SCM(サプライチェーンマネジメント)とは

更新日

投稿日

 サプライチェーンマネジメント(SCM)のゴールは「メイクマネー」、すなわちキャッシュフロー(資金の流れ)を上げることです。企業を存続させるためには、企業という生き物の血液であるキャッシュの流れを良くすることが、最も重要です。従来のように会計原則上の利益だけでは不十分で、キャッシュフローの上がらない利益を計上することは、今日のようなデフレ時代には企業経営を危くします。

 

 サプライチェーンマネジメントとは、デマンド(需要)に対して、材料・部品のマテリアル(物量)と設備や人のリソースのキャパシティ(能力)を利用し、制約(ボトルネット)...

 サプライチェーンマネジメント(SCM)のゴールは「メイクマネー」、すなわちキャッシュフロー(資金の流れ)を上げることです。企業を存続させるためには、企業という生き物の血液であるキャッシュの流れを良くすることが、最も重要です。従来のように会計原則上の利益だけでは不十分で、キャッシュフローの上がらない利益を計上することは、今日のようなデフレ時代には企業経営を危くします。

 

 サプライチェーンマネジメントとは、デマンド(需要)に対して、材料・部品のマテリアル(物量)と設備や人のリソースのキャパシティ(能力)を利用し、制約(ボトルネット)を意識しながら、事業単位全体(サプライチェーン)をシンクロナイゼーション(同期化)させ、材料・部品の供給から販売までの物の流れ、すなわちスループットというキャッシュフローのスピードを上げることなのです。

 

 サプライチェーンマネジメントの三要素は、デマンド(需要)、マテリアル(物量)、キャパシティ(リソースの能力)です。その目的は、制約に基づいてプロセスのシンクロナイゼーションを図り、キャッシュフローのスピードを上げることにあります。その管理指標は、コストや効率という伝統的な会計上のコンセプトではなく、スループット(物の流れ)、インベントリー(在庫)、エクスペンス(経費)という全体最適を目的(ゴール)としなくてはなりません。

 

 つまり、サプライチェーンマネジメントは、キャッシュフロー経営であると言えます。市場と競合相手がグローバルに広がったメガコンペティション(国際的大競争)の時代にあって、企業の生き残りに不可欠な手段です。会計上の利益(ネットプロフィット)では、製品の市場価値が下がっても、経費を資産化するという「飛ばし」と同じ操作が、合法的に行なわれる従来の経営指標に挑戦する考え方なのです。また、バーチャルコーポレーション(仮想企業)などの戦略的パートナーシップを、グローバルなサプライチェーン上で構築する、理論的基盤を提供するマネジメントツールでもあります。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その3)

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...

  1.「ギリギリまでつくらない、運ばない、仕入れない」はSCMの行動指針    行動指針の見方・考え方については、その1、その...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その9)

1.平成28年、熊本震災に学ぶ    前回のその8に続いて解説します。「必要な時に、必要なものを、必要なところに」というのはSCMのコンセプ...

1.平成28年、熊本震災に学ぶ    前回のその8に続いて解説します。「必要な時に、必要なものを、必要なところに」というのはSCMのコンセプ...


生残りの手段としてのサプライチェーンとは

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...

 「サプライチェーンマネジメント」(工業調査会)を私が出版したのは1998年ですが、それ以来日本国内のジャストインタイムやロジスティクスの分野で実績のある...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
間接部門も自分の目で確認:物流は3現主義で(その3)

  ◆ 物流は3現主義で 間接部門も自分の目で確認  いくら良い改善アイデアを考えたとしてもそれが具現化できないものであれば意味ありませ...

  ◆ 物流は3現主義で 間接部門も自分の目で確認  いくら良い改善アイデアを考えたとしてもそれが具現化できないものであれば意味ありませ...


日本の常識は海外では非常識:海外物流での留意点(その1)

  ◆ 日本の物流常識は海外では非常識 今や大企業に限らず、中小企業も海外進出が当たり前の時代となりました。人財の層が厚くない中小企業で...

  ◆ 日本の物流常識は海外では非常識 今や大企業に限らず、中小企業も海外進出が当たり前の時代となりました。人財の層が厚くない中小企業で...


仕事の標準化 物流と管理技術(その1)

  ◆ 標準化の重要性  物流業の人と話をしていると、管理技術の導入がまだまだだと感じることがあります。この管理技術ですが、特に物流現場...

  ◆ 標準化の重要性  物流業の人と話をしていると、管理技術の導入がまだまだだと感じることがあります。この管理技術ですが、特に物流現場...