物流業務の内製化とアウトソース(その3)

更新日

投稿日

SCM

 

◆物流内製化の流れ

大手通販事業者が受注後2時間半で商品を顧客に届けるということが話題になっています。通販の差別化は商品ラインナップだけでなく、物流も大きなファクターに間違いありません。では物流では何が差別化アイテムになるでしょうか。それはずばり、リードタイムとコストです。顧客は買ったものはすぐに欲しい。しかも配送料が無料となれば顧客は喜ぶわけです。

 

そこでこの大手通販事業者も、このリードタイムとコストを武器に、シェア拡大を狙っているのです。しかしここで一つ大きな決断がありました。それは配送を物流事業者に任せるのではなく、自社の社員で行うということです。今まで輸配送は専業者にアウトソースすることが半ば常識のようなものでした。

 

しかし昨今のトラックドライバー不足や運賃の値上げもあり、必ずしも物流事業者を使うことが常にメリットが出ることではなくなったのです。たしかに労働力不足でものを顧客に届けられないようでは話になりません。それよりも確実に配送ができ、顧客対応も保証できる内製化が重要な選択肢になりつつあるのです。

 

これは別の通販事業者でも同様です。アウトソース先を教育して物流品質を上げてもらうことも考えられますが、それよりも自社の社員を教育した方が「資産」となる、という発想でしょう。この事例でもわかる通り、今まで当たり前のようにアウトソースしていた仕事についても、今一度見直す時期に来ているのかもしれません。

 

メーカーや卸業でも物流の内製化は大いに検討する余地があると思います。一番の目的は輸送力の確保です。そして、二つ目は物流品質です。

 

メーカーを中心に物流子会社を持っている会社があります。この10年ほど、子会社を物流専業者に売却する動きが盛んでした。しかし近年は子会社にしっかりと仕事を実施...

SCM

 

◆物流内製化の流れ

大手通販事業者が受注後2時間半で商品を顧客に届けるということが話題になっています。通販の差別化は商品ラインナップだけでなく、物流も大きなファクターに間違いありません。では物流では何が差別化アイテムになるでしょうか。それはずばり、リードタイムとコストです。顧客は買ったものはすぐに欲しい。しかも配送料が無料となれば顧客は喜ぶわけです。

 

そこでこの大手通販事業者も、このリードタイムとコストを武器に、シェア拡大を狙っているのです。しかしここで一つ大きな決断がありました。それは配送を物流事業者に任せるのではなく、自社の社員で行うということです。今まで輸配送は専業者にアウトソースすることが半ば常識のようなものでした。

 

しかし昨今のトラックドライバー不足や運賃の値上げもあり、必ずしも物流事業者を使うことが常にメリットが出ることではなくなったのです。たしかに労働力不足でものを顧客に届けられないようでは話になりません。それよりも確実に配送ができ、顧客対応も保証できる内製化が重要な選択肢になりつつあるのです。

 

これは別の通販事業者でも同様です。アウトソース先を教育して物流品質を上げてもらうことも考えられますが、それよりも自社の社員を教育した方が「資産」となる、という発想でしょう。この事例でもわかる通り、今まで当たり前のようにアウトソースしていた仕事についても、今一度見直す時期に来ているのかもしれません。

 

メーカーや卸業でも物流の内製化は大いに検討する余地があると思います。一番の目的は輸送力の確保です。そして、二つ目は物流品質です。

 

メーカーを中心に物流子会社を持っている会社があります。この10年ほど、子会社を物流専業者に売却する動きが盛んでした。しかし近年は子会社にしっかりと仕事を実施してもらう動きも出てきています。中長期的にはこの流れになるような気がします。

 

物流業務を内製で行った方が良いのか、アウトソースするべきか、この課題については少し時間をかけて慎重に判断した方がよさそうです。そうですね、10年くらい先を考慮して判断してみてはいかがでしょうか。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
面積原価(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その8)

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その8)

1.ネット社会では商品のライフサイクルも短く、口コミで売れ行きが急激に変わる    前回のその7に続いて解説します。次のグラフを見てください...

1.ネット社会では商品のライフサイクルも短く、口コミで売れ行きが急激に変わる    前回のその7に続いて解説します。次のグラフを見てください...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流のプロを育成:物流業務での若手育成(その1)

  ◆コミュニケーション力 皆さんの会社で、35歳未満の若手の物流担当の方はいらっしゃいますでしょうか?このクラスは今後の物流幹部候補で...

  ◆コミュニケーション力 皆さんの会社で、35歳未満の若手の物流担当の方はいらっしゃいますでしょうか?このクラスは今後の物流幹部候補で...


今の状況が良いのか悪いのか 本当の見える化で効率向上(その4)

◆ 物流現場を管理状態に置く  仕事の「計画」と「実績」がわかるということは、物流現場が管理状態にあるということです。それがわからなければ残念ながら...

◆ 物流現場を管理状態に置く  仕事の「計画」と「実績」がわかるということは、物流現場が管理状態にあるということです。それがわからなければ残念ながら...


物流は認知されているか、地位向上を考える(その1)

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...