課題解決に役立つ技術セミナーの選び方【後編】

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 前回の課題解決に役立つ技術セミナーの選び方【前編】に続いて、解説します。

♦ 活用次第で大きな成果!?

 ものづくりに携わる技術者が、日々の業務の中で直面する未知の技術課題。その突破口を開いてくれるのが技術セミナーです。

 ひとくちに技術セミナーといっても、極めて多数・多種類の講義が開かれています。前編ではどのようなセミナーがあるのかを分析しました。後編ではそれらの中からあなたの技術課題解決にぴったりのセミナーを選ぶ方法を紹介します。

 

1. 受講目的を明確に

 まずどんなカテゴリに属するテーマのセミナーを探すかですが、これはあなたがいちばんご存知だと思います。現在取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしている業務に関する技術分野や、その関連分野ですね。

 ただ、新事業・新技術の探索をしたい場合や関連分野の知識を広げたい場合などには、なかなか探すカテゴリを絞り切れない場合もあるかもしれません。そういう時には、あなたの専門分野のキーワード+最近よく目にする(または気になる)キーワードで検索してみるのもひとつの方法です。例えば「自動車+SDGs」「品質マネジメント+機械学習」といった感じです。

 次にそのカテゴリのセミナーの中でどれを選ぶかですが、ここで「目的を明確にする」ことが大切になってきます。前編で紹介したように、技術セミナーには

  1. 入門セミナー
  2. 詳細・応用セミナー
  3. 最新技術紹介セミナー
  4. 実習セミナー
  5. 見学付セミナー

 など、受講者の目的とレベルに合わせてさまざまなパターンがあります。基礎的なことから学びたいなら①を、レベルアップを目指すなら②を、今後の業務展開の参考にしたいなら③を… というように、受講目的を明確にすることでセミナーを絞り込むことができます。

 

2. 絞り込んだ候補からセミナーを選ぶ

 ここまでで、受講目的に合ったいくつかのセミナーがピックアップされたと思います。その中でどれを選んで受講すればいいか?を見極めなければなりません。私はここで、講師の経歴や専門分野などのプロフィールに着目することをお勧めします。

 講師のプロフィールは各セミナーページに記されていますし、さらに詳しい専門分野は所属組織のWEBサイトやCiNii(国立情報学研究所)などの論文検索サイトなどでも調べることができます。その内容があなたの技術課題や業務分野などと近いほど、多くの受講成果を得られる可能性が高くなります。

 実会場でのセミナーでは大抵の場合講師と名刺交換ができ、後々さまざまな相談や依頼ができる可能性もありますので、その意味でも講師のプロフィールを吟味することは重要です。

 また前編で述べたようにセミナー講師には

  1. 技術コンサルタント
  2. 企業の技術者
  3. 大学・研究機関の研究者
  4. その他の専門家

 といった属性の人がいます。あなたが知りたいのが理論的な技術体系なら③の講師、技術の実践方法なら①や②の講師が、どちらかといえば適しています。

 これらを勘案して最適な講師のセミナーを選びますが、もし予算と時間の都合が付くなら、同じテーマで複数の講師のセミナーを受けると、それぞれ異なった視点からの知識を得ることができ、あなたの課題解決の選択肢・可能性がさらに広がることでしょう。

 

3. 受講セミナーを決めたら

 あなたの課題解決にぴったりのセミナーが見つかったら、日程調整や所属組織内の稟議などまだまだハードルがあるとは思いますが、できる限り早く受講を申し込みましょう。会場開催セミナーやインターネットでライブ配信するセミナーの場合、人気セミナーでは早い時期に満員締切となってしまうことがあり、一方深い専門分野のセミナーなどでは、ある時期までに申込みが一定数に達しないと開催中止となってしまうこともあるからです。

 申し込むと受講案内がメールや郵送などで届きます。会場や受講準備など詳細のほかに、講師への事前質問や希望が可能なセミナーではその送り先、期限なども記されています。受講をさらに有意義なものにするために、ぜひ活用してください。

 さて、いよいよ受講当日です。1.で考えた受講目的を再確認し、習得した内容をあなたの課題解決にどう反映するか?というアウト...

 前回の課題解決に役立つ技術セミナーの選び方【前編】に続いて、解説します。

♦ 活用次第で大きな成果!?

