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人的資源マネジメント:プロジェクト・ビジョンとは(その1)


1. プロジェクト・メンバーの心をひとつにする

 前回から実際のプロジェクトでの『やる気の技術』を紹介しています。今回は、プロジェクト開始時のチームビルディングがテーマです。プロジェクトが困難であればある程、重要となるのがプロジェクト・メンバーが心をひとつにすること、プロジェクトの一体感を早期に作り出すことができるかどうかです。そして、プロジェクト・メンバーの心をひとつにすることが大切であることは、プロジェクト管理技法などの教科書には必ず書いてあります。最近では、「チームビルディング」という言葉も一般的になりました。
 
 このような中でよく言われるのが、プロジェクトをはじめるにあたって最初にすべきことは、【プロジェクト・ミッション】あるいは、【プロジェクト・ビジョン】を明確にすることだということです。
 
 プロジェクト・ミッションとは、簡単にいうと、プロジェクトの目的、目標、戦略を明文化し、プロジェクトの関係者で共有することです。ここで、目的とは何のためにこのプロジェクトを行うのかを、目標とは機能(内容)、期日(時間)、リソース(要員や予算)などの達成目標や制約条件を、そして、戦略とはそれらの優先順位を明確にすることです。
 
 つまり、プロジェクト・ミッションは、プロジェクトとしてやることと、やらないことを明確にするためのものだといえるでしょう。いわば、ルールを決めるようなもので、進め方についての共通理解を作るのに効果的ですが、心をひとつにする効果はあまり期待できません。
 
 心をひとつにするためには、メンバーがプロジェクトに対してやる気を感じる必要があります。そこで、プロジェクト成功の秘訣といわれているのが、プロジェクト・ビジョンを作成することです。プロジェクト・ビジョンとは、プロジェクトが目標を達成したときの様子を、ありありとイメージし表現したものです。
 
 たとえば、この製品で世界一の通信速度を達成するとか、これまでの10倍の200万台の売上げを目指すとか、まだ誰も知らないはじめての機能を搭載するというようなことを、もっと具体的にしたものです。
 
 プロジェクト・メンバーは、このようなビジョンが現実となる日を想像するとワクワクし、それがプロジェクト遂行のモチベーションになるのです。夢に憧れ、プライドに火をつけるものがビジョンです。プロジェクト・メンバーはそのビジョンを実現することに向かってひとつになるのです。
 

2. プロジェクト・ビジョン

 さて、ここまでプロジェクト・ビジョンについて解説しましたが、どんな印象を持ったでしょうか。 スッと頭に入って来たでしょうか。 何の魅力も感じなかったでしょうか。 それとも、何となく居心地の悪い違和感を感じたでしょうか。
 
 ビジョンに魅力を感じなかった人や、居心地の悪さを感じた人は、ビジョンがモチベーションにはならない可能性があります。一般的には、夢や高い目標を持つことがモチベーションにつながるといわれていますが、実は、夢や高い目標にワクワクする人ばかりではないのです。このようなことは、実際のプロジェクト現場でもあります。プロジェクト・マネジャー(PM)がメンバーをワクワクさせようと世界一、日本一というようなビジョンを掲げても、メンバーはしらけてしまって、より距離が広がるような経験はありませんか、 これは、PMとメンバーとの間に信頼関係ができていないということもありますが、ビジョンには魅力を感じないメンバーだったということもあります。
 
 「コンフォートゾーンに注意」の中で、人によってモチベーションの源泉が違うことを紹介したことを思い出してください。図38はモチベーションのためにはどのような問題を扱えばよいのかのリストでしたが、これを見ると、どうやると、どうなると、モチベーションを感じるのかは、人によって様々であることがわかります。ビジョンにモチベーションを感じる人ばかりではないのです。
 
人的資源マネジメント
図38. 解決したい問題(モチベーション・コーチング)
 
 実は、「コンフォートゾーンに注意」で紹介したモチベーション・コンサルティングを通じて興味深いことがわかりました。それは、モチベーションの源泉によって人は大きく2つのうちのどちらかの傾向があるということです。
 
 まず、ビジョンという未来のイメージにワクワクしてやる気が出るというタイプ。このタイプの人たちを【未来指向】と呼びましょう。
 
 そしてもう一つのタイプは、未来のイメージであるビジョンに魅力を感じるのではなく、その時々をどう過ごすのかを大切にして、自分らしさに魅力を感じる人たちです。メンバーが楽しくプロジェクトに参加できることだったり、一人ひとりが他のメンバーのことを考えて行動することだったり、メリハリのある毎日を過ごすことだったりすることが大切なのです。このタイプの人たちを【現在志向】と呼びましょう。
 
  次回は、未来指向と現在指向について解説を続けます。
  

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(いしばし りょうぞう) / 専門家A / 株式会社 RDPi

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