付加価値のある物流 生産と物流の関り(その3)

投稿日

 
  SCM
 
 物流が生産と同じラインに立てたとしたら、そこからは物流のステータスを向上するために、そして会社をよくするために貢献していかなければなりません。工場の物流は実は「付加価値のある物流」を実行できる立場にあります。その付加価値のある物流について確認していきましょう。
 
 ここでいうところの付加価値とは「生産管理」のことを指します。物流が生産管理?と疑問に思うかもしれませんが、間違いありません。物流がやるべきことは生産管理なのです。物流はものを運ぶことが仕事であり目的であると思われている方が大半かと思います。もちろん全くこの考え方が間違っているわけではありません。工場の中の物流は生産工程に部品や完成品を入れる出荷用の容器を運びます。この作業のことを供給と呼びます。
 
 しかしこれはあくまでも手段であって目的ではありません。では物流の目的とは何でしょうか。それは部品や容器を運ぶことを通して生産統制を行うことです。生産現場では本来であれば生産計画通りのものづくりを行います。この生産計画とは決められた時間内で、決められた数の生産を行うことです。実際にはこの計画に対して実際には「遅れ進み」が発生しています。場合によっては計画を無視して、勝手に生産順番や生産量を変更したりするケースも見受けられます。
 
 このような生産現場による勝手な行動を阻止し、計画通りの生産を実行させる役割が物流に課されているのです。物流は生産工程に「生産計画の数だけ」部品を届けます。そしてその数に見合った数の出荷容器を届けます。これによって、生産現場の勝手な行動ができなくなるのです。
 
 時々見受けられる問題として、生産過程で部品を壊してしまうことがあります。これを適正に処理すれば在庫差異にはつながりませんが、壊したことをとがめられるのを恐れて壊れた部品を隠し、在庫処理を行わないことがあります。
 
 このような問題も、物流が生産きっかりの部品を届けることで避けることができます。もし部品を壊してしまったのであれば、生産工程から不足分を物流倉庫...
 
  SCM
 
 物流が生産と同じラインに立てたとしたら、そこからは物流のステータスを向上するために、そして会社をよくするために貢献していかなければなりません。工場の物流は実は「付加価値のある物流」を実行できる立場にあります。その付加価値のある物流について確認していきましょう。
 
 ここでいうところの付加価値とは「生産管理」のことを指します。物流が生産管理?と疑問に思うかもしれませんが、間違いありません。物流がやるべきことは生産管理なのです。物流はものを運ぶことが仕事であり目的であると思われている方が大半かと思います。もちろん全くこの考え方が間違っているわけではありません。工場の中の物流は生産工程に部品や完成品を入れる出荷用の容器を運びます。この作業のことを供給と呼びます。
 
 しかしこれはあくまでも手段であって目的ではありません。では物流の目的とは何でしょうか。それは部品や容器を運ぶことを通して生産統制を行うことです。生産現場では本来であれば生産計画通りのものづくりを行います。この生産計画とは決められた時間内で、決められた数の生産を行うことです。実際にはこの計画に対して実際には「遅れ進み」が発生しています。場合によっては計画を無視して、勝手に生産順番や生産量を変更したりするケースも見受けられます。
 
 このような生産現場による勝手な行動を阻止し、計画通りの生産を実行させる役割が物流に課されているのです。物流は生産工程に「生産計画の数だけ」部品を届けます。そしてその数に見合った数の出荷容器を届けます。これによって、生産現場の勝手な行動ができなくなるのです。
 
 時々見受けられる問題として、生産過程で部品を壊してしまうことがあります。これを適正に処理すれば在庫差異にはつながりませんが、壊したことをとがめられるのを恐れて壊れた部品を隠し、在庫処理を行わないことがあります。
 
 このような問題も、物流が生産きっかりの部品を届けることで避けることができます。もし部品を壊してしまったのであれば、生産工程から不足分を物流倉庫まで取りに来てもらうとともに、きちんと在庫処理を行うのです。
 
 また、完成品についても出荷時刻に合わせて物流が生産現場に引き取りに行きます。これによって生産現場が遅れ進みなく、生産運営できるように徐々に改善が進むと思われます。いかがでしょうか。工場運営に大変プラスに働く付加価値のある物流についてご理解いただけたのではないでしょうか。ぜひ今一度「生産と物流の関り」を振り返り、物流として何をなすべきかについて考えていただきたいと思います。
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
セットメーカーのサプライチェーン経営課題

 製造のサプライチェーンの中で完成品セットメーカーは、図1に示すようにアンカーです。  製造業において市場を支配するのは、通常プロセス上で最終組立を...

 製造のサプライチェーンの中で完成品セットメーカーは、図1に示すようにアンカーです。  製造業において市場を支配するのは、通常プロセス上で最終組立を...


SCM効率を評価するKPIの新提案 SCM最前線 (その15)

 前回のその14に続いて解説します。   4. 面積原価を導入すると何が変わるか   (1) 資源効率視点での製品の正しい利益...

 前回のその14に続いて解説します。   4. 面積原価を導入すると何が変わるか   (1) 資源効率視点での製品の正しい利益...


保管作業を考える 物流改善ネタ出し講座 (その8)

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...

  【物流改善ネタ出し講座 連載目次】 1. なぜ物流は宝の山なのか 2. 宝の山の見つけ方 3. フォークリフトを考える 4. 荷姿...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
荷役の現状把握 物流現状把握の重要性 (その2)

 前回のその1に続いて解説します。    荷役作業とは保管や輸送を行う際にそれに付随して発生する作業のことを指します。フォークリフトでものを出し入れし...

 前回のその1に続いて解説します。    荷役作業とは保管や輸送を行う際にそれに付随して発生する作業のことを指します。フォークリフトでものを出し入れし...


購買業務の要点:見積査定

 前回のその6に続いて解説します。購買業務の中でもとりわけ重要とされるのが『見積査定』ではないでしょうか。サプライヤーから提出された見積価格が妥当なのか否...

 前回のその6に続いて解説します。購買業務の中でもとりわけ重要とされるのが『見積査定』ではないでしょうか。サプライヤーから提出された見積価格が妥当なのか否...


現場を知らない人に見てもらう 新鮮な目で物流現場を見る(その1)

◆ 改善のネック「固定観念」  先日とある物流現場を見に行った時のことです。新たに赴任したセンター長が物流現場の問題点を指摘し、改善案を提案されまし...

◆ 改善のネック「固定観念」  先日とある物流現場を見に行った時のことです。新たに赴任したセンター長が物流現場の問題点を指摘し、改善案を提案されまし...