 ものづくりに携わる技術者が、日々の業務の中で直面する未知の技術課題。その突破口を開いてくれるのが技術セミナーです。

 ひとくちに技術セミナーといっても、極めて多数・多種類の講義が開かれています。前編ではどのようなセミナーがあるのかを分析しました。後編ではそれらの中からあなたの技術課題解決にぴったりのセミナーを選ぶ方法を紹介します。

 

1. 受講目的を明確に

 まずどんなカテゴリに属するテーマのセミナーを探すかですが、これはあなたがいちばんご存知だと思います。現在取り組んでいる、またはこれから取り組もうとしている業務に関する技術分野や、その関連分野ですね。

 ただ、新事業・新技術の探索をしたい場合や関連分野の知識を広げたい場合などには、なかなか探すカテゴリを絞り切れない場合もあるかもしれません。そういう時には、あなたの専門分野のキーワード+最近よく目にする(または気になる)キーワードで検索してみるのもひとつの方法です。例えば「自動車+SDGs」「品質マネジメント+機械学習」といった感じです。

 次にそのカテゴリのセミナーの中でどれを選ぶかですが、ここで「目的を明確にする」ことが大切になってきます。前編で紹介したように、技術セミナーには

  1. 入門セミナー
  2. 詳細・応用セミナー
  3. 最新技術紹介セミナー
  4. 実習セミナー
  5. 見学付セミナー

 など、受講者の目的とレベルに合わせてさまざまなパターンがあります。基礎的なことから学びたいなら①を、レベルアップを目指すなら②を、今後の業務展開の参考にしたいなら③を… というように、受講目的を明確にすることでセミナーを絞り込むことができます。

 

2. 絞り込んだ候補からセミナーを選ぶ

 ここまでで、受講目的に合ったいくつかのセミナーがピックアップされたと思います。その中でどれを選んで受講すればいいか?を見極めなければなりません。私はここで、講師の経歴や専門分野などのプロフィールに着目することをお勧めします。

 講師のプロフィールは各セミナーページに記されていますし、さらに詳しい専門分野は所属組織のWEBサイトやCiNii(国立情報学研究所)などの論文検索サイトなどでも調べることができます。その内容があなたの技術課題や業務分野などと近いほど、多くの受講成果を得られる可能性が高くなります。

 実会場でのセミナーでは大抵の場合講師と名刺交換ができ、後々さまざまな相談や依頼ができる可能性もありますので、その意味でも講師のプロフィールを吟味することは重要です。

 また前編で述べたようにセミナー講師には

  1. 技術コンサルタント
  2. 企業の技術者
  3. 大学・研究機関の研究者
  4. その他の専門家

 といった属性の人がいます。あなたが知りたいのが理論的な技術体系なら③の講師、技術の実践方法なら①や②の講師が、どちらかといえば適しています。

 これらを勘案して最適な講師のセミナーを選びますが、もし予算と時間の都合が付くなら、同じテーマで複数の講師のセミナーを受けると、それぞれ異なった視点からの知識を得ることができ、あなたの課題解決の選択肢・可能性がさらに広がることでしょう。

 

3. 受講セミナーを決めたら

 あなたの課題解決にぴったりのセミナーが見つかったら、日程調整や所属組織内の稟議などまだまだハードルがあるとは思いますが、できる限り早く受講を申し込みましょう。会場開催セミナーやインターネットでライブ配信するセミナーの場合、人気セミナーでは早い時期に満員締切となってしまうことがあり、一方深い専門分野のセミナーなどでは、ある時期までに申込みが一定数に達しないと開催中止となってしまうこともあるからです。

 申し込むと受講案内がメールや郵送などで届きます。会場や受講準備など詳細のほかに、講師への事前質問や希望が可能なセミナーではその送り先、期限なども記されています。受講をさらに有意義なものにするために、ぜひ活用してください。

 さて、いよいよ受講当日です。1.で考えた受講目的を再確認し、習得した内容をあなたの課題解決にどう反映するか?というアウトプットをイメージしながら受講しましょう。そうすると自ずと、疑問点やさらに知りたい点が出てくると思います。実会場のセミナーはもとよりインターネット配信のセミナーでも、多くの場合受講者からの質問の機会がありますので、遠慮せず積極的に質問しましょう。

 前編、後編の2回にわたり技術課題解決に役立つセミナーの選び方を紹介してきました。多数開催される中から選び出したあなたの課題にぴったりのセミナー。でもそれが本当に「役立つ」セミナーになるかどうかは、業務に戻ってからのあなたの成果活用次第です。今回のセミナーの成果であなたの技術課題が解決し業務が一歩前進したら、次の技術課題が発生するでしょう。そうしたらまた次の技術セミナーを探してみてください。

 あなたと所属組織・事業のさらなる発展のために、この記事が役立つことを願っています。

 


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この記事の著者

嶋村 良太

商品企画・デザインとエンジニアリングの両方の視点を統合し、顧客満足度の高い商品開発を実現していきます。

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