顧客事情による品質低下

 
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 顧客クレームは宝の山と言いますが出来れば顧客苦情は受け付けたくないものです。 基本的には自社サービス提供過程に問題がある事を前提に調査を行いますが、時には顧客事情によって品質低下が発生する場合もあります。
 
  この顧客事情による品質低下は顧客側の「工程変更」や「工程管理方法の変更」の結果、これまで見えなかった”粗が見える“ケースが該当します。例えば原料を納入している場合で言えば、顧客側のプロセス変更後に顧客製品の歩留りが低下してしまう様な事例が該当します。この様な工程変更による品質低下は顧客工程でのプロセスマージンが低下し、ばらつきが増大した為に工程能力低下が生じているケースが多いようです。
 
 品質設計においては原料品質の変動を受け難いプロセス設計を行う事が重要ですが、時折マージンが少ない工程をリリースし、原料品質の変動が従来より増幅して反映されてしまい、結果として重要品質特性にリニアに反応してしまうケースがあります。立ち上げ時は調子良く、その後ばらつきが大きくなって異常と気づくのですが、顧客側は調子が良い時もあるのだから”その時の状態と同じ原料“を供給するよう主張します。
 
 一理ある主張ですが、プロセスマージンが低下する変更を行い、元に戻さずサプライヤーにそれをカバーさせるのは受動的対応でありリスクが高いと感じます。原料品質安定化の意味で 「別枠で改善要望を出す」のは、有りだと思いますが、仕様も満たしており、SPC工程管理も異常が無く、十二分にインスペックの製品が納入されているのであれば顧客苦情扱いで対応させるのは酷と言えるでしょう。
 
 信頼性不良の位置づけが大きい半導体や精密材料業界でこの手のグレイな苦情を比較的良く観ます。プロセス安定化の面で考えれば本当は両社が協力して解決への道を探るのが良策に違いないのですが、技術情報開示の壁もあり中々難しいのが現状です。
 
 一方でサプライヤーが複数(同業他社も納品している)場合で競合品で劣化が観られなかった場合は問題です。他社品へ全面切換えされたり、注文を大幅に減らされたりと苦情は来ないまでも実害が生じるので対応は必須となります。
 
 苦情にならなくても、同業他社と同等品質にしなければ今後は購入しないと言われれば対応せざるを得ませんから当たりは弱くても苦情相当となります。同様な有意差が見られる顧客側の変更要因の一つに、感度の高い測定器を導入したらこれまで差が見られなかった特性に有意な差が見られる様な場合もあります。
 
 この場合は苦情にはなりにくいですが、やはり『良い状態の時』に合わせてほしい、つまりベストロットの品質のものを安定して供給して欲しいと求められるでしょう。このように自社の品質管理は変わらなくても顧客事情で改善を求められるケースも多々あります。日頃から顧客ニーズに敏感になるだけでなく技術力情報も抑えておき、先行対応出来るような開発体制を敷いておく事が備えとなります。
 

この記事の著者

眞名子 和義

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