5Sの「しつけ」を徹底する 物流現場を理想的な状態に保つ(その2)

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SCM

 

◆ しつけは5Sの中で最も重要

 物流現場を理想的な状態に保つとはどういうことでしょうか。理想形はそれぞれの会社で異なるため、一概にはいえないですが、少なくともこういった状態にあれば理想的、ということについて考えてみましょう。

 顧客サイドから見れば「現場が清潔であること」は必須条件だと思います。物流会社の場合、顧客が倉庫を視察に来ることがあると思いますがゴミが落ちていたり、床にフォークリフトのスリップ跡が目立ったりする会社は要注意です。

 現場サイドからみれば、間違いを発生させず効率的に仕事ができる状態が理想的です。ゴミや汚れがあってもそれが放置されていれば、顧客からはあきれられてしまうでしょう。つまり「しつけ」ができていない会社と思われてしまうのです。

 一方で常に現場を清潔に保ち、訪問すると従業員が気持ちよく挨拶してくれるような会社は、好印象を持たれることでしょう。

 

 この「しつけ」は5Sの5番目に位置付けられていますが、実際には「最も重要なS」であると思います。整理整頓を徹底して行ったとしても、それを維持することができないのは、しつけができていないからなのです。会社の決めたルールを守らない従業員は少なからずどこの会社にもいると思いますが、根気よくそのような人たちをしつけていくことは重要でしょう。

 「しつけ」はその物流現場の監督者の仕事です。監督者がルールを守らない従業員に対し、その場で注意できなければその現場がよくなることはあり得ないのでしょう。物流現場を理想形に持っていくためにはゾーンごとに「5S責任者」を決めていくことをお勧めします。その5S責任者は、できればそこで働く従業員全員にするとよいと思います。

 つまりゾーンをできるだけ細分化し、そのゾーンに一人ずつ責任者を定めるのです。そして各ゾーンの5S評価を定期的に実施します。最初は週単位に行っていったらよろしいのではないでしょうか。責任者は自分の担当ゾーンに対して5Sが徹底されるように活動します。そして第三者の評価を受けるようにするのです。ものの置場、表示のメンテナンス、床の汚れ、棚の埃(ほこり)など、すべてに対して理想的な状態を保てるように責任を持って活動させます。

 

 繰り返しになりますが、これができるかできないかは「しつけ」に懸かっていると考えられます。そしてよくできているゾーンは定期的に表彰していくようにしましょう。そうした活動を通して、現場のモチベーションアップと5S向上が進んでいくのです。

 

 次回に続きます。


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

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