新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方(その9)解析結果のまとめ

【目次】
序論   ←掲載済
第3章  連関図法の使い方 ←今回
第4章  親和図法の使い方  
第5章  マトリックス・データ(MD)解析法の使い方
第6章  マトリックス図法の使い方
第7章  系統図法の使い方
第8章  アロー・ダイヤグラム法の使い方
第9章  PDPC法の使い方
第10章 PDCA-TC法の使い方

新QC七つ道具:第3章 連関図法の使い方

 
 前回に続いて、3.2.3 各ステップの詳細説明のStep 12から解説を続けます。
 

Step 12:連関図(Ⅲ)の解析結果のまとめ

 
 このステップの狙いは、解析結果とリポートの橋渡しなので、特段のニーズがなければ、きちんとした形のリポートにする必要はないでしょう。ただ、解析時に頭に浮かんだ、リポートに反映したい事項などを、メモ程度でよいから記憶の新しいうちに書きとめておくとリポートの作成が楽であるのです。
 
 【参考】連関図作成及び解析のプロセスをレビューしてまとめておくとよい。
 
 かけた時間と熟成度指数kとの関係、カードのレイアウトの仕方、6種類のカードの選び方など、連関図活用上のポイントに類する点について、記憶の新しいうちにレビューし、次回トライしてみたいことも含めて記録しておくと、その繰り返しの中で、自分流の活用ノウハウが確立され、それ以降の活用効率が高くなるので、トライされることをお勧めします。
 

Step 13:リポートの作成

 
 最終リポートは、現場の生の声をベースとした混沌からの脱出計画の立案・遂行を効率よく行えるようにガイドするためのもので、骨子は下記の3点です。
 
(1)  混沌解明結果の説明
(2) 混沌からの脱出策策定指針の明示
(3) 諸施策のウエートづけと優先順位検討のためのガイドラインの明示
 
 作成は、解析チームリーダーが原案を作り、メンバーへの説明時、皆の意見を採り入れて加筆修正して完成させます。
 

【ポイント 1】混沌の解明結果を連関図の解析結果と関連づけて明示します。

 
 混沌の原因は、ケースバイケースでさまざまですが、連関図から読み取ることのできるケースは、経験的に次の4通りのいずれかのケースがほとんどなので、参考にして下さい。
 
(1) 最終カードの中から、体質や体制に関わる原因が把握され、それに関わるメーンカードの内容の中に、具体的な混沌の原因と対策のヒントがある。
(2) メーンカードの中、もしくはそれに関わるカードの中に、諸悪の根源的原因がある。
(3) 起点カードの中に、自己完結型の解決を阻む原因が含まれている。
(4) 何枚かのカードでループが形成されており、問題が堂々巡りしている。
 

【ポイント 2】具体的施策に対する指針、ガイドラインは、カードとの関連。

 
 長時間かけて言語データとつき合い、連関図を熟成させてきたリポート作成者にとっては自明のことが、解析に参加していない人には論理の飛躍が感じられ、理解を得られないケースが多いのです。この溝を埋めるのは至難の技ですが、指針やウエートづけ、優先順位のガイドラインを、関連するカードと結びつけて説明することにより、かなりの成果を期待することができます。
 
 この点に関するポイントは、ケースバイケースで何ともいえないのですが、各種類のカードの特徴を下記のようにとらえ、それらを念頭に置いて取りかかるのが、比較的スムーズです。
 

1. 最終カード(オリジナルデータの場合)

 
 最終カードは、その組織の体質や体制に関わるものが多いのですが、それがBSメンバーから提供されたデータであるということを真剣に受けとめ、それなりのコメントをつけた的確な対策または対応の提示が必要です。
 

2. 最終カード(まとめカードの場合)

 
 まとめカードには、KJ法でいう“一匹狼”的なものをまとめたケースと、いま一歩のところまできているものを、テーマカードへ導くための中継的なケースの2種類あります。前者の場合は、連関図解析における高い熟成度が生み出したもので、連関図法を活用することにより初めて入手できます。テーマに対する新しい視点といえます。したがって、手に入れた新しい視点に立った、具体的で新たな要因を抽出することにより、“目から鱗”的な展開を見ることもあり、リポートに深みを持たせることができます。
 
