【エキスパート会員インタビュー記事】自動車産業の革新とエネルギーの融合(前田 義男氏) エキスパート会員インタビュー(その6)

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【目次】
     
     

    はじめに

    CASE、MaaSやSDVなどのKey Wordに代表される大きな変化を続けている自動車業界において、モノづくりドットコムのエキスパート会員の一人、前田 義男 氏は研究開発という業界の変化の最前線の現場で活躍されてきました。前田氏はエンジンの研究開発を通じてエネルギー業界ともつながりから地球温暖化対策への課題意識を強く持つに至り、将来の自動車業界やエネルギー業界の発展のために今も活躍を続けておられます。

    今回はそんな前田氏にご専門の分野に関するご経験や想いについて伺いました。

     

    エキスパート会員プロフィール

    氏名:前田 義男 氏

    専門分野:モビリティ技術革新、内燃機関研究開発、エネルギー戦略、環境影響評価(地球温暖化対策)、産学協同プロジェクト

    キャリア概要:前田義男氏は、1979年北海道大学工学部機械工学科を卒業後、日産ディーゼル工業に入社し、商業車用ディーゼルエンジンの開発に携わります。1985年、本田技術研究所へ移籍し、エンジン先行研究を担当。1997年から5年間、ホンダの北米研究所に駐在、米国の大学や企業との共同研究や北米専用車の先行研究を担当。技術戦略部門では、エネルギー関連の調査や研究に従事し、産学協同プロジェクトや自動車技術会で幅広く活躍しました。特に、エネルギーとモビリティの未来に関する研究や若手研究者への指導に力を入れ、多方面でのネットワーク構築に成功。2019年からは早稲田大学次世代自動車研究機構で招聘研究員として、未来の自動車社会に向けた研究開発に貢献しています。

     

    これまでのご経験について

    前田氏は、早稲田大学の次世代自動車研究機構に属していますが、その前は本田技術研究所に所属し、内燃機関の研究開発を主に担当。ホンダでのキャリア後半は技術戦略の部署に所属し、自動車とエネルギーに関わる様々な調査や研究を担当。加えて自動車技術会での活動を通じて社外のエネルギー分野の方々とのネットワークを作り、自動車技術会での調査研究活動を通じて自動車に関わるエネルギーと将来技術関連の提言で経済産業省とディスカッションをしたり、未来予想的な検討や若手研究開発担当者へのアドバイスを行ってきました。

     

    今のご専門の分野に進まれたきっかけや想い

    前田氏のキャリアは、エネルギー分野での社外ネットワークの必要性から始まりました。エンジン研究開発に従事していた彼は、エネルギーの重要性を内部で訴えており、それが評価されて現在の領域に進むことになりました。エネルギー分野の専門家としての経験を積むことで、社外的には自動車技術会やエネルギー・資源学会の活動を通じて、自動車業界とそれを取り巻く多様なエネルギー業界とのコミュニケーションを行ってきました。

     

    エキスパート登録した動機・想い

    前田氏は、自動車に関連したエネルギーの専門家としての豊富な経験を活かし、さらに広い視野で技術戦略を検討し、革新的な技術やビジネスモデルの可能性を追求しています。特に電気自動車の普及だけでは温室効果ガス削減には大きな効果はなく、時代の大きな転換期にあたり、彼は日本の産業競争力を維持向上させるために業界を越えた協力とディスカッションの場を設けることの重要性を強調しています。

     

    過去のご相談に対して工夫したこと

    前田氏は、製品のカーボンフットプリントを含めたデジタルデータの提供が必要になる現在の状況に対応するため、日本全体の遅れを取り戻すための意識向上や業界を超えて、国・地域が連携したデータの共有化の必要性を提言しています。アジア全域に広がるサプライチェーンを考慮すると、このような取り組みは特に重要です。

     

    相談者へのメッセージ

    前田氏は、自動車業界が直面する現在の課題、特に電気自動車の普及による変化を認識しながらも、燃料の多様化を前提としたエンジン技術の可能性や他の業界と連携をした技術の応用可能性を探ることの重要性を強調しています。彼は、技術の俯瞰的な見方を持ち、業界を超えたディスカッションを通じて、新たな可能性を見出すことを期待しています。

     

     

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     前田義男 氏の詳細プロフィール情報(キャリアブック)

     


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