真の調達物流の実現とは メーカー物流の勘所(その2)

投稿日

サプライチェーンマネジメント

◆ 調達物流の改善

 サプライヤー側も物流コストを下げたいため、お客様に対して、まとめてものを引き取ることを要請します。たとえば10トン車が満載になる単位での荷の引き取りを要望するのです。これが1日以内で消費できる分量であればまだ許せるのですが、何日分にも相当する量であればお客様、すなわち工場側も簡単に受け入れることはできません。

 こういったサプライヤーが何社もあるのであれば、工場側にいくら置き場所があっても足りません。余分な在庫管理も発生するので、何とかしなければならないという発想に至ります。

 そこで、工場側でものを引き取りに行こうという考え方が出てきます。調達もリードタイム短縮が命題ですから、できるだけ調達ロットを小さくし、今必要なだけ調達したいと考えます。自分たちが必要な分だけ引き取るので、その分だけサプライヤーの軒下に置いておいて欲しいとサプライヤーに要望するのです。

 サプライヤーにとってもこれで場所が小さくて済みますし、自分たちも小ロット生産が可能となって体力向上につながるため悪い話ではありません。工場は複数社を巡回し、トラックをいっぱいにしながら自分たちが欲しい分量の資材や在庫を引き取って来ます。

 今までサプライヤーが個々に契約していた物流会社との契約も、工場側が荷主となる一本化が図られるため、物流コストも下がると思われます。

 この引き取り方式は、欧米では一般的ですが、商習慣が異なる日本では、まだまだなじみがないと思います。しかし、いったん始めてみると工場側ですべてコントロールできるため、非常に良いアイテムであることに気づくでしょう。

 メーカーはこの真の調達物流を実現することを考えていくべきでしょう。自分たちのサプラ...

サプライチェーンマネジメント

◆ 調達物流の改善

 サプライヤー側も物流コストを下げたいため、お客様に対して、まとめてものを引き取ることを要請します。たとえば10トン車が満載になる単位での荷の引き取りを要望するのです。これが1日以内で消費できる分量であればまだ許せるのですが、何日分にも相当する量であればお客様、すなわち工場側も簡単に受け入れることはできません。

 こういったサプライヤーが何社もあるのであれば、工場側にいくら置き場所があっても足りません。余分な在庫管理も発生するので、何とかしなければならないという発想に至ります。

 そこで、工場側でものを引き取りに行こうという考え方が出てきます。調達もリードタイム短縮が命題ですから、できるだけ調達ロットを小さくし、今必要なだけ調達したいと考えます。自分たちが必要な分だけ引き取るので、その分だけサプライヤーの軒下に置いておいて欲しいとサプライヤーに要望するのです。

 サプライヤーにとってもこれで場所が小さくて済みますし、自分たちも小ロット生産が可能となって体力向上につながるため悪い話ではありません。工場は複数社を巡回し、トラックをいっぱいにしながら自分たちが欲しい分量の資材や在庫を引き取って来ます。

 今までサプライヤーが個々に契約していた物流会社との契約も、工場側が荷主となる一本化が図られるため、物流コストも下がると思われます。

 この引き取り方式は、欧米では一般的ですが、商習慣が異なる日本では、まだまだなじみがないと思います。しかし、いったん始めてみると工場側ですべてコントロールできるため、非常に良いアイテムであることに気づくでしょう。

 メーカーはこの真の調達物流を実現することを考えていくべきでしょう。自分たちのサプライチェーンは自分たちでコントロールすることが必要であることは間違いありません。したがって、パートナーとして選ぶ物流会社もこの調達物流の目的を理解し、それができる能力を持つ会社を選ぶ必要があります。また、同じトラックに複数のサプライヤーの荷を混載することになりますので、資材や部品を入れる容器を統一化し、積み重ねが可能となるように改善することが求められます。

 次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
物流不良撲滅 物流品質の向上 (その4)

1.工場の評判を落とす出荷品質不良  前回の第3回に続いて解説します。工場におけるものづくり品質は不良が起こりにくい工法を生産技術部門で開発し、それ...

1.工場の評判を落とす出荷品質不良  前回の第3回に続いて解説します。工場におけるものづくり品質は不良が起こりにくい工法を生産技術部門で開発し、それ...


海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その4)

第4回 道具4「物流会社選定ツール」(上)   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.今の物流会社に満足していますか &n...

第4回 道具4「物流会社選定ツール」(上)   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.今の物流会社に満足していますか &n...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その10)

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...

1.通常供給時のチェーンの速さが差別化になります    前回のその9に続いて解説します。高度成長期は在庫を保有して、そこから受注に応じた出荷...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流作業訓練道場とは 物流4M管理の重要性(その3)

 前回の事例、その2に続いて解説します。新製品が立ち上がる時など、人の習熟が重要であることは言うまでもありません。新製品ですからすべての担当者が初めての仕...

 前回の事例、その2に続いて解説します。新製品が立ち上がる時など、人の習熟が重要であることは言うまでもありません。新製品ですからすべての担当者が初めての仕...


倉庫内充填率とは:倉庫改善の勘所(その3)

  ◆ 倉庫内充填率を算出する 倉庫保管効率を測る際に倉庫面積に対する保管面積の比率を算出して評価しているケースが見受けられます。この方...

  ◆ 倉庫内充填率を算出する 倉庫保管効率を測る際に倉庫面積に対する保管面積の比率を算出して評価しているケースが見受けられます。この方...


後工程合わせの仕事で効率化「後工程はお客様」

      1. 後工程はお客様  工場でも物流倉庫でも後工程の要請に合わせて仕事をしなければならないところですが実...

      1. 後工程はお客様  工場でも物流倉庫でも後工程の要請に合わせて仕事をしなければならないところですが実...