改善の限界を超える新プロセスを構築するDFSS(Design For Six Sigma)

 リーン・シックスシグマのアプローチは、DMAIC(Define/ Measure/ Analyze/ Improve/ Control)が世界標準のアプローチです。業務プロセスや開発プロセス、製造プロセスなど、改善対象となるプロセスが既に存在する場合には、Define(定義)、Measure(測定)、Analyze(分析)、Improve(最適化)、Control(維持制御)のフェーズに区分して、DMAICの順番通りに改善プロジェクトを進めて行きます。そうする事で、試行錯誤の繰り返しによる時間的金銭的損失を最小限に抑え、最短距離でプロセスを改善します。

シックスシグマの標準アプローチ
 まずDフェーズでは、VOC(Voice Of the Customer:顧客の声)を集め、上位マネジメントの意思を明らかにして、現状とのギャップを把握した上で、CTQ(Critical To Quality:最重要課題)を定義してプロジェクトを設定します。

 Mフェーズでは、必要なデータを収集して課題となる状態や状況を最も的確に測定して把握するための指標を抽出します。そしてその指標を使って目標値を決めます。

 Aフェーズでは指標目標に最も影響している数個の重要要因(Vital Few)を見つけ出します。

 Iフェーズではそれらの重要要因をコントロールして指標目標を達成します。

 そしてCフェーズでは最適化した状態を維持する為の仕組みを作ります。

 ところが、これまでに無い新しい製品やサービスを開発する場合にはVOC(Voice Of the Customer)や上位マネジメントのアイデアはあるが、具体的な現状や指標と言われてもまだ実績がありません。結果はともあれ失敗を覚悟でやってみるしかない場合や、現状のプロセスはもう改善をやり尽くしていて、これ以上の改善は対投資効果的に得策ではない場合には、標準アプローチのDMAICではなかなかうまく行きません。なぜなら既存プロセスの改善と言うよりはむしろ新しいプロセスを構築する事が必要だからです。

リーンシックスシグマ
 すなわち Define(定義)、Measure(測定)、Analyze(分析)、Design(設計)、Verify(検証)のフェーズでプロジェクトを進めます。

 Dフェーズでは新しいアイデアを使ったビジョンを明確にしてプロジェクトを設定します。

 Mフェーズでは新しいプロセスの良し悪しを測定する指標を開発します。

 Aフェーズでは新プロセスを実現可能なものにする為の分析を行います。

 Dフェーズではパイロット・プロセスを構築したり、試作を作ったり、シミュレーション環境を構築します。

 Vフェーズではテストやシミュレーションを行って新しいプロセス、試作、シミュレーション結果の検証を行います。

 

いろいろなシックスシグマ

 ところで、実はDFSSのアプローチに関しては、対象となる課題や会社によってそれぞれの違ったアプローチが存在します。例えばDMAOV(Define/ Measure/ Analyze/ Optimize/ Verify)やDFACE(Define/ Focus/ Analyze/ Create/ Evaluate)またはIDOV(Identify/ Design/ Optimize/ Verify) などのアプローチがそれです。

 

 どのアプローチを使うべきなのかと悩んでしまうところですが、心配は要りません。DFSSにはどのアプローチにも共通する流れがあります。「カスタマー領域」、「機能領域」、「実体領域」、「プロセス領域」の流れに沿っていると言う事です。「カスタマー領域」でアイデアの価値を明確にし、「機能領域」でアイデアを実現する為の機能を定義し、「実体領域」機能を実現する製品やサービスを試作し検証する、そして「プロセス領域」で商品として量産する製造プロセスを完成し、ビジネスとしてサービスを提供する仕組みを構築します。 

シックスシグマ共通のプロセス

 対象となるアイデアや、ビジネスの領域に合わせて、最適な DFSS アプローチを選択することが重要です。


この記事の著者

倉田 隆弘

リーン・シックスシグマ、コーチングを中心にものづくり企業への支援を行っています。

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