マーケティングを考える(その3)マーケティングのマネ-ジメント

 
 前回のその2続いて解説します。マ-ケティングは、危機を生かし好機を生かすマネ-ジメントです。市場は常に変化しています。「変化」、それだけがただ一つの不変のものであります。市場においては変化することが正常で、変化しないことが異常です。変化とは、これまであったものを破壊し過去のものとするという恐ろしい力があり、反面、新たなものを生み出す源泉になると言う恐ろしい力もあります。
 
 危機になればなるほど、好機になればなるほど変化が多発し、それに伴って情報の量も格段に増えます。普段からの研ぎすまされた感度、感性を発揮する絶好の場となります。マ-ケティングは危機を生かし、好機を生かすマネ-ジメントの最大、最良の武器であり、ツ-ルとなるのです。変化に取り組んでいくために理解しておく必要のある根本的な前提は、ビジョンがないと、変化へのうまい対応は出来ないということです。
 
 人間は言われるまでもなく生き物であり、人間で構成される組織も、機能も生き物です。人と組織と機能で構成される企業も、そして国家も生き物です。生き物は変化と共に生きるのが普通であるはずですが、変化が多種多様なので、どうしても不変を愛するのです。
 
 マ-ケティングは、理論と感性の一致であると述べました。普段のたゆまない見える部分(理論)と見えない部分(感性)が一致するとき、大きなマ-ケティング・パワ-となりますが、そこで開発する戦略や戦術が真に生きて来るわけです。そしてそれは、危機の時と好機の時に本当の力となります。さらに戦略は、別の意味で見えない部分になり、戦術が本当に見える部分となります。変化にあまり左右されないビジョンがきちんとあって、変化への柔軟性を持った戦略が確立されていて、具体的に、どういう戦術でプランを実行して行くかを決めることが出来るとき、生き生きとしたマ-ケティング活動を行うことが出来ます。営業部門にとっても、企画部門にとっても、技術部門にとっても、そして国、企業、組織、個人にとって、このマ-ケティング活動が最も重要な要素になります。
 
 マ-ケティング理論はその気になれば、幾らでも学ぶことができます。本屋へ行けば、その種のものは無限にありますし、色々の団体や協会がその種のセミナ-や講習会を開催しています。そしてそれに基づいて市場を調査し、見える、説明できる資料を作成することも、ちょっとした経験者なら出来るし、必要なら少しお金を出せば資料を作成してくれる業者も無限にあります。しかし市場に対する感度とか感性は、経験がものを言うこともありますが教えられて学べるものではありません。本当に素直な純粋な心と、マンネリ化していない、ささやかな変化も感じる心と、壮大なビジョンと、たゆまない好奇心が必要です。そして過去の経験は往々にして邪魔になることが多く、時には、誠実さや真面目さが大きな障害になることもあります。一種の遊び心も必要ですから、基準を外れた人間から発生することも多いのです。標準的な人間からは発生しにくい場合が多くあります。世の中の常識、それを一種の規格とするならば、規格内の人や組織や機能から出て来ることは比較的少ないのです。
 
 マ-ケティングは、危機を生かし好機を生かす絶好のマネ-ジメント・ツ-ルでありますが、それを本当に道具として使えるようになるには、常に「ゆでガエル現象」を克服して感度を砥ぎすまして、来る変化に備えておくことが肝要です。
  

この記事の著者

中桐 有道

主にIT関連外資系企業で生産・営業・マーケティング部門を担当してきた経験を土台にした講義・コンサルティング

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