中小規模組織でのプロジェクト管理システムの課題(その1)

1. プロジェクト管理のシステム環境

 プロジェクト管理は、スケジュールやその進捗などをマネジャーやメンバーなどの関係者で共有する必要があり、また、役割や立場により様々な視点でプロジェクトの状況を把握する必要があるため、システムやツールの支援が必要不可欠である。ここでは、プロジェクト管理を支援するシステム環境について解説します。
 

(1) レベル1:オフィスツール利用

 小規模なプロジェクトでは、スケジュール作成や定期的な進捗報告などは Excel やテキストエディタなどの普段使っているツールで作成することが多いでしょう。手軽にプロジェクト管理を行うことができる反面、個人が自由な使い方をしているために様々な問題も引き起こします。この場合の特徴と課題は、次のように整理することができます。
 

【特徴】

・10 個前後のマイルストーン管理ですむ場合は文字中心のメールやファイルでやりとりすることが多い。
・使い慣れた Excel を使ってガントチャート・スタイルのスケジュールを作成する。
・Excel をお絵かきツールのようにして使うことが多い。
・Excel のマクロ作成を行ってメンバーの負荷分析などを行うなど、高度な使い方をしているケースもある。
 

【課題】

・人によって表現方法やフォーマットが違うため、スケジュールを結合したり分割したりするときに手間がかかる。
・わかりやすいように表現を工夫すればするほど修正や更新に手間がかかることになり、オーバーヘッドが増えていく。
・便利なマクロでもマクロ作成者がいなくなると保守ができなくなり、安心して使うことができなくなる。
・個人ファイル扱いとなっているため、関係者間での共有はトラブルが起きやすい。
・作業(タスク)は絵として表現されているだけなので、負荷分析やタスク分析などは別途手作業で行う必要がある。
 

(2) レベル2:Project スタンダード導入

 Excel などではトラブルやオーバーヘッドが大きくなってきたときや、プロジェクトのメンバーが 10 人から 50 人くらいの中規模になるとき、そして、メンバー間での計画や進捗の共有を強化したいときなどは、MS Project などのプロジェクト管理ツールを導入することが多い。ただ、使えるものかどうかを確認する必要があるために、手軽な MS Project スタンダード版を試験的に導入するケースが多い。この場合の特徴と課題は以下の通りである。
 

【特徴】

・MS Project を使うことで進捗管理の基本スキルが身につく。
・関連した作業(タスク)の日程変更などの修正が容易。
・プロジェクトの計画と進捗の管理に関する情報がプロジェクトファイルに一元化される。
・様々な見方(ビュー)で計画や進捗を見ることが可能。
・リソースの負荷分析やタスクのクリティカルパス分析などが可能。
 

 【課題】

・人により使い方や記述方法のバラツキが大きい。
・複数プロジェクトの進捗をまとめて見たいときなどプロジェクトを統合するのが難しい。
・組織全体で見たときに誰が過負荷になるかなどのプロジェクト横断的な分析が難しい。
・マトリクス体制の場合の進捗分析が困難。
 
 
プロジェクトマネジメント
 

(3) レベル3:Project エンタープライズ導入

 メンバーが 50 人以上の大規模プロジェクトが同時に複数走っているよう場合や、組織レベルでプロジェクト管理ツールを一括運用するような場合は、選択肢の1つとして MS Project のエンタープライズ版を導入することが多い。この場合の特徴と課題は以下の通り。
 

【特徴】

・組織全体のプロジェクトを一括して管理できる。
・組織全体のメンバーなどのリソースを一括して管理できる。
・組織全体でプロジェクトのポートフォリオ分析などが可能。
 

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 【課題】

・様々な事前準備や設定が必要となるため、導入の際の手間が大きい。
・組織にあった運用のためにはカスタマイズが必要になることが多く、コストが増大する。
・サーバーやネットワークなどのシステム管理が必要になる。
・プロジェクト管理のノウハウを組織的に蓄積するのが困難。
・進捗の分析方法などの運用を徐々に高度化する(進化させる)のが困難。
 
 次回もこのテーマで解説を続けます。
 

この記事の著者

石橋 良造

組織のしくみと個人の意識を同時に改革・改善することで、パフォーマンス・エクセレンスを追求し、実現する開発組織に変えます!

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