 (注3-17)にあるまとめカード「良品を不良品にしている」は、好例です。後者の場合は、BSメンバーとの共通認識度も高く、それだけ身近な問題なので、的確にして具体的な施策の提示が必須です。
 

3. メーンカード

 
 矢線が多く出ているカードで、BSメンバーにとっては諸悪の根源的なものとして認識されており、内容もかなり具体的な場合が多いのです。したがって、本格的な取り組みとは別に、即効性を重視した暫定対応を考慮する必要があります。ただ、矢線が多く出ているとはいえ、あくまで入手データ相互の連関においてなので、時には次元の低いものもあるから、必ずしもダイレクトにそのカードに対応する必要はなく、次元を高めた対応をすべきです。
 
 新QC7つ道具
 

4. 起点カード

 
 矢線が出る一方のカードということは、BSメンバ-では対処できないため、諸悪の根源と認識され、時には責任回避場所となりかねないので、注意を要する。内容的には、だいたい次のような区分になります。
 
(1) 宿命的なもの:立地条件、法規制関連
(2) 顧客関連  :購買規定、開発日程など
(3) 社内規定関連:本社管轄規定、不文律
(4) 方針関連  :社方針、工場方針など
(5) 社外関連  :外注、関連団体関連
 
 これらのカードに対する対処のポイントは次の3点であり、これらを参考に、前述のような責任回避的意識を断ち切るようなリポートにする必要があります。
 

ⅰ) カードのいい分は的を射ているか

 
 品質問題がテーマで(2)に関して“開発期間が短い”があった場合、文字通りの対処“開発期間の長期化を顧客に要望”は自殺行為です。業界の実情を説いた上で、開発体制改革の契機ととらえて“高効率開発体制確立による開発期間短縮”へと誘導すべきです。一方、“量産間際の設計変更が多い”に対しては“顧客の要望だから何とかしよう”という時代ではなく、顧客と協議の上、しかるべき対応策を講じるべきです。
 

ⅱ) 規制条件を変えることはできないか

 
 カードのいい分が一見的を射ているようでも、その背景が“規制条件が、過去に検討して変更できないという結論だったから”であった場合は、過去の判断を一度白紙に戻し、突破口を開くべく再検討・再挑戦すべきです。その規制条件が、たとえ法規に関するものであっても、専門家を通じて現在の法解釈の確認も含め、善処策を講じるべきです。
 

ⅲ) 改革の契機にできないか

 
 カードのいい分が的を射ており、規制条件が変更不可という結論の場合は、一般的には諦めざるを得ないことになります。しかし、“21世紀型スタッフワーク”のテーマであるなら、これを機に、自らの体質・体制を改革し、時代を先取りする形での規制クリアで解決すべく、果敢な挑戦課題へと誘導するべきです。
 

5. ポイントカード

 
 カードの定義は“解析途上で強く印象に残ったカード”という、非常に主観的なものであるが、事例をレビューしてみると、最終カード以外で矢線の多く入ったものが多く、内容的には、日常不具合の原因としてよく耳にする“現象”であることが多いのです。
 
 例をあげると、品質問題がテーマ時の“設備(自動機)の誤作動が多い”というのは、一見原因のようであるが、あくまで現象です。
 
 しかし、BSメンバーにとっては、その背景にある原因は複雑で手に負えず、この現象を諸悪の根源的“原因”として把握しているので、リポートとしては、その認識を改めさせる配慮が必要です。ただ、解析グループが主観的に選んだものが、BSメンバーの感覚と著しくズレたものであると、全体的な不信感を生むので、最終の連関図におけるポイントカードは、そういった面からのチェックを慎重に行う必要があります。
 

6. 要意識教育カード

 
 このカードについては、データ提供者に配慮して、オープンにするのは解析グループメンバーまでとした方がよいと思いますが、放置することなく、リポートの中にうまく盛り込み、関係者の間にある意識のズレ矯正を心がけるべきです。
 
 

7. 要確認カード

 
 このカードは、データ提供者に確認した後、必ず以上のいずれかに分類されるので特に取り上げる必要はなく、念のための言及です。
 
 次回は、Step 14:最終連関図の作成、から解説を続けます。
 

この記事の著者

浅田 潔

100年企業を目指す中小企業のため独自に開発した高効率な理念経営体系を柱に経営者と伴走します。

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