グローバルサプライチェーンへの貢献(その3)

投稿日

  前回のその2に続いて解説します。
 

1.貿易実務と海上輸送

 scm以前海外にいた時に、物流会社と商社に質問したことがあります。その質問とは「部品をまとめてコンソリデーションし、コンテナを仕立てて輸出できないか」という内容です。
 
 コンソリデーションセンターまではその国の中でミルクランをやりながら荷を集めます。集めた荷はコンソリデーションセンターで輸出荷姿に梱包します。 輸出通関を行い、日本等他国へ輸送をかけます。そして到着国で輸入通関を行ったうえで工場まで輸送を行います。
 
 もし輸入荷姿をそのまま工場に持ち込むと使いづらい場合には輸入基地で荷姿を変更することも必要になります。今や資材や部品はグローバルで最も安い所から調達することが一般化しつつあります。そのためにはこのような仕事のしくみが必要です。
 
 これもまさにグローバルサプライチェーンの一つなのです。貿易実務を含め荷主会社は、業務のアウトソースを欲しているのです。それができることがグローバルサプライチェーンへの貢献ということにつながります。
 
 今回挙げた事例について自社ですべての業務を行わなければならないのでしょうか。実はそんなことはありません。アライアンスを組みながらできる会社にやってもらうようにしていけばいいのです。商社はいろいろなところとのアライアンスがありますから、グローバルサプライチェーンを担っていくことは難しくないかもしれません。
 
 では物流会社ではいかがでしょうか。今は難しいとしても徐々にアライアンスを拡大し、1年後にはこのような仕事が来ても対応できるように目標を持って進めていけばよいのではないでしょうか。貿易実務や海上輸送などは、どこかとアライアンスを組んでやっていくことが必要になるでしょう。仕事を想定しながらぜひ進めていくことを考えましょう。
 
 グローバルサプライチェーンが最も進んでいる産業が自動車製造業です。最終組み立てメーカーである車メーカーを最下流とし、そこにつながるサプライチェーンはまさにグローバルワイドで形成されています。自動車サプライチェーンでは車メーカーのオーダーのもと、原則として同一情報で部品メーカーが生産を行っています。
 
 在庫を極限まで落としたジャストインタイム生産を実施していますので、リードタイムも短くなっています。部品調達は世界で最もコストメリットがあるところで生産し組立地へ送ることになっています。しかしこのグローバル調達で注意しなければならない点があります。
 

2.為替と海外輸送費

 為替と海上輸送運賃の振れについて、これは読むことが困難なため、出たところ勝負になってしまいがちです。そうなると計画していた時にはコストメリットがあった部品調達が実は儲からなかったということ...
  前回のその2に続いて解説します。
 

1.貿易実務と海上輸送

 scm以前海外にいた時に、物流会社と商社に質問したことがあります。その質問とは「部品をまとめてコンソリデーションし、コンテナを仕立てて輸出できないか」という内容です。
 
 コンソリデーションセンターまではその国の中でミルクランをやりながら荷を集めます。集めた荷はコンソリデーションセンターで輸出荷姿に梱包します。 輸出通関を行い、日本等他国へ輸送をかけます。そして到着国で輸入通関を行ったうえで工場まで輸送を行います。
 
 もし輸入荷姿をそのまま工場に持ち込むと使いづらい場合には輸入基地で荷姿を変更することも必要になります。今や資材や部品はグローバルで最も安い所から調達することが一般化しつつあります。そのためにはこのような仕事のしくみが必要です。
 
 これもまさにグローバルサプライチェーンの一つなのです。貿易実務を含め荷主会社は、業務のアウトソースを欲しているのです。それができることがグローバルサプライチェーンへの貢献ということにつながります。
 
 今回挙げた事例について自社ですべての業務を行わなければならないのでしょうか。実はそんなことはありません。アライアンスを組みながらできる会社にやってもらうようにしていけばいいのです。商社はいろいろなところとのアライアンスがありますから、グローバルサプライチェーンを担っていくことは難しくないかもしれません。
 
 では物流会社ではいかがでしょうか。今は難しいとしても徐々にアライアンスを拡大し、1年後にはこのような仕事が来ても対応できるように目標を持って進めていけばよいのではないでしょうか。貿易実務や海上輸送などは、どこかとアライアンスを組んでやっていくことが必要になるでしょう。仕事を想定しながらぜひ進めていくことを考えましょう。
 
 グローバルサプライチェーンが最も進んでいる産業が自動車製造業です。最終組み立てメーカーである車メーカーを最下流とし、そこにつながるサプライチェーンはまさにグローバルワイドで形成されています。自動車サプライチェーンでは車メーカーのオーダーのもと、原則として同一情報で部品メーカーが生産を行っています。
 
 在庫を極限まで落としたジャストインタイム生産を実施していますので、リードタイムも短くなっています。部品調達は世界で最もコストメリットがあるところで生産し組立地へ送ることになっています。しかしこのグローバル調達で注意しなければならない点があります。
 

2.為替と海外輸送費

 為替と海上輸送運賃の振れについて、これは読むことが困難なため、出たところ勝負になってしまいがちです。そうなると計画していた時にはコストメリットがあった部品調達が実は儲からなかったということになりがちなのです。本来ではタイで生産し日本に送って組み立てることがベストと思われていたものが、実際には日本で生産して日本で組み立てる方が効果があるということも実際に起きているのです。
 
 それだけにグローバルサプライチェーンは難しいと言えます。生産地を選ぶ場合にはよほど価格差がないと危険だということになってしまいます。こういった点でも、グローバルサプライチェーンに貢献するために幅広い知識と経験が必要だということになるでしょう。サプライチェーンの管理は一社で行うにしても、こういった周辺知識はその道に長けた会社で実施していくことが望ましいのです。
 
 次回、その4は、最終回です。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
生産材メーカーサプライチェーンの機会と脅威

 サプライチェーン上のポジショニングで見ることにより、金型・工具・工作機械など生産財メーカーの製品は、どのようにビジネスの機会が広がるでしょう?   生...

 サプライチェーン上のポジショニングで見ることにより、金型・工具・工作機械など生産財メーカーの製品は、どのようにビジネスの機会が広がるでしょう?   生...


自動車産業、モジュール部品メーカーが完成車の品質を保証する

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...

 モジュールサプライヤー、例えばトヨタ系列でいえば部品メーカーのデンソーやアイシン精機、またGMの部品製造部門が切り離されて独立したデルファイ、そしてドイ...


面積原価(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
サプライチェーン改善スキル 実践型の物流勉強方法(その3)

◆ 物流に表れる問題点を潰す  物流はあらゆる活動の結果が表れるという特徴を持っています。メーカー物流を見ていると、生産ラインから製品が出てこないた...

◆ 物流に表れる問題点を潰す  物流はあらゆる活動の結果が表れるという特徴を持っています。メーカー物流を見ていると、生産ラインから製品が出てこないた...


運搬改善

1. 工程設計と運搬ロス   7つのムダによれば「運搬」はムダということになります。たしかに構内でものを移動させる行為は付加価値を生むことはありませ...

1. 工程設計と運搬ロス   7つのムダによれば「運搬」はムダということになります。たしかに構内でものを移動させる行為は付加価値を生むことはありませ...


物流は認知されているか、地位向上を考える(その1)

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...

  1. 物流業界 ◆ 物流の認知度 日本で物流業界はあまり注目されることはないかもしれません。会社の中に物流部門がないという場合もあ...