【2分でわかる】AI:artificial intelligence

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AI

 

AI(人工知能: artificial intelligence)が岐路に立っています。より高度なAIが生み出されると同時に、その危険性が顕著になり、AIの規制強化が始まりました。AIは二極化の道をたどり、イノベーションが生まれる中、危険なAIをどう安全に利用するか、その仕組み作りが問われています。

 

米国では人工知能ブームでAI開発が白熱し、IT企業は覇権をかけて高度なインテリジェンスを生み出しています。AIは巨大化、多機能化の道をたどり、それぞれ限定して利用分野においては人間の知能に迫っています。前述のように、技術進化によりAIの危険性が顕著になりました。一方、産業界でのAI利用が急速に拡大しており、社会インフラシステムにもAIが利用されるようになっています。これらの領域では安全なシステム提供が求められますが、従来のソフトウェアに適用されてきたテストや品質保証の技術は、AIに対してはその技術的特性から有効でないとされています。

 

今回は、このような背景を踏まえて、AIの概要を解説します。

 

1.  AIとは

人工知能が、AIとよばれ、AIを作る手法であるAI技術がAIと呼ばれたり、製品実装モデルがAIと呼ばれたり、そのモデルが搭載されている製品そのものをAIと呼ばれたりしています。このようにAIに関する定義は、全く定まっていません。知的なふるまいをさせる技術や知的なふるまいをするシステムといったところが広い意味でのAIで、文脈に合わせてその意味を理解するようにしましょう。

 

2.  AIの変遷

世界のIT業界で1980年代にAIブームが起きました。日本の通産省が第五世代コンピューター研究開発プロジェクトを立ち上げたのもこの頃です。この時代に実用化されたAIの主流は、人間の専門家が持っているノウハウをルールとして表現して取り込んだエキスパートシステムと呼ばれるITシステムでした。

 

1980年代のAIの限界は、人間の知識をすべてルールのような形式で表現することは難しいものでした。人は言葉で表現できる範囲の知識であるセイハウ(say how)をコンピューターに入力することはできても、暗黙知も含むノウハウのすべてをシステムに取り入れることは困難だったのです。ノウハウとセイハウの限界が1980年代のAIの限界でした。

 

それから数十年、今また、人工知能が注目されています。今回のキーワードは深層学習(ディープラーニング 英: Deep learning)とビッグデータです。深層学習とは、ルールを与えなくてもコンピューターがデータの中から意思決定にとって有意な特徴を見出し、どう判断すればよいかを自ら学習する能力です。これに、蓄積されたビッグデータを与えることにより、場合によっては、AIが人間を凌駕する判断能力を持つようになってきたのです。

 

制御技術と融合することで、自律性の高いロボットも登場しています。今後、AIを搭載した自律型ロボットは、モノづくりの現場を一変させることでしょう。

 

そして効率化というキーワードで物事を進めると、将来どこかでコンピューターなどの機械が人を凌駕するタイミングが来ることになります。そう考えると、今後はAI化できないくらい複雑かつ高度な知的業務と、非効率的な矛盾を享受するような人間臭い業務のみが仕事として残るのではないでしょうか。

 

3.AIの利用法

【自然言語処理】

プログラミング言語に対して自然言語とは、私たち人間が自然に話している言葉のことです。この自然言語をコンピューターに処理させるAI技術があります。

 

自然言語の曖昧さが常に付きまといます。これをいかに克服するかですが、機械学習が活用され、精度が向上しました。大量データを機械に学習させることによって、確率的に言語の意味を理解させることができるようになりました。

 

活用分野は、音声認識であり機械翻訳です。Google翻訳を活用すると、私たちが入力した言葉を外国語に変換してくれます。

 

【画像認識】

これは、画像を使って何が写っているかを特定する方法です。ディープラーニングによって、精度をあげた分野の最も代表的なものです。画像認識の活用は、自動運転での物体認識や、医療における利用、製造業における検品などに利用されています。

 

4.AIの侵略

機械学習をベースにしたAIの利用は次の三つに分けられます。三つの利用用途を応用しているものを見ると、予測や識別の領域ではすでに一定以上のレベルでできているものが多い一方で実行には至っていないものも多い印象です。とりわけ、行動や作業を単純化した状態での自動化、最適化に至ってはこれからの課題となる分野がまだ多いのです。

