輸送単価改善とは : これからの輸送改善のコツ(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 輸送単価改善

 前回と同様に輸送コスト式を見てみましょう。

   ・輸送コスト = 距離 × 物流量 × 輸送単価

 この連載では、この右辺の内「距離」と「物流量」について見てきました。これから輸送コストを下げていくためにはこの二つの要素が重要で集中的に縮めていくことが求められます。

 さてもう一つ残された項目が「輸送単価」です。もしかしたら物流改善はできなかったものの輸送単価改定だけはやったという方もいらっしゃるかもしれません。日本には運送会社が約6万3000社あります。過当競争状態にあるため交渉をすれば輸送単価は下がっていました。

 しかし最近はドライバー高齢化に伴うドライバー不足のため輸送単価が下がりづらくなってきました。場合によっては値上げを受け入れざるを得なかったケースもあることでしょう。昨今の輸送単価の下方硬直性の要因はドライバー不足ですが、今後外国人労働者が入って来るとか、宅配に関する規制緩和(運送事業者以外が運ぶなど)とか状況が変わればまた下がる機会は無いとは言えません。当面は今の状況が続くと思われ、少しでも値上げ回避を図るためには一定の活動を行う必要がありそうです。

 その一つが「構内滞留時間の短縮」です。トラックを待たせる時間をとにかく改善することです。早い者勝ちになっているトラック到着時刻を改善することです。多くの会社がトラックを待たせることに無頓着すぎます。もし輸送単価を維持または下げたいのであればこの点を意識した改善を進めましょう。

 トラック到着前に確実に荷揃えする、着荷主の場合には荷降ろし場を整理しスムーズな荷卸しをできるようにする、トラックバースや荷役用フォークリフトなどを整備するなどの取組を実施しましょう。そして長距離輸送については鉄道や船舶を利用することも検討しましょう。トラックの大型化と混載を同時に進めることも効果的です。

・・・・・・・・・・・・・・・

 いかがでしょうか。す...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 輸送単価改善

 前回と同様に輸送コスト式を見てみましょう。

   ・輸送コスト = 距離 × 物流量 × 輸送単価

 この連載では、この右辺の内「距離」と「物流量」について見てきました。これから輸送コストを下げていくためにはこの二つの要素が重要で集中的に縮めていくことが求められます。

 さてもう一つ残された項目が「輸送単価」です。もしかしたら物流改善はできなかったものの輸送単価改定だけはやったという方もいらっしゃるかもしれません。日本には運送会社が約6万3000社あります。過当競争状態にあるため交渉をすれば輸送単価は下がっていました。

 しかし最近はドライバー高齢化に伴うドライバー不足のため輸送単価が下がりづらくなってきました。場合によっては値上げを受け入れざるを得なかったケースもあることでしょう。昨今の輸送単価の下方硬直性の要因はドライバー不足ですが、今後外国人労働者が入って来るとか、宅配に関する規制緩和(運送事業者以外が運ぶなど)とか状況が変わればまた下がる機会は無いとは言えません。当面は今の状況が続くと思われ、少しでも値上げ回避を図るためには一定の活動を行う必要がありそうです。

 その一つが「構内滞留時間の短縮」です。トラックを待たせる時間をとにかく改善することです。早い者勝ちになっているトラック到着時刻を改善することです。多くの会社がトラックを待たせることに無頓着すぎます。もし輸送単価を維持または下げたいのであればこの点を意識した改善を進めましょう。

 トラック到着前に確実に荷揃えする、着荷主の場合には荷降ろし場を整理しスムーズな荷卸しをできるようにする、トラックバースや荷役用フォークリフトなどを整備するなどの取組を実施しましょう。そして長距離輸送については鉄道や船舶を利用することも検討しましょう。トラックの大型化と混載を同時に進めることも効果的です。

・・・・・・・・・・・・・・・

 いかがでしょうか。すぐに輸送単価を下げることは難しくても取り組むことで少しでもコストを下げる方策はあります。できれば多くの運送会社から見積もりを取ることも進めましょう。もしかしたら条件次第ではよい単価を得られるかもしれません。輸送コストを下げるための三要素をご理解いただけたものと思います。これらのいずれかに取り組むことが輸送改善につながります。ぜひ積極的に活動していきましょう。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その4)

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...

「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」その4は、前回に続いて、急激な売れ行き、急激な下降の時のアクションを、解説します。今回は、前回のその3で述...


変動メカニズムと対策 サプライチェーンマネジメントによる全体最適化(その3)

  【サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 連載記事目次】 1. SCMはなぜ難しい 2. SCM戦略とは 3. 変動メカニズム...

  【サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 連載記事目次】 1. SCMはなぜ難しい 2. SCM戦略とは 3. 変動メカニズム...


精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その8)

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
IEは「魔法の鏡」 物流でIEを駆使する(その2)

◆ IEで物流ロスを定量化する  単にストップウオッチで時間測定することがIEではないのですが、物流業界ではIEについて誤解も多いように思います。製...

◆ IEで物流ロスを定量化する  単にストップウオッチで時間測定することがIEではないのですが、物流業界ではIEについて誤解も多いように思います。製...


物流を理解していない人を説得する法

  1. 物流を定量的に示す重要性    物流は当たり前に行われると軽く考えている人が多いようです。気にしなくてもモノは届く。モノを運ぶことに特に気...

  1. 物流を定量的に示す重要性    物流は当たり前に行われると軽く考えている人が多いようです。気にしなくてもモノは届く。モノを運ぶことに特に気...


物流協力会社との連携

  1.利益が出ない受注 私たちがビジネスを実施していくうえで、協力会社の存在は欠かせないもです。協力会社とは常に連携を取り合って、効果...

  1.利益が出ない受注 私たちがビジネスを実施していくうえで、協力会社の存在は欠かせないもです。協力会社とは常に連携を取り合って、効果...