リスクマネジメント(その2)なぜ危機管理がうまくいかないのか

 
危機管理

1. 危機管理の難しさ

 なぜ、危機管理はうまくいかずに失敗するのでしょうか。危機管理は何をどうすればいいでしょうか。
 
 不祥事を起こすと企業は、あっという間に奈落の底に落ちていきます。危機管理の仕組みを導入しても、「本当の準備」はできていないということになります。 
 
 なぜ危機に対する正しい認識とその適切な管理がなされないのでしょうか。1つには、「人は(組織は)、危機に対し楽観的である」という根本的な特質を持っていると考えられます。これは、がんや心臓病が致命的な病気だということを知らない人がいないにもかかわらず、毎年検診に行く人はごく僅かかであり、手遅れとなる、ということと本質は同じではないでしょうか。
 
 危機の多くは、「起ってはいけないこと」と十分に承知をしているが、「自分たちだけは大丈夫」と根拠もなく信じているのです。少々の事柄が大事に発展するのは1%の不運でしかなく、「自分たちは当然残りの99%に入るはずだ」と信じているのです。
  

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2. 本当の危機とは

 次に、社内風土に問題がある場合です。風通しの悪い企業、臭いものに蓋をする企業文化、このような企業は内部の浄化機能が働かず、ある日突然、ストレスが溜まった社員が内部告発する事例があります。
すると、明るみにされた事実が突然マスコミで大きな不祥事として扱われ対応が後手に回ったり、対処方法を誤ると、それが悪い方向にどんどん陥っていくのです。では、本当の危機とは何でしょうか。どう対処すれば良いのでしょうか。企業の本当の危機とは何か、どう対処すればいいのか、考えてみましょう。
 
 本当の危機とは、財産や物などの目に見える価値の喪失ではありません。本当の危機とは、「社会の価値観」に背いた時に(社会的背任行為)訪れるのです。社会の価値観を見誤ることによって、取り返しのつかないダメージとなってしまいます。
 
 「危機」とは、姿形の無いもの、つまり「信頼・信用」に傷がついた時にそれが拡大して、企業ブランド価値を一瞬にして失ってしまうことなのです。しかし、「社会の価値観」は決して一定ではなく揺れ動きます。最近は「昨日の常識は今日の非常識」であることをよく認識しなければなりません。それを見極める目が必要になってきます。
 
 「業界の常識は社会の非常識」と言われるように、どの企業も大なり小なり同じことをしている、ということもできます。業界の慣習として昨日までは当たり前のよう思われていたことが、たまたま、マスコミに告発されたとたんに大騒ぎになります。今までは見過ごされ、気づいていなかった事態を、お役所も黙認できなくなり、告発に至って企業犯罪にまで発展します。最近に見られる多くの企業の不祥事がこれに該当します。
 
 「社会の常識」は、目まぐるしく変化します。ある時は「背任だ」と騒がれますが、ある時はほとんど話題にもならないこともあります。あえて言うと「それほどまでに悪い事なのか」と思われるケースも数多くあります。
 
 例えば、見落としもなく、性能に問題がないのだから、誰が検査しても同じではないかと、無資格者が検査をしていたが、監督官庁に指摘されて明るみになった、しかし、それほどまでに悪いことなのだろうか、と企業側は考えていたのかもしれません。
 
 本当の危機とは、不可抗力によるもの、不本意にも起こしてしまった過失だけでは訪れません。虚偽や隠ぺい、そして不誠実と思われても仕方がない対応によって引き起こされるのです。では、常日頃どのような心構えが必要なのでしょうか。また、不幸にして不祥事が発覚した場合、どのように対処したらよいでしょうか。次回では、この対処法を解説します。
  

この記事の著者

濱田 金男

製造業の現場ですぐ使える独自の品質改善技法の開発と普及活動を行っています。 「ヒューマンエラー防止対策」「簡易FMEA/FTA」「しくみを対策するなぜなぜ2段階法」

1972年OKI高崎事業所入社、設計、製造、品質部門を経験、多くの品質問題に かかわり、失敗経験も豊富、 2014年独立「中小企業」で実務ですぐ使える技法とツール開に取り組む! ●事後対策主体の品質管理から脱却 発生した問題の原因解析…

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