コストを下げるためのアウトソース 物流アウトソース(その1)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ メリットとデメリット

 皆さんの会社では何かしら物流業務のアウトソース(外注化)を行っているのではないでしょうか。この物流アウトソースにあたり注意すべきポイントについて触れてみたいと思います。

 何かしらの物流業務をアウトソースしている会社はある統計によると3割強あるそうです。この物流アウトソースの結果としてのメリットを調べてみると、次のような点が浮かび上がってきます。以下経済産業省のアンケート結果から見ていきたいと思います。カッコ内の数値は複数回答を含めた回答率です。

【アウトソース実施の狙い】

  • コストの明確化ができた(44.9%)
  • コスト削減ができた(38.5%)
  • 物流改善、効率化が進んだ(22.8%)
  • 人員削減ができた(22.5%)

 言うなればこういった点が企業が物流アウトソースを実施する狙いにもなってくると考えられます。しかし一方でアウトソースのデメリットが存在することも知っておかなければなりません。主に次のような項目が挙げられます。

【アウトソースのデメリット】

  • 従来内部で実施していた業務が外部化されることから、業務内の機密やノウハウが漏えいすることへの懸念
  • 当該業務が外部化されるため、それを理解できるスタッフが社内にいなくなる(業務のブラックボックス化)への懸念
  • 導入部署での人員削減にともなうモラルの低下
  • きめ細い物流サービスが困難になるなどサービス水準低下の懸念

 このようにアウトソースはメリットもあればデメリットもあるということです。つまりすべてがうまくいくとは限らないので十分に注意しなければなりません。

 物流を外部に委託するか、社内で行うか判断する背景には物流に対する考え方があると思います。

 この点についても「経営戦略における物流の位置づけ」としてのデータから確...

サプライチェーンマネジメント

◆ メリットとデメリット

 皆さんの会社では何かしら物流業務のアウトソース(外注化)を行っているのではないでしょうか。この物流アウトソースにあたり注意すべきポイントについて触れてみたいと思います。

 何かしらの物流業務をアウトソースしている会社はある統計によると3割強あるそうです。この物流アウトソースの結果としてのメリットを調べてみると、次のような点が浮かび上がってきます。以下経済産業省のアンケート結果から見ていきたいと思います。カッコ内の数値は複数回答を含めた回答率です。

【アウトソース実施の狙い】

  • コストの明確化ができた(44.9%)
  • コスト削減ができた(38.5%)
  • 物流改善、効率化が進んだ(22.8%)
  • 人員削減ができた(22.5%)

 言うなればこういった点が企業が物流アウトソースを実施する狙いにもなってくると考えられます。しかし一方でアウトソースのデメリットが存在することも知っておかなければなりません。主に次のような項目が挙げられます。

【アウトソースのデメリット】

  • 従来内部で実施していた業務が外部化されることから、業務内の機密やノウハウが漏えいすることへの懸念
  • 当該業務が外部化されるため、それを理解できるスタッフが社内にいなくなる(業務のブラックボックス化)への懸念
  • 導入部署での人員削減にともなうモラルの低下
  • きめ細い物流サービスが困難になるなどサービス水準低下の懸念

 このようにアウトソースはメリットもあればデメリットもあるということです。つまりすべてがうまくいくとは限らないので十分に注意しなければなりません。

 物流を外部に委託するか、社内で行うか判断する背景には物流に対する考え方があると思います。

 この点についても「経営戦略における物流の位置づけ」としてのデータから確認をしておきましょう。

  • コストダウン重視の業務(52.6%)
  • 製品品質と並んで重要業務(22.6%)
  • 特に重視していない業務(22.2%)

 いかがでしょうか。これらのデータからはどちらかというと物流はサプライチェーンにおける重要業務にもかかわらず、コストという認識が強いように見受けられます。そのコストを下げるためにアウトソースを行うという企業が多いようです。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ビジネスの収益力を決めるサプライチェーンのスピード

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...

 サプライチェーンの重要な指標は時間です。「供給する時間(玉の飛ぶ時間)」と、変動する需要(標的)に対する「供給計画を作る時間(狙いを定める時間)」が短縮...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その12)

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...


サプライチェーンとはなにか

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
公平公正なソーシング :購買業務の要点(その5)

  ◆ 公平公正なソーシング 候補会社選定から最終発注先の決定までの厳格なプロセスですが、RFP、RFQを通して発注先を決めることを「ソ...

  ◆ 公平公正なソーシング 候補会社選定から最終発注先の決定までの厳格なプロセスですが、RFP、RFQを通して発注先を決めることを「ソ...


  メンバーのモチベーション向上:物流管理者の育て方(その4)

  ◆メンバーのモチベーション向上 職場では毎日朝礼を実施しているのではないでしょうか。この場を活用してメンバーのモチベーション向上につ...

  ◆メンバーのモチベーション向上 職場では毎日朝礼を実施しているのではないでしょうか。この場を活用してメンバーのモチベーション向上につ...


4省連名のガイドライン 荷主とトラック運送サービス(その1)

        「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」が国から発表されました。厚生労働省、国土交通省、経済産業省、農林水...

        「トラック運送サービスを持続的に提供可能とするためのガイドライン」が国から発表されました。厚生労働省、国土交通省、経済産業省、農林水...