CSR(その7)新環境経営

 
CSR
新環境経営への取組みについての話題を提供するに当たり、最初は経済成長に邁進してきた中で発生した公害について振り返りました。前々回からCSRの歴史、及び現状について紹介しています。今回は、CSR教育について解説します。
 

1. CSR教育の現状

 ある大学において、CSR教育として、90分の授業が13回に亘って毎週開催されました。これはリスクマネジメント協会から提供された寄附講座で、学生と一般社会人が共に学ぶ形をとっています。特別講座を担当する教授の話では学生は講師から学ぶと同時に実際に企業でCSRに取り組んでいる社会人からの投げかけを通しても学ぶことができ、社会人も学生から質問により気づき得ることができる。とこの講座の意義を話されていました。
 
 この講座では、スタートと最後の講座は大学教授が務め、CSRの重要性や将来の展望などCSRの意義が語られます。2回目以降はCSRの実践に熱心な企業から自社の取組み状況の紹介があります。講座を担当する企業にとっては、CSR優良企業として知名度、好感度向上が見込める訳で、企業イメージの向上に繋がります。又、大学や学生は、就職先としての企業について、企業理念や取組姿勢を確認できるわけで、双方にメリットのある、優れた仕掛けと思われます。ただ、寄附講座を提供したリスクマメジメント協会としてのメリットは定かではありません。尚、ここでのCSRの紹介は、これまでに紹介してきた「日本化されたCSR」への取組みについてでした。
 
 その後、3年ぶりに上記の特別講座が再開されました。初回はブラッセルにロビイストとして駐在されていた藤井敏彦氏から「日本化されたCSRと世界のCSRは違うものである」ことが強調されました。 ヨーロッパのCSRは前回も紹介しましたが、「国だけでは対応しきれない人権や雇用等について、企業にも社会的責任としてその一端を担って欲しい」。日本ではこのことが正しく認識されていないことを踏まえて「日本もこれまで以上に、より踏み込んだ社会的責任を意識する必要がある」とのメッセージと受け取りました。ISO26000が制定されたこともあり、3年前の講座とはCSRの方向性が大きく変わりました。
 
 また、2回目からの企業による取組みの紹介も、2011年 3月11日の東日本大震災を受けて、災害時のリスクや事業継続性(BCP)を含めた内容になっており、企業の社会的責任として、災害時においても如何にタイムリーに復旧、復興に貢献してきたかについて、夫々の企業の立場での取組みが紹介されました。このように、昨今のグローバル化や社会状況の変化に合せて、CSR特別講座の教育内容は変化してきています。最初の講座を受けた学生は、日本化されたCSRを学んで巣立っていきました。2回目に受講した人は、海外のCSRと日本のCSRの違いを理解した上で災害時のリスクや事業継続性(BCP)を含めた内容を学んで巣立っていきました。
 
 カリキュラムは、最新の状況に基づいて組み立てられ、講演の中身も旬な話題が盛り込まれます。講座の内容がどんどん変わっていくのは当たり前で社会人になっても常に学び続けなければならないことを示唆しています。今の様に変化の激しい時代の学びはどうあるべきか、異なる年の特別講座を受講した者の率直な感想です。
 

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2. CSR経営を実践した経営者の怒りの言葉

 以上のように世の中がCSRの向上に動いており、各社はCSR報告書等で成果をアピールしていますが、あるCSR経営を実践した女性経営者は「最近は人員削減のニュースが多い。従業員を解雇する前に企業トップ始め経営幹部が自らの報酬を返上し、住居のない解雇社員に会社の施設や経営幹部の住居を提供するぐらいの気構えが必要ではないか。声高にCSRを叫んできた企業があっさりとその看板を下ろす風潮を見るにつけ、まだまだ日本企業にとっては掛け声だけのCSRだったのだと思わざるを得ません。」と話されていました。
 
 この経営者は、英国の「ザ・ボディーショップ」日本販売店の社長を務められた方で、この会社が単に利潤を得ることが目的ではなく、「環境保護」、「人権擁護」、「動物愛護」にまつわる活動を通じて社会に変革を起こそうという極めて高邁な理念を掲げていたことに共感されて、企業経営は未経験であったが社長を引き受け、3年で黒字化。黒字化までは報酬に手をつけず万一に備えたそうです(以上、日経ビジネス2009年2月23日 有訓無訓より)
 
 1990年に既にヨーロッパでCSRを実践してきた方がいました。派手な広報宣伝をしない、地道にCSRを実践している、光り輝く宝物の様な会社もたくさんあるのです。
 
  次回は地域貢献型企業認定制度(CSR)について紹介します。                                 

この記事の著者

石原 和憲

人と地域をつなぐ、交流型イノベーター

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