リーンシックスシグマ:計測の反復性と再現性の分析

 
  
品質工学
 
 今回は、少し技術的なこと、データ測定について解説します。
 
 シックスシグマは多くの場合、製造プロセスに用いられ、また DFSS (Design for Six Sigma)は多くの場合、ハードウェア設計に用いられます。(注:ソフトウェアやファームウェアの設計に DFSS を用いることもありますが、割合からすると、やはりハードウェア設計に用いる場合が多いのが現実です。ソフトウェアやファームウェアの DFSS については、後日書きます)。製造プロセスやハードウェアの設計には必ずデータ測定が付きまとい、そしてデータ測定には必ず誤差が付きまといます。測定したデータの誤差は避けられないものなので、むしろ、測定したデータの誤差がどこから来るのかを理解することが重要になってきます。
 
 ビジネスや設計の判断は測定したデータに基づいて行われるので、もし測定したデータに大きな誤差があった場合、誤った判断を行うことになりかねないからです。場合によっては、企業に大きなダメージを与えることがあります。重要な判断を行う前に、誤差を理解して、誤差を減らすための努力を行う必要があります。
 
 リーンシックスシグマ(シックスシグマや DFSS を含めて)では、測定データの誤差を理解するために、MSA (Measurement System Analysis:測定システム分析)、その中でも特に Gage R&R (Gage Repeatability & Reproducibility:計測の反復性と再現性の分析)が用いられます。
 
 誤差は大きく分けて、部品のバラつき、計測器によるバラつき、そして測定者によるバラつき、から来ます。例えば10個の部品(または商品)サンプルを測定した時に測定データにバラつきがあったとします。そのバラつきは一体どこから来たのでしょうか。部品自体のバラつきなのか、計測器のバラつきなのか、それとも測定者のバラつきなのでしょうか。バラつきの原因によって、バラつきを減らすための対応策が違ってきます。
 
 もし部品自体にバラつきがあった場合、製造プロセスや製造装置、設計を見直します。計測器にバラつきがあった場合は、計測器の更正を行ったり、最適な計測器に置き換えたりします。測定者にバラつきがあった場合は、測定手順や測定環境を正しく定めたり、測定者の知識や技術力を向上させる必要があります。すべて時間とコストがかかります。時間とコストを最小限に抑えるためにも、Gage R&R (Gage Repeatability & Reproducibility:計測の反復性と再現性の分析)はリーンシックスシグマの中でも欠かせないツールの一つとなっています。
 
 このように書くと Gage R&R は難しいもののように思えますが、実際はそれほどでもありません。僕は Minitab というソフトウェアを使って Gage R&R を行っているのですが、Minitab で Gage R&R の実行プランを作り、そのプランに従ってテスト(測定)を行い、測定結果を分析するだけです。
 
 典型的な例では、10 個のサンプル、計測器を一つ、そして3人の測定者を用意します。そして Minitab が生成したランダム化された順序(プラン)に従って、3人の測定者が順番に 10 個のサンプルを測定していきます。そして測定した結果を Minitab に記入し、分析を行うだけです。Minitab は測定誤差のうち、何パーセントがサンプル自体によるものなのか、何パーセントが計測器によるものか、そして何パーセントが測定者によるものなのか、という結果を返してくれます。
 
 許容できる誤差やバラつきは、企業や製品によって異なります。医療や宇宙、軍事にかかわる業界では許容範囲は狭く、一方では許容範囲のずいぶん広い業界もあります(あえて申しません)。もし、初めて Gage R&R を行うのであれば、分析のためにも、前もって許容量を決めておく必要があるでしょう。
 
 もし Gage R&R に関してご質問等があれば、お知らせください。できるだけお答えしたいと思います。
 

この記事の著者

津吉 政広

リーンやシックスシグマ、DFSSなど、問題解決のためのフレームワークを使った新製品の開発や品質の向上、プロセスの改善を得意としています。「ものづくり」に関する問題を一緒に解決してみませんか?

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