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自社コア技術の他用途への展開 -㈱氷温の事例-


1.はじめに

 今回は、自社のコア技術の他の用途への展開についてお話いたします。

 市場環境の変化に応じて多種多様な製品やサービスを開発してゆく必要性が高まっております。しかしながら、自社のコア技術に対応する製品が1つのみでは、市場の変化に対応できません。

 そこで、自社のコア技術を他の用途に展開することが対応する手段の一つとなります。コア技術の他の用途への展開に関して、最近では以下のニュースがありました。

「知財を生む産業育成を」 片山前総務相仙台で講演会

 生産性向上運動に取り組む東北生産性本部(仙台市)は12日、前総務相の片山善博慶大教授の講演会を仙台市青葉区の仙台商工会議所会館で開いた。東北の企業幹部ら約100人が参加した。(中略)

 地方企業が下請けに甘んじる構造を変える必要性も指摘し「付加価値が高く知的財産権を生む分野に力を入れてほしい」と強調した。鳥取県が開発した食品加工技術が医療分野などに利用され、関連企業が特許使用料を得た例などを紹介した。(2012年07月13日 河北新報 http://www.kahoku.co.jp/news/2012/07/20120713t12013.htm)

 Googleで詳細を調べましたところ、鳥取県の㈱氷温のコア技術である食品加工技術が医療分野における臓器保存の研究等にも活用された事例のようです(参考記事:http://www.jpo.go.jp/torikumi/chushou/pdf/bunkatu_jirei/tyuugoku_05.pdf)。

 ここでは、この㈱氷温のケースから、特許情報を利用した自社のコア技術の用途候補の探索について考えたいと思います。

2.事例分析

(1)㈱氷温の技術の概要

 「氷温」といわれる技術は、創業15年前に当時鳥取県の研究員だった創業者が、鳥取県の特産品である二十世紀梨の長期間保存の研究中に温度調節に失敗し、梨を凍らせてしまったため、常温に戻そうと数日間そのままにしていたところ、腐って大変なことになっていると思っていた梨が予想に反して保存開始前と同じ新鮮な状態を保っていたという偶然に起きたエピソードがきっかけで発見された技術です(関連特許:特許3787171号など)。

 この技術を、食品加工以外の技術分野に展開できないか考えたいと思います。

(2)特許調査の手順

 まず、㈱氷温の特許3787171号の技術的課題を抽出し、類似の技術的課題を有する特許出願を検索します。

 上記特許の技術的課題は以下のとおりです。

 氷結点以下の未凍結領域における特定の超低温条件下で冷却処理する方法に着目すると共に、該氷結点以下の未凍結領域における未凍結状態を確実に達成するための基本技術として、氷結点以下の未凍結領域でを好適な未凍結状態に維持する。(特許3787171号からの抜粋)

 この文章を用いて概念検索を行います。なお、概念検索は、特許電子図書館(IPDL)では行うことができませんので、有料の特許データベース(SRPARTNERなど)を利用する必要があります。

①共通する課題を有する技術の確認

 特許調査の結果、同様な課題を有する技術分野として以下の技術があることがわかります。

 

 食品関係以外の技術としては、「水、廃水、下水の処理(C02F)」、「基礎、根切り、築堤(E02D)」、「人間または動物または植物の本体・・・(A01N)」、「燃焼機関の制御(F02D)」などが、同様な課題を抱えている技術が存在することがわかります。

 したがって、土木分野、機械分野にも氷温技術が展開できる可能性があります。

 ここでは、ニュースにもあった臓器関連の技術「人間または動物または植物の本体・・・(A01N)」について、さらに詳細に検討します。

②A01Nの詳細の確認

 下図は、「人間または動物または植物の本体・・・(A01N)」に存在する技術を更に詳細に分析した結果です。

 図からわかりますように、4H011CB05臓器・その一部が横軸(Fターム)にありますので、確かに、ニュースにもありましたように、臓器の保存に氷温技術を適用できる可能性があります。

 また、図からは他の有望な用途として、胚細胞(C12N 5/00 202B)、細胞(4H011 CB08)あたりが出願件数が多く有望な用途であることがわかります。

 今話題のiPS細胞などは、まさにこの分野と考えられます。例えば、作成したiPS細胞を氷温技術で長期保存することが可能となれば、大きな事業となり、大きな収益をあげることが可能となるのではないでしょうか。

3.まとめ

 特許情報を分析することにより、自社のコア技術が展開可能な技術を検討することが可能となります。

 また、自社の技術分野とは異なる技術分野にまで調査範囲を広げることにより、意外な用途への展開も可能となり、自社事業を拡大することが可能となります。

 御社でも、特許情報を是非活用ください。


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川上 成年(かわかみ なりとし) / 株式会社知財デザイン
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