購買部門と物流部門との関係とは

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1. 購入費低減と物流改善

 会社の中には多くの部門があります。会社の規模が大きくなればなるほど部門が増え、部門間の壁も厚くなりがちです。すべての部門が同じ方向を向いて仕事ができればよいのですが、多少の軋轢はつきものです。そのような中で購買部門と物流部門との関係は難しくなりがちです。購買部門のタスクは購入費低減です。コストを減らすことで会社利益に直接的に貢献できる部門といえるでしょう。購買部門では部分品の発注先と単価決定を行います。お互いの関係を難しくしている一端はこの単価にあります。
 
 一般的に部品ごとに物流費がいくら、ということは見えていません。部品を構成する原価の中に物流費は含まれず、「管理費」の一部として物流費は扱われています。そして管理費は、部品原価の積み上げ値に対して何パーセントという取り決めになっています。一方で注意しなければならないことは物流費は「部品価格に比例するものではない」ということです。たとえば薬のような高額品1㎥を運ぶ時とお菓子のような安価なものを1㎥運ぶ時とで物流費は原則変わりません。このような実態があるにもかかわらず、高い部品でも安い部品でも便宜上同じ比率が乗じられ、管理費は支払われているのです。
 
 このように物流費が正確に把握されていない状況では「物流改善」にドライブがかかりづらいという弱点があります。誰しも物流コストが大きいと見れば改善していくことは間違いありません。しかし、価格建てでブラックボックス化されていると、購買部門はあまり物流改善に興味を持たないかもしれないのです。
 
 物流改善は何も物流コストを下げるだけではありません。多数回納入のように、在庫削減やリードタイム短縮についても立派な物流改善です。もし、このような改善を実施しようとすると、購買部門の反対にあうことがあります。何故でしょうか。それは今まで日に1回運んでいたものを、2回にすることで実質的な物流費が上昇するからです。そうなると結果的に購入品費低減につながらないため、購買部門は協力どころか反対の立場を取る可能性があるのです。
 
 SCM
 

2. 会社方針に基づく改善

 購買部門ではサプライヤーにコストダウンを依頼し、単価を下げてもらうことを仕事にしています。その過程で購買部門にはもう一つの仕事があるのです。もう一つの仕事とは「サプライヤー指導」です。一般的に購入側の方がサプライヤーよりも改善スキルなどが上回っている可能性があります。そうなるとそのスキルをサプライヤーに伝授することで改善を進め、最終的に下がった分のコストまたはその一部を価格に還元してもらうことを狙っているのです。
 
 この方式による改善は望ましい進め方ではないでしょうか。ただ、単純に価格を下げろというだけではなかなか進みませんので、サプライヤーは改善指導を受けて実改善を行う以外に、得意先に対して要望を出すことがあります。購買はこの要望にも耳を傾けることになります。
 
 この要望の中に物流がらみの案件も含まれています。その1つに「納入回数の削減」が挙げられます。サプライヤーがトラックで得意先に納入する便数を減らしたいという要望です。これは単純にトラック台数を減らすことで、対外支払いコストを下げるということです。そして、それを認めてもらえれば部品単価を少し値下げてもよいという話をしてきます。サプライヤーにとってみると物流コストが下がるというメリットがありますが、得意先にとってみると、在庫が増えて置き場所が不足するというデメリットがあります。
 
 この影響を一番受けるのが物流部門です。置場が足りなくなれば必死になって場所探しを行います。複数場所で部品管理が発生し、そのわずらわしさも出てくることでしょう。このように購買部門と物流部門でフリクションが起こることがあります。ではそのどちらを優先すべきか。それは会社方針によると思います。会社全体でコストを下げなければならない時期であれば、購買による購入費低減が優先されるでしょう。もしサプライチェーンのリードタイムを短縮し、顧客ニーズに応えるということでしたら上記のような要望は受けないかもしれません。
 
 やはり会社方針はそれだけ重要だということです。単純に目先のお金だけを欲しいのか、あるいはもっと大きな視点で物事を見るかで変わってくるのです。少なくとも物流部門は自分たちへの影響は数値化して社内に発信していく必要があると思います。しわを寄せられてそれで苦労するだけでは何も解決しないからです。
 

3. 皆がハッピーになれる改善アイデア

 できればサプライチェーン全体の効率化に貢献できる活動をしていきたいものです。このプロセスでは当然に購買部門と物流部門の意思が統一されている必要があります。サプライヤーにとってもメリットがある物流改善アイデアを提供してあげることも物流部門のタスクであると考えられます。たとえば、段ボール荷姿を廃止し、通箱を導入するというアイテム。毎回毎回、段ボールを購入するよりもコストメリットがあるならば通箱を提案することもありではないでしょうか。そして通箱は折り畳みまたはネスティングのできるタイプとすることで、サプライヤーの物流コスト改善に寄与します。
 
 容器を圧縮することは輸送コストを削減できるばかりではなく、スペースセービングや容器の横持工数削減にも寄与することができます。エリアさえ確保できるのであれば、まとめて受け入れることも考えてもよいかもしれません。ただし、お互いに在庫を持た...
 

