稼働分析とは:倉庫内物流作業の改善(その2)

投稿日

SCM

 

◆ 付加価値作業比率を向上させる

 前回「倉庫作業の中での付加価値作業はピッキング作業である」とお話しました。顧客の指示に基づく入出庫作業であったり、保管作業ということになりますが、倉庫内作業で注意しなければならないことは、低付加価値作業と無付加価値作業を明確化し、それらを減らしていくことにあります。 

 それでは、低付加価値作業、無付加価値作業とは何でしょうか。「作業」ですから人の動きに注目してみましょう。倉庫の中で最も気を付けなければならないことは「探す」という行為です。この行為からは全く付加価値が生じません。付加価値があるかないかの判断基準として「お客様にお金を払っていただけるかどうか」という考え方があると思います。一番手っ取り早いのは、自分がお客様だったとしたら目の前で行われている作業に対して「対価」を払えるかどうかを考えてみることです。

 先ほどの「探す」作業、倉庫内を「歩き回る」動作、他の作業者との「立ち話」などは、いずれもお金を払って欲しいと思わないものではないでしょうか。こういった作業の有無は、動作の中でも付加価値作業を行うにあたり、付随的にやらざるを得ないものがあると考えられます。

 たとえば、ピッキング作業における棚間歩行やオーダーシート確認、カート運搬などです。これらを改善することはできますが、必ずしも無くすことができるとは限りません。しかし、まずは無くす方法をとことん考えましょう。少なくとも「探す」作業は撲滅が必要です。そのためにはロケーションの明確化や分かりやすい表示付などで解消が可能です。

 普段、当たり前に実施している倉庫内物流作業について、一度は稼働分析をやってみるとよいでしょう。稼働分析を実施することで、付加価値作業の比率がいかに低いか驚くのではないでしょうか。稼働分析結果をグラフにして現場に貼り出し、全員で今のレベルを認識することが必要です。これを徐々に改善し、付加価値比率を向上することで、作業員の方た...

SCM

 

◆ 付加価値作業比率を向上させる

 前回「倉庫作業の中での付加価値作業はピッキング作業である」とお話しました。顧客の指示に基づく入出庫作業であったり、保管作業ということになりますが、倉庫内作業で注意しなければならないことは、低付加価値作業と無付加価値作業を明確化し、それらを減らしていくことにあります。 

 それでは、低付加価値作業、無付加価値作業とは何でしょうか。「作業」ですから人の動きに注目してみましょう。倉庫の中で最も気を付けなければならないことは「探す」という行為です。この行為からは全く付加価値が生じません。付加価値があるかないかの判断基準として「お客様にお金を払っていただけるかどうか」という考え方があると思います。一番手っ取り早いのは、自分がお客様だったとしたら目の前で行われている作業に対して「対価」を払えるかどうかを考えてみることです。

 先ほどの「探す」作業、倉庫内を「歩き回る」動作、他の作業者との「立ち話」などは、いずれもお金を払って欲しいと思わないものではないでしょうか。こういった作業の有無は、動作の中でも付加価値作業を行うにあたり、付随的にやらざるを得ないものがあると考えられます。

 たとえば、ピッキング作業における棚間歩行やオーダーシート確認、カート運搬などです。これらを改善することはできますが、必ずしも無くすことができるとは限りません。しかし、まずは無くす方法をとことん考えましょう。少なくとも「探す」作業は撲滅が必要です。そのためにはロケーションの明確化や分かりやすい表示付などで解消が可能です。

 普段、当たり前に実施している倉庫内物流作業について、一度は稼働分析をやってみるとよいでしょう。稼働分析を実施することで、付加価値作業の比率がいかに低いか驚くのではないでしょうか。稼働分析結果をグラフにして現場に貼り出し、全員で今のレベルを認識することが必要です。これを徐々に改善し、付加価値比率を向上することで、作業員の方たちのモチベーションを上げていくことも重要だと思います。

 ピッキングミスを減らすことで誤出荷低減につながります。誤出荷を発生させてしまうと、正規商品の再発送と誤品の引き取りが発生し、会社の評判も悪くなることが考えられますから、物流品質にはくれぐれも注意したいところです。そのために、他商品との違いを分かりやすく表示したり、類似商品の置場所を離したりすることも倉庫内改善の一つです。

 

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
SCM効率を評価するKPIの新提案 SCM最前線 (その14)

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...


格差が拡がるSCM   SCM最前線(その2)

 SCM最前線、前回のその1に続いて解説します。   1.SCM達成度は範囲よりも質が重要     これまで、SCM...

 SCM最前線、前回のその1に続いて解説します。   1.SCM達成度は範囲よりも質が重要     これまで、SCM...


サプライチェーンマネジメントにおけるERP -ソフトウェアの本質的な方向性-

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われて...

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われて...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流量を減らすには:これからの輸送改善のコツ(その2)

  ◆ 物流量を減らす  前回の輸送コスト式を見てみましょう。    ・輸送コスト = 距離 × 物流量 × ...

  ◆ 物流量を減らす  前回の輸送コスト式を見てみましょう。    ・輸送コスト = 距離 × 物流量 × ...


物流の6機能とは 物流マンが備えるべきスキル(その1)

◆ サプライチェーンの知識  物流というと輸送・保管・荷役・包装・流通加工の5機能でしたが、最近では、これに情報機能が加わり、この6機能が物流の仕事...

◆ サプライチェーンの知識  物流というと輸送・保管・荷役・包装・流通加工の5機能でしたが、最近では、これに情報機能が加わり、この6機能が物流の仕事...


物流の数値データ:物流の関心度とは(その1)

  ◆物流の数値データ 日本では昔から物流に対する関心度は低いと言わざるを得ません。物流に対する学問も確立されていません。物流の仕事をし...

  ◆物流の数値データ 日本では昔から物流に対する関心度は低いと言わざるを得ません。物流に対する学問も確立されていません。物流の仕事をし...