 

  • 【識別】:音声、画像、動画の意味理解。情報の判別・仕分け・検索。異常検知・予知。
  • 【予測】:ニーズ・意図予測。マッチング。数値予測。
  • 【実行】:行動の最適化。作業の自動化。表現生成。デザイン。

 

技術によって認識・予測はできても、その予測モデルの精度や予測可能な領域、実行をするためのスキーム、プロセス改善に課題が大きいのです。

 

AI技術が進化、浸透していく中で様々な課題が出てきます。飛行機ができた時に、パイロット、整備士、客室乗務員、管制官などが生まれたように、AI技術の浸透と共に新たな仕事も生まれるでしょう。そういった関連する職業で予想されているもの次に示します。

 

  • 【ロボット・アドバイザー】:ロボットの普及により、家庭においてもアシスタントとして働くロボットが一般的になっていくことが想定されます。ロボットが人間のアシスタントとして関わると、その課題を各家庭や企業からヒアリングし、改善をするための働きや、逆にロボットとの正しい向き合い方を普及させていくような役割を担う人が必要とされるのです。
  • 【企業文化のエキスパート】:企業が人材を確保し、その人材が「自分はいま、ふさわしい場所にいる」と感じさせるためには、企業文化を浸透させるエキスパートが必要となります。このエキスパートが担う仕事は、金銭とは異なる利益...

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AI(人工知能: artificial intelligence)が岐路に立っています。より高度なAIが生み出されると同時に、その危険性が顕著になり、AIの規制強化が始まりました。AIは二極化の道をたどり、イノベーションが生まれる中、危険なAIをどう安全に利用するか、その仕組み作りが問われています。

 

米国では人工知能ブームでAI開発が白熱し、IT企業は覇権をかけて高度なインテリジェンスを生み出しています。AIは巨大化、多機能化の道をたどり、それぞれ限定して利用分野においては人間の知能に迫っています。前述のように、技術進化によりAIの危険性が顕著になりました。一方、産業界でのAI利用が急速に拡大しており、社会インフラシステムにもAIが利用されるようになっています。これらの領域では安全なシステム提供が求められますが、従来のソフトウェアに適用されてきたテストや品質保証の技術は、AIに対してはその技術的特性から有効でないとされています。

 

今回は、このような背景を踏まえて、AIの概要を解説します。

 

1.  AIとは

人工知能が、AIとよばれ、AIを作る手法であるAI技術がAIと呼ばれたり、製品実装モデルがAIと呼ばれたり、そのモデルが搭載されている製品そのものをAIと呼ばれたりしています。このようにAIに関する定義は、全く定まっていません。知的なふるまいをさせる技術や知的なふるまいをするシステムといったところが広い意味でのAIで、文脈に合わせてその意味を理解するようにしましょう。

 

2.  AIの変遷

世界のIT業界で1980年代にAIブームが起きました。日本の通産省が第五世代コンピューター研究開発プロジェクトを立ち上げたのもこの頃です。この時代に実用化されたAIの主流は、人間の専門家が持っているノウハウをルールとして表現して取り込んだエキスパートシステムと呼ばれるITシステムでした。

 

1980年代のAIの限界は、人間の知識をすべてルールのような形式で表現することは難しいものでした。人は言葉で表現できる範囲の知識であるセイハウ(say how)をコンピューターに入力することはできても、暗黙知も含むノウハウのすべてをシステムに取り入れることは困難だったのです。ノウハウとセイハウの限界が1980年代のAIの限界でした。

 

それから数十年、今また、人工知能が注目されています。今回のキーワードは深層学習(ディープラーニング 英: Deep learning)とビッグデータです。深層学習とは、ルールを与えなくてもコンピューターがデータの中から意思決定にとって有意な特徴を見出し、どう判断すればよいかを自ら学習する能力です。これに、蓄積されたビッグデータを与えることにより、場合によっては、AIが人間を凌駕する判断能力を持つようになってきたのです。

 

制御技術と融合することで、自律性の高いロボットも登場しています。今後、AIを搭載した自律型ロボットは、モノづくりの現場を一変させることでしょう。

 

