工場内物流:メーカー物流改善の本質(その3)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 工場内物流改善

 工場の中でも物流業務は存在します。物流事業者の方はあまり注目していない業務ですが、筆者の考えでは「物流事業者が最初に取りに行くべき業務」であると考えています。工場内物流業務を受注することで、その会社の情報が筒抜けで聞こえてきます。またメーカーの工場内物流業務は生産直結ですからいったん発注した業者を変えたがりません。

 さらに工場内物流業務できっちりとした仕事を実施すればその物流事業者に輸送や倉庫管理業務を発注しようと考えます。それほどまでに美味しい仕事であるにもかかわらず、大きい売り上げを望めないのではないかと考え売り込みに行きません。大変もったいないことだと思います。

 この工場内物流ですがなぜ発生するのでしょうか。物流は何かしらの行為の結果として発生するものです。工場内物流は工程と工程が離れているために発生すると考えればよいでしょう。 ではなぜ工程間が離れてしまうのでしょうか。それは工場の生産ラインを設計する時に物流を考慮しないからです。

 

 工場生産ラインを設計するのは生産技術の担当者です。生産技術の担当者はその工程の技術的な側面は大変重視します。高品質を得られ効率の良い機械を設置しようと考えます。

 しかし運搬とか保管とかについて意識の中にあるかというとそれは「?」であると言わざるを得ません。ですから誰がやるかはともかくとして「物流の発生しないレイアウト」を設計していくことが究極の物流改善だと言えるのです。

 これが元から断つ改善です。そもそも改善とは今ある仕事を「無くすこと」を考えるべきです。その意味ではレイアウトを設計する時に根こそぎ物流を無くすことが最も効果的であると認識すべきなのです。これができればベストですがレイアウト変更は簡単にできるものではありません。タイミングを見計らってその時を逃さずに対処することが望ましいでしょう。

 もしすぐにレイアウト改善ができなければ今の物流の効率化を検討します。輸送モードと同じ考え方で工場の中での運搬機器...

サプライチェーンマネジメント

 

◆ 工場内物流改善

 工場の中でも物流業務は存在します。物流事業者の方はあまり注目していない業務ですが、筆者の考えでは「物流事業者が最初に取りに行くべき業務」であると考えています。工場内物流業務を受注することで、その会社の情報が筒抜けで聞こえてきます。またメーカーの工場内物流業務は生産直結ですからいったん発注した業者を変えたがりません。

 さらに工場内物流業務できっちりとした仕事を実施すればその物流事業者に輸送や倉庫管理業務を発注しようと考えます。それほどまでに美味しい仕事であるにもかかわらず、大きい売り上げを望めないのではないかと考え売り込みに行きません。大変もったいないことだと思います。

 この工場内物流ですがなぜ発生するのでしょうか。物流は何かしらの行為の結果として発生するものです。工場内物流は工程と工程が離れているために発生すると考えればよいでしょう。 ではなぜ工程間が離れてしまうのでしょうか。それは工場の生産ラインを設計する時に物流を考慮しないからです。

 

 工場生産ラインを設計するのは生産技術の担当者です。生産技術の担当者はその工程の技術的な側面は大変重視します。高品質を得られ効率の良い機械を設置しようと考えます。

 しかし運搬とか保管とかについて意識の中にあるかというとそれは「?」であると言わざるを得ません。ですから誰がやるかはともかくとして「物流の発生しないレイアウト」を設計していくことが究極の物流改善だと言えるのです。

 これが元から断つ改善です。そもそも改善とは今ある仕事を「無くすこと」を考えるべきです。その意味ではレイアウトを設計する時に根こそぎ物流を無くすことが最も効果的であると認識すべきなのです。これができればベストですがレイアウト変更は簡単にできるものではありません。タイミングを見計らってその時を逃さずに対処することが望ましいでしょう。

 もしすぐにレイアウト改善ができなければ今の物流の効率化を検討します。輸送モードと同じ考え方で工場の中での運搬機器を変更することが考えられます。

 例えばフォークリフトで運搬していたものを連結台車で運搬することに変更することを考えます。フォークリフトで運搬するよりも一回当たりの運搬量が増えますので単位当たりの運搬コストが下がることになるのです。フォークリフトは危険を伴う機器でもあるため、工場からフォークリフトを無くすことで安全性も向上し、排気ガスを減らすことにもつながります。

 

 次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンのモデル化

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...

 欠品を生じさせず、しかも在庫を少なくできるように、業務の足腰を鍛えて速度を制御する能力を磨く「熟練」もサプライチェーンの重要な法則です。この時...


SCMで優位に立つ

1.「つなぎ」としてのSCMが必要とされる理由   時間の進みが早くなるとどのようなことが起きるでしょうか? ゆっくり役割分担を決めて回すよう...

1.「つなぎ」としてのSCMが必要とされる理由   時間の進みが早くなるとどのようなことが起きるでしょうか? ゆっくり役割分担を決めて回すよう...


ヒューマンエラーと物流品質 物流品質の向上 (その2)

1.ヒューマンエラーの類型  工場において物流品質不良が発生した場合、その要因が往々にしてヒューマンエラーによるものであることが多いようです。ではヒ...

1.ヒューマンエラーの類型  工場において物流品質不良が発生した場合、その要因が往々にしてヒューマンエラーによるものであることが多いようです。ではヒ...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
仕事の効率を落とす要因 物流の波動と平準化(その3)

       1. 仕事の「平準化」  工場で部品納入が朝一番に集中することは、担当者の発注の仕方と在庫の持ち方に原因があることは前回お話させ...

       1. 仕事の「平準化」  工場で部品納入が朝一番に集中することは、担当者の発注の仕方と在庫の持ち方に原因があることは前回お話させ...


ビジネスレベル向上:顧客の仕事を変える物流の提供を(その2)

  ◆物流でコストをかける 物流は一般的に「コスト」だと受け取られがちです。確かに物流は付加価値を生まない行為が多く、その意味ではコスト...

  ◆物流でコストをかける 物流は一般的に「コスト」だと受け取られがちです。確かに物流は付加価値を生まない行為が多く、その意味ではコスト...


本当のサプライチェーンマネジメント論の展開 固定観念を捨てて取り組む重要性(その1)

   進化論では時代の変化に対応できたものだけが生き残ると言われています。この言葉は私たちが携わる物流の仕事にもそっくりそのまま当てはまる...

   進化論では時代の変化に対応できたものだけが生き残ると言われています。この言葉は私たちが携わる物流の仕事にもそっくりそのまま当てはまる...