益性を考慮し生産効率優先で対応するのか、両者のバランスをどう取るかの舵取りが必要です。
 
 『業際間課題』に立ち向かい解決する事が出来れば、これまでに無い大きなコスト改善や業務効率改善に繋がり、企業の収益向上にも結びつくのは想像に難くないと思います。
 
 『業際間課題』に取り組む時の考え方としては部署の利益では無く会社全体の利益として考える事です。即ち全体最適化の考えで活動を行います。全体最適で考え、各部署が個々の利害に捕らわれず努力を惜しまなければ時間はかかってもこれまで放置されていた慢性的な課題をクリアする事が可能となるはずです。
 
 『業際間課題』のジャッジは必ずしも経営者が行う必要は無いと思います。企業規模にも寄りますが業際間課題を取り扱う多機能チームを構成し対応させるという手段もあります。業際間課題のゴールは経営者が独断で判断出来るものでもありません。必要な情報収集と情報分析を行い誰もが反論できない客観的事実を持って決定すべきです。
 
 一部門の利益にとらわれず、独立してそれらを行い関連部署のアクションを最適化する為にも中立の統括チームの組織化は有効に働くでしょう。改善活動の停滞状態から脱却したいなら業際間課題に正面から取り組むべきです。その為に外部の人間による客観的、俯瞰的視点を取り入れる事は非常に有効です。
 

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この記事の著者

眞名子 和義

ムダ・ムラ・ムリの「3ムの撤廃が企業収益向上に繋がる」を信条とし、お客様の"視座"に立ったご提案を致します

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