そして効率化というキーワードで物事を進めると、将来どこかでコンピューターなどの機械が人を凌駕するタイミングが来ることになります。そう考えると、今後はAI化できないくらい複雑かつ高度な知的業務と、非効率的な矛盾を享受するような人間臭い業務のみが仕事として残るのではないでしょうか。

 

3.AIの利用法

【自然言語処理】

プログラミング言語に対して自然言語とは、私たち人間が自然に話している言葉のことです。この自然言語をコンピューターに処理させるAI技術があります。

 

自然言語の曖昧さが常に付きまといます。これをいかに克服するかですが、機械学習が活用され、精度が向上しました。大量データを機械に学習させることによって、確率的に言語の意味を理解させることができるようになりました。

 

活用分野は、音声認識であり機械翻訳です。Google翻訳を活用すると、私たちが入力した言葉を外国語に変換してくれます。

 

【画像認識】

これは、画像を使って何が写っているかを特定する方法です。ディープラーニングによって、精度をあげた分野の最も代表的なものです。画像認識の活用は、自動運転での物体認識や、医療における利用、製造業における検品などに利用されています。

 

4.AIの侵略

機械学習をベースにしたAIの利用は次の三つに分けられます。三つの利用用途を応用しているものを見ると、予測や識別の領域ではすでに一定以上のレベルでできているものが多い一方で実行には至っていないものも多い印象です。とりわけ、行動や作業を単純化した状態での自動化、最適化に至ってはこれからの課題となる分野がまだ多いのです。

 

  • 【識別】:音声、画像、動画の意味理解。情報の判別・仕分け・検索。異常検知・予知。
  • 【予測】:ニーズ・意図予測。マッチング。数値予測。
  • 【実行】:行動の最適化。作業の自動化。表現生成。デザイン。

 

技術によって認識・予測はできても、その予測モデルの精度や予測可能な領域、実行をするためのスキーム、プロセス改善に課題が大きいのです。

 

AI技術が進化、浸透していく中で様々な課題が出てきます。飛行機ができた時に、パイロット、整備士、客室乗務員、管制官などが生まれたように、AI技術の浸透と共に新たな仕事も生まれるでしょう。そういった関連する職業で予想されているもの次に示します。

 

  • 【ロボット・アドバイザー】:ロボットの普及により、家庭においてもアシスタントとして働くロボットが一般的になっていくことが想定されます。ロボットが人間のアシスタントとして関わると、その課題を各家庭や企業からヒアリングし、改善をするための働きや、逆にロボットとの正しい向き合い方を普及させていくような役割を担う人が必要とされるのです。
  • 【企業文化のエキスパート】:企業が人材を確保し、その人材が「自分はいま、ふさわしい場所にいる」と感じさせるためには、企業文化を浸透させるエキスパートが必要となります。このエキスパートが担う仕事は、金銭とは異なる利益によって人を楽しませ、企業の価値観を伝え、それが共有されるようにして、仕事が楽しいという環境と雰囲気をつくり出す仕事です。

 

5.AIに奪われないスキルとは

AIには効率性を追求してもらい、人は人間らしさを発揮するのが良いでしょう。AIでデータの価値は最大化するかもしれませんが、人は人間らしさを発揮してこれからのキャリアでは、機械と働く上で、人々が持つ次の強みを磨くことが重要です。実績や単純作業のみで物事を考えず「イノベーション」と「ソリューション」この2軸を中心としたスキルとマインドがこれから重要になると考えます。

 

  • 【リーダーシップ/マネジメント】:デリケートで複雑なコミュニケーションを行い、人々を奮い立たせて勇気付け、人々をある目的に導き、目標を達成させるための意識付けなど、意識に働きかけて人を動かすスキルです。
  • 【ホスピタリティ・課題解決】:人が感じる潜在的な課題と向き合い、自分ごととして不便、不満など問題を解決・解消するためのスキルです。
  • 【クリエイティビティ】:課題の特定にいたる枠組みや新しいコンセプトをデザインすること、またアイデア、ひらめき、通常では発想に至らない仮説を導き出すスキルです。

 

 

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この記事の著者

鈴木 崇司

IoT機構設計コンサルタント ~一気通貫:企画から設計・開発、そして品質管理、製造まで一貫した開発を~

IoT機構設計コンサルタント ~一気通貫:企画から設計・開発、そして品質管理、製造まで一貫した開発を~


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