1. 購入費低減と物流改善

 会社の中には多くの部門があります。会社の規模が大きくなればなるほど部門が増え、部門間の壁も厚くなりがちです。すべての部門が同じ方向を向いて仕事ができればよいのですが、多少の軋轢はつきものです。そのような中で購買部門と物流部門との関係は難しくなりがちです。購買部門のタスクは購入費低減です。コストを減らすことで会社利益に直接的に貢献できる部門といえるでしょう。購買部門では部分品の発注先と単価決定を行います。お互いの関係を難しくしている一端はこの単価にあります。
 
 一般的に部品ごとに物流費がいくら、ということは見えていません。部品を構成する原価の中に物流費は含まれず、「管理費」の一部として物流費は扱われています。そして管理費は、部品原価の積み上げ値に対して何パーセントという取り決めになっています。一方で注意しなければならないことは物流費は「部品価格に比例するものではない」ということです。たとえば薬のような高額品1㎥を運ぶ時とお菓子のような安価なものを1㎥運ぶ時とで物流費は原則変わりません。このような実態があるにもかかわらず、高い部品でも安い部品でも便宜上同じ比率が乗じられ、管理費は支払われているのです。
 
 このように物流費が正確に把握されていない状況では「物流改善」にドライブがかかりづらいという弱点があります。誰しも物流コストが大きいと見れば改善していくことは間違いありません。しかし、価格建てでブラックボックス化されていると、購買部門はあまり物流改善に興味を持たないかもしれないのです。
 
 物流改善は何も物流コストを下げるだけではありません。多数回納入のように、在庫削減やリードタイム短縮についても立派な物流改善です。もし、このような改善を実施しようとすると、購買部門の反対にあうことがあります。何故でしょうか。それは今まで日に1回運んでいたものを、2回にすることで実質的な物流費が上昇するからです。そうなると結果的に購入品費低減につながらないため、購買部門は協力どころか反対の立場を取る可能性があるのです。
 
 SCM
 

2. 会社方針に基づく改善

 購買部門ではサプライヤーにコストダウンを依頼し、単価を下げてもらうことを仕事にしています。その過程で購買部門にはもう一つの仕事があるのです。もう一つの仕事とは「サプライヤー指導」です。一般的に購入側の方がサプライヤーよりも改善スキルなどが上回っている可能性があります。そうなるとそのスキルをサプライヤーに伝授することで改善を進め、最終的に下がった分のコストまたはその一部を価格に還元してもらうことを狙っているのです。
 
 この方式による改善は望ましい進め方ではないでしょうか。ただ、単純に価格を下げろというだけではなかなか進みませんので、サプライヤーは改善指導を受けて実改善を行う以外に、得意先に対して要望を出すことがあります。購買はこの要望にも耳を傾けることになります。
 
 この要望の中に物流がらみの案件も含まれています。その1つに「納入回数の削減」が挙げられます。サプライヤーがトラックで得意先に納入する便数を減らしたいという要望です。これは単純にトラック台数を減らすことで、対外支払いコストを下げるということです。そして、それを認めてもらえれば部品単価を少し値下げてもよいという話をしてきます。サプライヤーにとってみると物流コストが下がるというメリットがありますが、得意先にとってみると、在庫が増えて置き場所が不足するというデメリットがあります。
 
 この影響を一番受けるのが物流部門です。置場が足りなくなれば必死になって場所探しを行います。複数場所で部品管理が発生し、そのわずらわしさも出てくることでしょう。このように購買部門と物流部門でフリクションが起こることがあります。ではそのどちらを優先すべきか。それは会社方針によると思います。会社全体でコストを下げなければならない時期であれば、購買による購入費低減が優先されるでしょう。もしサプライチェーンのリードタイムを短縮し、顧客ニーズに応えるということでしたら上記のような要望は受けないかもしれません。
 
 やはり会社方針はそれだけ重要だということです。単純に目先のお金だけを欲しいのか、あるいはもっと大きな視点で物事を見るかで変わってくるのです。少なくとも物流部門は自分たちへの影響は数値化して社内に発信していく必要があると思います。しわを寄せられてそれで苦労するだけでは何も解決しないからです。
 

3. 皆がハッピーになれる改善アイデア

 できればサプライチェーン全体の効率化に貢献できる活動をしていきたいものです。このプロセスでは当然に購買部門と物流部門の意思が統一されている必要があります。サプライヤーにとってもメリットがある物流改善アイデアを提供してあげることも物流部門のタスクであると考えられます。たとえば、段ボール荷姿を廃止し、通箱を導入するというアイテム。毎回毎回、段ボールを購入するよりもコストメリットがあるならば通箱を提案することもありではないでしょうか。そして通箱は折り畳みまたはネスティングのできるタイプとすることで、サプライヤーの物流コスト改善に寄与します。
 
 容器を圧縮することは輸送コストを削減できるばかりではなく、スペースセービングや容器の横持工数削減にも寄与することができます。エリアさえ確保できるのであれば、まとめて受け入れることも考えてもよいかもしれません。ただし、お互いに在庫を持たなければならないアイテムですから慎重に見極めることも必要です。部品の組立単位を変更することも1つのアイデアです。余分な部品がついているために荷姿効率が低下し、輸送コストを押し上げているのであればその部分だけ受け入れてから組み付けるといったことを考えてもよいでしょう。
 
 自社の工程とサプライヤーの工程を同期させることも大きなメリットがあります。何せこの同期生産は在庫を減らすことができ、リードタイム短縮にもつながるからです。これは非常に効果の大きな改善アイテムです。できれば自社の生産着手時刻からさかのぼってトラックの輸送タイムを定め、トラックが出発する30分程度前にサプライヤーの生産が完了するように設計するのです。簡単なアイテムではありませんが、効果が大きいだけでなくサプライヤーの生産体力向上に貢献できる優れものです。このような改善であれば購買部門も喜んで協力してくれることでしょう。
 
 いかがでしょうか。普段購買部門との間で悩まれている物流部門の方も少し視点を変えてみる気になったのではないでしょうか。本来であれば社内の誰もが同じ方向を向いていられれば問題ありませんが、実際にはそうでもないことが多々あることでしょう。ここを一工夫することで購買部門も物流部門もサプライヤーも皆がハッピーになる取り組みにつながることを知っておきたいものです。
  

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この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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