永続地帯: 新環境経営 (その40)

 新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、経済成長に邁進してきた中で発生した公害の歴史、CSRの取組の変遷、環境マネジメントシステム、有害物質管理の現状、エネルギーマネジメント、エコを経営に活かす、その後、省エネ、創エネ、畜エネの現状について紹介してきました。一通りの紹介が終わり、前回までは感性工学についてでした。今回からは永続地帯について取り上げます。
 

1. エネルギーと食料の自給

CSR
 これまで、持続可能経営や持続可能社会の観点で、色々な取り組みについて紹介してきましたが、実際の経営や社会では、源流では持続可能と思われる新たな仕組みを導入しても、現場では継続できず、形骸化している仕組みも多いようです。縄文、弥生から現代まで、持続可能の観点で、社会は本当に進化しているのでしょうか。近年、縄文文化の研究が進み、縄文時代は農耕に拠らない狩猟定住型の暮らしが長く続き、争い事も少なかったと言われています。クルミやドングリの木を植えて育て、その実を食料とするために、火炎土器で煮炊きして食していたようです。大陸から農耕技術が伝わり、以来、農作で食料を得る様になります。
 
 戦後は、GDPを大きくすることに邁進してきたわけですが、一方で社会的格差は益々広がりました。そこで、戦後復興期の70年間の一億総サラリーマンの時代に見切りをつけて、1次産業を目指す若者も徐々に増えてきました。社会の高齢化と共に、農業が世襲から、新規農業参入者に置き換わり始めています。又、再生可能エネルギーへの取り組みも当たり前になり、エネルギーと食料の自給を目指す考え方がでてきました。
 

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2. 永続地帯とは

 そこで「永続地帯」の話ですが、この取り組みは2004年から始まっています。永続地帯とは、再生可能エネルギーによるエネルギーの自給と、食料の自給を、地域ごとに「見える化」するもので、持続可能の原点に返るものです。2011年頃から地域ごとのエネルギーの自給と、食料の自給状況が「見える化」され、毎年公表されています。年度ごとに自給率の増減が見える様になり、持続可能社会に向け、着手すべき方向が見えて来ています。
 
 日本には原材料がない、エネルギー資源がない、食料もないということで、工業製品の輸出で稼いで、資源や食料を輸入することで国を富ませる政策が優先されましたが、高度成長、バブル崩壊後の低成長時代を経て、今、改めて、ローカルにエネルギーと食料を自給自足する方向で考える時代になりました。人間が生きる上で、最低限必要なものは、エネルギーと食料です。人類はこれを確保する手段として技術の進歩を進めてきたはずですが、技術開発の方向がエネルギーの過剰消費に向かい、今やその方向性では人類全体の生存が危ういところまできてしまいました。そこで、「永続地帯」です。
 
 永続地帯(sustainable zone)とは、「その区域で得られる再生可能エネルギーと食料によって、その区域におけるエネルギー需要と食料需要のすべてを賄うことができる区域」です。その区域で得られる再生可能エネルギーと食料の総量が、区域におけるエネルギーと食料の需要量を超えていれば、永続地帯となります。永続地帯の観点で見ると、大都市は地方にエネルギーと食料を全面的に依存しているわけで、便利な生活を享受していますが、持続可能な状態ではないことが解ります。永続地帯は、国が進めている地域創生を進める上で、示唆に富む内容になっています。
 
 次回は、「永続地帯」の現状について紹介します。
 

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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