ノウハウの提供 物流の地位向上に向けて(その6)

投稿日

SCM

 

◆ 独自ノウハウで地位向上

 サプライチェーン(SC)の効率化を最大限にするためには「ものづくりの場」や「物流倉庫の場」についても考慮する必要があります。

 この「場所」の問題ですが、一番頭に浮かぶのは物流の効率化でしょう。物流の原理原則として「運ばない」ということを考える必要があるのです。消費地でものづくりを行うことは鉄則です。今や中小メーカーであっても海外進出する時代です。顧客の近くで生産することでSCの効率化を担うことになるのです。

 このような現地化のニーズに応えるべく、現地物流について的確なアドバイスができるとよいと思います。まさに頼られる物流会社ということになり、物流の地位向上につながることは間違いないでしょう。また、消費地でものづくりを行う原理原則以外に「関税」の問題も考慮する必要があるのではないでしょうか。FTA(自由貿易協定)などにより、関税がかからない国間で貿易するように最初から考えていくということです。

 物流会社の中には国際貿易に詳しいところもありますので、この点でのアドバイスもまた、顧客にとってのバリュー(価値)となります。当然、物流の地位向上に寄与することは言うまでもありません。どこで作りどこへ送ることがベストなのか、物流の視点、関税の視点、その他さまざまな要因を組み合わせてアドバイスできるとベストです。大企業であれば当然、社内で検討されるようなポイントが中小企業では見落とされがちです。その隙間(すきま)を埋められるようなアクションを取ることができる物流事業者は重宝がられます。

 以上のような活動は実作業ではなく無形のノウハウです。今必要とされているのは、このようなスペシャルなノウハウなのです。「実物流業務では差別化できない」というお話をさせていただきました。つまり、どこの会社でもできる仕事は価格競争になるということで、顧客からバリューとして感じてもらえないということです。そこで「他社が容易にまねできない」ノウハウを顧客にそれなりの価格で提供できれば、物流も見直される余地があると考...

SCM

 

◆ 独自ノウハウで地位向上

 サプライチェーン(SC)の効率化を最大限にするためには「ものづくりの場」や「物流倉庫の場」についても考慮する必要があります。

 この「場所」の問題ですが、一番頭に浮かぶのは物流の効率化でしょう。物流の原理原則として「運ばない」ということを考える必要があるのです。消費地でものづくりを行うことは鉄則です。今や中小メーカーであっても海外進出する時代です。顧客の近くで生産することでSCの効率化を担うことになるのです。

 このような現地化のニーズに応えるべく、現地物流について的確なアドバイスができるとよいと思います。まさに頼られる物流会社ということになり、物流の地位向上につながることは間違いないでしょう。また、消費地でものづくりを行う原理原則以外に「関税」の問題も考慮する必要があるのではないでしょうか。FTA(自由貿易協定)などにより、関税がかからない国間で貿易するように最初から考えていくということです。

 物流会社の中には国際貿易に詳しいところもありますので、この点でのアドバイスもまた、顧客にとってのバリュー(価値)となります。当然、物流の地位向上に寄与することは言うまでもありません。どこで作りどこへ送ることがベストなのか、物流の視点、関税の視点、その他さまざまな要因を組み合わせてアドバイスできるとベストです。大企業であれば当然、社内で検討されるようなポイントが中小企業では見落とされがちです。その隙間(すきま)を埋められるようなアクションを取ることができる物流事業者は重宝がられます。

 以上のような活動は実作業ではなく無形のノウハウです。今必要とされているのは、このようなスペシャルなノウハウなのです。「実物流業務では差別化できない」というお話をさせていただきました。つまり、どこの会社でもできる仕事は価格競争になるということで、顧客からバリューとして感じてもらえないということです。そこで「他社が容易にまねできない」ノウハウを顧客にそれなりの価格で提供できれば、物流も見直される余地があると考えられるのです。

 このような状況になって初めて「物流の地位向上」を図ることができます。「物流の認知度を上げる」、「物流の地位を向上する」、「物流の対価を適正化する」、これらはすべて「物流提供側」で実施すべきアイテムなのです。「国がこうしてくれれば…」、「荷主がこう変わってくれれば…」など、他力本願の姿勢ではいつまでたっても物流の地位向上は夢のまた夢です。アクションすべきは物流に携わる一人ひとりなのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
バリューチェーンとは

   企業活動は製造業であれ、流通サービス業であれ、物の流れであるサプライチェーンを経ながら付加価値が加わっていき、このことをバリューチェ...

   企業活動は製造業であれ、流通サービス業であれ、物の流れであるサプライチェーンを経ながら付加価値が加わっていき、このことをバリューチェ...


フォークリフトを考える 物流改善ネタ出し講座 (その3)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


ROA(対在庫資産運営利益率)によるキャッシュフロー経営

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...

 サプライチェーンの立場から言えば、どんな時代でもモノの流通が人間の生活に必要なのは普遍であり、必要とされる需要が減少することはあっても、ある規模の生産量...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流現場の理想的な状態とは

  1. 現場を見た第一印象 ◆物流改善ネタ出し講座 【連載記事紹介】 ◆サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 【連載記事紹介...

  1. 現場を見た第一印象 ◆物流改善ネタ出し講座 【連載記事紹介】 ◆サプライチェーンマネジメントによる全体最適化 【連載記事紹介...


アライアンスの拡大 グローバルサプライチェーン(その4)

  1. コンテナを仕立ての輸出  海外にいた時に物流会社と商社に質問したことがあります。その質問とは「部品をまとめてコンソリデーションし、コンテナを...

  1. コンテナを仕立ての輸出  海外にいた時に物流会社と商社に質問したことがあります。その質問とは「部品をまとめてコンソリデーションし、コンテナを...


  営業利益と物流コスト:会社で物流を意識するということ(その1)

  ◆営業利益と物流コスト 会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議...

  ◆営業利益と物流コスト 会社の製品企画とか製品開発、それの生産や販売についても常に話題になります。しかし物流となると、それ単独で論議...