面積原価(その1)

更新日

投稿日

 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。
 
 日本の製造業のROE(自己資本純利益率=資本生産性)は、下記の通り近年5年の平均で6%未満と欧米や韓国にも劣っており、特に米・英と比較すると半分にも満たない現状です。この様な資本生産性の悪さが日本のデフレ脱却の大きな障害になっているとして、安倍政権の掲げるアベノミクスでも最大の政策課題として取り上げられています。おそらく、このHPをご覧頂いている貴社のROE、つまり資本生産性も同様であると推測されます。面積原価管理の狙いは、生産性を阻害している原因を明らかにし改革・改善の方向性を示す現場で使えるKPIを示すことにあります。
 
                SCM
 
 下記は、通常よく見られるSCMのプロジェクト目標です。通常、リードタイム、在庫、原価の組合せで目標が設定されることが一般的です。しかし、リードタイム、在庫、原価には一つの指標は良くなっても他方が悪くなるというトレードオフの関係があり、それぞれの指標個別では、SCMの改善の指標としては、使う事はできません。現在、SCMが進まない最大の原因の一つはこのような適切なSCM評価指標がないために、改善の進度が定量的に図る事ができないことです。
 
                               SCM  
 
 また、冒頭に示したROEは、企業全体のSCMの効率、資本生産性を評価するためには大変優れた指標ですが、ROE(ROAも含めて)は、前期の決算の結果を示す過去の指標であって現在の状況を表していないこと、さらにそれらが、全社の状況は示すが部門の状況は表していないため、日々現場で使うSCM評価指標としては、下図のように不十分です。
 
                             SCM
 
 次回、面積原価(その2)では、SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か?もう一度振り返って考えてみることにしましょう。
 
 
...
 SCMの生産性を計るKPIとして、『面積原価』の概念とそれに基づくSCMのPDCAサイクルを実現する手法『面積原価管理』について解説します。
 
 日本の製造業のROE(自己資本純利益率=資本生産性)は、下記の通り近年5年の平均で6%未満と欧米や韓国にも劣っており、特に米・英と比較すると半分にも満たない現状です。この様な資本生産性の悪さが日本のデフレ脱却の大きな障害になっているとして、安倍政権の掲げるアベノミクスでも最大の政策課題として取り上げられています。おそらく、このHPをご覧頂いている貴社のROE、つまり資本生産性も同様であると推測されます。面積原価管理の狙いは、生産性を阻害している原因を明らかにし改革・改善の方向性を示す現場で使えるKPIを示すことにあります。
 
                SCM
 
 下記は、通常よく見られるSCMのプロジェクト目標です。通常、リードタイム、在庫、原価の組合せで目標が設定されることが一般的です。しかし、リードタイム、在庫、原価には一つの指標は良くなっても他方が悪くなるというトレードオフの関係があり、それぞれの指標個別では、SCMの改善の指標としては、使う事はできません。現在、SCMが進まない最大の原因の一つはこのような適切なSCM評価指標がないために、改善の進度が定量的に図る事ができないことです。
 
                               SCM  
 
 また、冒頭に示したROEは、企業全体のSCMの効率、資本生産性を評価するためには大変優れた指標ですが、ROE(ROAも含めて)は、前期の決算の結果を示す過去の指標であって現在の状況を表していないこと、さらにそれらが、全社の状況は示すが部門の状況は表していないため、日々現場で使うSCM評価指標としては、下図のように不十分です。
 
                             SCM
 
 次回、面積原価(その2)では、SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か?もう一度振り返って考えてみることにしましょう。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

小山 太一

SCMの効率を新しいKPIで見える化し、問題点を明らかにします。 新しいKPI 『面積原価』は、評価に時間軸を含めることで、リードタイム・在庫・原価のトレードオフを解決します。

SCMの効率を新しいKPIで見える化し、問題点を明らかにします。 新しいKPI 『面積原価』は、評価に時間軸を含めることで、リードタイム・在庫・原価のトレ...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンにおけるリードタイム短縮の方策

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...


SCM効率を評価するKPIの新提案 SCM最前線 (その14)

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...

 前回のその13に続いて解説します。   1. SCMの改善・改革    前回までの連載では、現在SCMには効率を適切に評価す...


面積原価(その2)

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...

 前回のその1に続いて解説します。    SCMのあるべき生産性の評価指標を検討するために、SCMの本来の目標は何か、もう一度振り返って考え...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
生産管理 物流マンの視野を広げる(その4)

  ◆ 生産管理を勉強する  物流マンがサプライチェーン全体を俯瞰(ふかん)した際、サプライチェーンのオーナーであるメーカーの協力会社が...

  ◆ 生産管理を勉強する  物流マンがサプライチェーン全体を俯瞰(ふかん)した際、サプライチェーンのオーナーであるメーカーの協力会社が...


物流業務の内製化とアウトソース(その1)

  ◆物流業務のアウトソース化と内製化 物流業務はアウトソースするという傾向があります。一方で自社自ら物流業務を行う内製化パターンを取っ...

  ◆物流業務のアウトソース化と内製化 物流業務はアウトソースするという傾向があります。一方で自社自ら物流業務を行う内製化パターンを取っ...


国内物流と海外物流:国内物流では通用しない海外物流設計

  【目次】 1. 国内物流と海外物流 メーカーの海外進出は大企業にとどまらず、中小メーカーでも一般的になりました。工...

  【目次】 1. 国内物流と海外物流 メーカーの海外進出は大企業にとどまらず、中小メーカーでも一般的になりました。工...