グループテクノロジーとは

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1.はじめに

工場責任者にヒアリングすると「製品種数が多く、どう作ればよいかわからない」「多品種でもコストダウンできる方法を知りたい」といった悩みを聞きます。多品種変量生産では、品種間の切替えロスを減らすために、まとめ生産をしがちですが、それでは、在庫の山が出来上がってしまいます。反対に在庫を抑えるには頻繁な切り替え作業が必要になり、稼働率が下がってしまいます。

 

そこで多品種生産の解決策の一つとして考案されたグループテクノロジーを活用してみましょう。今回は、グループテクノロジーの概要とグループテクノロジーのエッセンスを使った生産に流れをつける方法について解説します。

 

2.グループテクノロジーとは

異なる品種をまとめて作るための分類方法です。異なる品種でも同一性、類似性を基準にグループを形成します。そして各グループに最適な加工経路、加工方法を与えるものです。これにより多種少量生産であっても、あたかも大量生産のような効果を与えることができるのです。

 

3.手法の解説

代表的な手法として「加工経路分析」と「部品分類コード」があります。本稿では「加工経路分析」に焦点を絞り説明します。「加工経路分析」とは各品目の加工方法を抽出し、同じ加工経路のものをグルーピングする方法です。

 

(1)加工方法の列挙

下図のように、横列に生産品目を、縦列に加工方法を記したマトリックスを準備します。そして、各品目に必要な加工方法をマトリックスに○をつけていきます。

 

GT

 

(2)グルーピング

○をつけた加工法を共通に持つ品目をまとめます。すると異なる品目でも加工工程が同一である事がわかります。これにより多品種を同じ加工経路で生産することができるようになります。

 

GT

 

分析、分類方法は上記にとらわれず業界や自社に合わせて作り出すのが良いでしょう。例えば、食品加工業なら調理法や調理器具、使用食材などで分類することもできます。

 

4.まとめ

このように外観が直感的に大きく異なるものでもグループテクノロジーにより類似性が認められます。そして、同一経路での加工を行ったり、同じ旋盤で加工ができるようになります。その結果、少量にも関わらず、あたかもロットサイズが大きな生産ができるようになります。

 

5.更にもう一歩踏み込んで

さて、これまでの説明は、一般的に言われることです。更にグループテクノロジーを使って、他の効果を...

 

 

1.はじめに

工場責任者にヒアリングすると「製品種数が多く、どう作ればよいかわからない」「多品種でもコストダウンできる方法を知りたい」といった悩みを聞きます。多品種変量生産では、品種間の切替えロスを減らすために、まとめ生産をしがちですが、それでは、在庫の山が出来上がってしまいます。反対に在庫を抑えるには頻繁な切り替え作業が必要になり、稼働率が下がってしまいます。

 

そこで多品種生産の解決策の一つとして考案されたグループテクノロジーを活用してみましょう。今回は、グループテクノロジーの概要とグループテクノロジーのエッセンスを使った生産に流れをつける方法について解説します。

 

2.グループテクノロジーとは

異なる品種をまとめて作るための分類方法です。異なる品種でも同一性、類似性を基準にグループを形成します。そして各グループに最適な加工経路、加工方法を与えるものです。これにより多種少量生産であっても、あたかも大量生産のような効果を与えることができるのです。

 

3.手法の解説

代表的な手法として「加工経路分析」と「部品分類コード」があります。本稿では「加工経路分析」に焦点を絞り説明します。「加工経路分析」とは各品目の加工方法を抽出し、同じ加工経路のものをグルーピングする方法です。

 

(1)加工方法の列挙

下図のように、横列に生産品目を、縦列に加工方法を記したマトリックスを準備します。そして、各品目に必要な加工方法をマトリックスに○をつけていきます。

 

GT

 

(2)グルーピング

○をつけた加工法を共通に持つ品目をまとめます。すると異なる品目でも加工工程が同一である事がわかります。これにより多品種を同じ加工経路で生産することができるようになります。

 

GT

 

分析、分類方法は上記にとらわれず業界や自社に合わせて作り出すのが良いでしょう。例えば、食品加工業なら調理法や調理器具、使用食材などで分類することもできます。

 

4.まとめ

このように外観が直感的に大きく異なるものでもグループテクノロジーにより類似性が認められます。そして、同一経路での加工を行ったり、同じ旋盤で加工ができるようになります。その結果、少量にも関わらず、あたかもロットサイズが大きな生産ができるようになります。

 

5.更にもう一歩踏み込んで

さて、これまでの説明は、一般的に言われることです。更にグループテクノロジーを使って、他の効果を考えてみましょう。

  • 加工ルートを統一することで、整流化につながる。
  • 加工ルートが同じになり、タクトタイムが安定し、手待ちがなくなる

といった使い方もできます。生産に「流れ」を生み出すことができるようになります。

 

GT

 

このようにグループツーリングは多品種生産のコストダウン施策だけではなく、生産体制・生産システムの改善にも期待できます。

 

 

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この記事の著者

松宮 恭一郎

現状維持バイアスから抜け出し、全体最適を。 一緒に考える伴走型コンサルティングで理想の姿に導きます。

現状維持バイアスから抜け出し、全体最適を。 一緒に考える伴走型コンサルティングで理想の姿に導きます。


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