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慢性不良への対応(その1)原因は必ず複数ある

 まったく同じ作り方をしているにもかかわらず、前のロットの不良率は0.5%だったのに、このロットは8%も不良だった、不良内容もまったく違う・・・。ある日突然不良現象の様相が変わります。ではどのような変化点があったのかと調べても判然としない、放っておいてもまた不良率が下がったりする、これではパレート図を作ってという手法が使えません。

 実はまったく同じ作り方をしていると思っていることが間違いなのです(品質管理では「管理状態に無い」といいます)。これはどういう事かというと、製造システムにおける「偶然のバラツキ」があると考えます。そのために製品一個一個、連続品であれば長さ1mごとに異なる製造条件になっているということなのです。

 アルミダイカスト職場で鋳造工程を見学したとき、各ショットで出来る製品は、これはひけがある、これは肌荒れと、1ショット毎に違った物が出来ていました。いくら観察を続けてもショット毎に何が違っているのかまったくわかりませんでした。そのとき主要因子についてデータを自動記録してありましたので見せてもらいました。重要と思われる溶湯温度、金型温度、鋳造圧力、押込み速度、‥と11項目ありましたが、なるほどショット毎に異なっています。同じ設定をしても実際はこんなに違うという事を実感しました。

 何か傾向が無いか、特異点が無いかなど目を凝らして見ても何も見つかりません。何ロットか比較しても何も浮かび上がりませんでした。もし、11項目のデータをそれぞれ、大きい値、平均値、小さい値と3水準に区分して組み合わせを考えると、3の11乗となりますので約18万通りとなります。さらに11項目以外の因子も考えなければならず、組合せから傾向を探るのは現実的ではありません。

 全データのばらつきを小さくするというアプローチももちろんありますが、寄与率を評価せずに1つずつ取り組むには気の遠くなるような時間が必要になりますので、あえてこれ以上の言及はしません。

 その後色々なアプローチを組み合わせて、改善は進みましたが、その結果分かったことは、同じ不良現象でも慢性的に発生しているひけとか肌荒れなどは一つの原因ではなく幾つかあって(これを原因1、2、3、‥nとします。そんなにはありませんが)各ショットで原因1であったり原因2であったり、偶然によって変わると考えるようになりました。

 例えば金型温度を保つための熱媒の温度が偶然のバラツキで下がった時、偶然金型開の時間が長くなり、溶湯押込み速度が下がって、という要因が重なって凝固時間が短くなり、湯道の遠いところでひけが発生した。しかし、次のショットでは偶然、溶湯の分岐点で湯道の長い方へは多く分配され、金型を閉じる前に噴霧した離型剤がたくさん出たためにその近傍で凝固が早くなり、場所は異なるが同じひけが発生した、と考察されます。

 こんなことが繰り返されますので、慢性不良の原因は必ず複数あると考えて、(考えるだけでなく)分析していただきたいと思います。



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