技術経営 特許活用によるイノベーション創出(その3)

更新日

投稿日

 

【特許活用によるイノベーション創出 連載目次】

 
 前回のその2に続いて解説します。
 

5. 技術経営に基づく2つのやり方

 
 前回まで、特許について解説してきました。自社の特許を読むことで、自社のコア・コンピタンスがわかる。すなわち、自社の強みがわかるということですが、次の2点が重要です。
 
  • その強みをどの分野に活かすか?
  • その強みをどう発展させていくか?
 
 全く自社の既存の技術や市場に基づかなければ、飛び地のビジネスになりリスクが高くなります。また、折角のいいアイデアでも社内で提案してもなかなか受け入れられないものになると思います。このスタートを自社のコアコンピタンスから考えるというのが、ポイントとなります。
 
 私は2つのやり方を提案したいと思います。それは、以下の様なアンゾフのマトリックスを用いて考えます。
 
 既存技術、新規技術、既存市場、新規市場の4つの中で、自社の現状は下図、左下の(既存技術)☓(既存市場)のモノを作って売っていると思われます。それを、特許の情報を利用して発展させていくというやり方です。
 
 知的財産
 
 次の、2つのやり方を提案いたします。
 
(1)のやり方は、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方
(2)のやり方は、既存技術を用いて、さらにその技術を発展させていくやり方
 
 それぞれ、例を上げて説明したいと思います。
 
(1)のやり方である、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方を説明します。自社技術を用いて新しい市場に展開する場合のやり方です。
 
 公式は以下です。
 
「保有技術」☓「商品等のキーワード」≒「保有技術適用可能な商品」
 
 「保有技術」とは自社の特許の中から選んだり、自社の技術シーズから絞り込むことが可能です。特許がない場合でも、技術者であれば自社の強い技術というのが何であるかわかると思います。以前、「自社の特許を見る」というところで説明したように、特許の中には強みとなる技術と、さらに利益を生み出しているネタが含まれています。
 
 そして、ある程度の客観的な指標となります。特許になっていないものでも構いませんが、その強さを客観的に見る必要はあると思います。そして、「商品等のキーワード」というのは、将来期待できる分野、自社と関連のある隣の分野などのキーワードを抽出します...

 

【特許活用によるイノベーション創出 連載目次】

 
 前回のその2に続いて解説します。
 

5. 技術経営に基づく2つのやり方

 
 前回まで、特許について解説してきました。自社の特許を読むことで、自社のコア・コンピタンスがわかる。すなわち、自社の強みがわかるということですが、次の2点が重要です。
 
  • その強みをどの分野に活かすか?
  • その強みをどう発展させていくか?
 
 全く自社の既存の技術や市場に基づかなければ、飛び地のビジネスになりリスクが高くなります。また、折角のいいアイデアでも社内で提案してもなかなか受け入れられないものになると思います。このスタートを自社のコアコンピタンスから考えるというのが、ポイントとなります。
 
 私は2つのやり方を提案したいと思います。それは、以下の様なアンゾフのマトリックスを用いて考えます。
 
 既存技術、新規技術、既存市場、新規市場の4つの中で、自社の現状は下図、左下の(既存技術)☓(既存市場)のモノを作って売っていると思われます。それを、特許の情報を利用して発展させていくというやり方です。
 
 知的財産
 
 次の、2つのやり方を提案いたします。
 
(1)のやり方は、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方
(2)のやり方は、既存技術を用いて、さらにその技術を発展させていくやり方
 
 それぞれ、例を上げて説明したいと思います。
 
(1)のやり方である、既存技術を用いて、新規市場を目指すやり方を説明します。自社技術を用いて新しい市場に展開する場合のやり方です。
 
 公式は以下です。
 
「保有技術」☓「商品等のキーワード」≒「保有技術適用可能な商品」
 
 「保有技術」とは自社の特許の中から選んだり、自社の技術シーズから絞り込むことが可能です。特許がない場合でも、技術者であれば自社の強い技術というのが何であるかわかると思います。以前、「自社の特許を見る」というところで説明したように、特許の中には強みとなる技術と、さらに利益を生み出しているネタが含まれています。
 
 そして、ある程度の客観的な指標となります。特許になっていないものでも構いませんが、その強さを客観的に見る必要はあると思います。そして、「商品等のキーワード」というのは、将来期待できる分野、自社と関連のある隣の分野などのキーワードを抽出します。このキーワードの選択はセンスが必要かもしれません。
 
 整理すると以下のステップになります。
 
  • 特許から自社のコア技術を抽出し、キーワードとする
  • ターゲットとする分野/領域を抽出
  • キーワードを掛けあわせて、特許の検索と読み込み
  • テーマの選定とシナリオ作成
  • 実行
 
 次回は具体例をあげて解説します。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

藤井 隆満

基礎研究から商品化まで一直線の開発。 目指す市場と技術のマッチング、知財戦略、バリューチェーンをどうするかということを論理的に考え、開発を加速させましょう。

基礎研究から商品化まで一直線の開発。 目指す市場と技術のマッチング、知財戦略、バリューチェーンをどうするかということを論理的に考え、開発を加速させましょう。


「知的財産マネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
AIによる知財戦略はどこまで進化する?分析の高度化と未来像

【目次】 「競合他社の特許出願状況を、もっと早く正確に把握できないか?」 「膨大な技術文献から、自社の次の研究開発テーマのヒン...

【目次】 「競合他社の特許出願状況を、もっと早く正確に把握できないか?」 「膨大な技術文献から、自社の次の研究開発テーマのヒン...


パロディーに絡んだ商標審・判決

1. パロディーに絡んだ商標審の事例   知財高裁平成25年 6月27日 事件番号 平24(行ケ)10454号無効審判審決取消請求事件判断:...

1. パロディーに絡んだ商標審の事例   知財高裁平成25年 6月27日 事件番号 平24(行ケ)10454号無効審判審決取消請求事件判断:...


特許調査 知財経営の実践(その6)

       1. 知財の持つ価値    知財経営の実践については、その重要性が参考文献のよう...

       1. 知財の持つ価値    知財経営の実践については、その重要性が参考文献のよう...


「知的財産マネジメント」の活用事例

もっと見る
自社コア技術の他用途への展開 -㈱氷温の事例-

1.はじめに  今回は、自社のコア技術の他の用途への展開についてお話いたします。  市場環境の変化に応じて多種多様な製品やサービスを開発してゆく必要性...

1.はじめに  今回は、自社のコア技術の他の用途への展開についてお話いたします。  市場環境の変化に応じて多種多様な製品やサービスを開発してゆく必要性...


特許侵害訴訟のリスク事例(サトウの切り餅) 後編

3.争いを防止するにはどうすればよいか  さて、前編で説明した状況の下で、サトウ食品の立場から、どうすべきであったか、また、これからどうすればよいか考え...

3.争いを防止するにはどうすればよいか  さて、前編で説明した状況の下で、サトウ食品の立場から、どうすべきであったか、また、これからどうすればよいか考え...


デザインによる知的資産経営:「ブランドづくり」(その1)

 今回は「無印良品」を例に挙げて、ブランドのつくり方、ブランドの力を、解説していきたいと思います。「無印良品」はなぜ「家」までも売り出したのか。そして、な...

 今回は「無印良品」を例に挙げて、ブランドのつくり方、ブランドの力を、解説していきたいと思います。「無印良品」はなぜ「家」までも売り出したのか。そして、な...