マーケティングを考える(その1)

1.ドリルと穴の例

 マーケティングの世界では、有名な話として「ドリルと穴」があります。それは、消費者・顧客は
買いたいものにお金を払うのか、買いたい物を使って達成する目的にお金を払うのか、という議論で
す。たとえば、日曜大工が趣味の男が、ある作業工程で木材の板に穴を開けねばならなくなったとし
よう。多分、近くのホーム・センターに行って手ごろなドリルを買うことになるでしょう。板に穴を
開ける作業を決めて、ドリルを買おうと決めるプロセスは短く、すでに購入前から、自分が板に穴を
あける作業をイメージしていたと思われます。
 
 これは、板に穴を開けるという目的(ニーズ:NEEDs)があって、その手段(必要性)(ウオ
ンツ:WANTs)として、ドリルがたまたま思いついたというNEEDsとWANTsの関係です
当然、ドリル以外でも簡単に板に穴が開けられる他の手段があればそれでもよいわけですが、
そういう問題解決(ソリューション)にはドリルというものを消費者・顧客に思いつかせるのは、ド
リル・メーカーの市場へのコミュニケーションと市場からの情報が定着していたからです。ドリル以
外のブランド商品は参入していなかったことになります。
 
 消費者・顧客はドリルを買うために、その代金を支払います。すなわちホーム・センターはドリル
の代金を受け取り、現実には、そのドリルにお金を払ったことになります。そうでしょうか? そう
ではなく、どうしても板に穴を開けたかったのだから、その出来上がった板の穴にお金を払ったので
しょう? お金は、道具に払われたのでしょうか?
 
 様々な意見があるでしょう。でも、ここにマーケティングの基礎があるように思います。いまでこ
そ、製品を売っているのではなく、その商品で解決できるソリューションを売っているのだというメ
ーカが多くあります。その通りですが、でも多くの人は、その商品のすばらしさを売り、その商品が
購入者にどんな価値をもたらすかあまり売りません、何故でしょうか。それは市場を形成している購
入者が影響しています。購入者が商品のすばらしさが商品価値と誤解しているからです。そうではな
く、その商品がどんな問題を解決してくれるかをその商品の付加価値として、追求しないからです。
したがって商品を売るとき、ほとんどのケースは商品の仕様から入ります。執拗にソリューション
を売れと言われてもそうなり」ます。顧客の課題を理解し、その課題を解決する策を売ることです。
解決策を売る、これが最初で、商品の仕様はその後でなければいい商売は決してできません。逆に仕
様を売ると顧客は即座に持っていない仕様を突いてきたり、商売にならない仕様の議論ばかりになり
ます。それは顧客が悪いのではなく、商品企画の仕方を間違うマーケティングが悪いのです。
 
 品物(モノ)を売るのではない、問題解決能力を売るのです。どんなドリルを欲しがっているのか
ではなく、どんな課題・問題をもっているかをリサーチすることが、最重要な課題です。

次回は、マーケティングの本質を解説します。 


 


この記事の著者

中桐 有道

主にIT関連外資系企業で生産・営業・マーケティング部門を担当してきた経験を土台にした講義・コンサルティング

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