購買業務の要点:原価積み上げでの価格設定

更新日

投稿日

 SCM前回のその3に続いて解説します。RFP1プロセスにおいては見積価格を提示していただきます。その際に提出フォームはこちら側で準備しそれをサプライヤーに渡して記入していただくことにします。提出フォームを相手任せにすると各社まちまちな項目での提出となりますので、提出後の分析にとても苦労します。1:RFP( Request for proposal)「提案要請」
 
 そして、こちら側が知りたい項目はできるだけブレークダウンしておくと効果的です。例えば、溶接価格1cmあたりの単価を記入する欄と溶接の長さを記入する欄に分けます。物流費であれば輸送費と荷姿費に分けます。輸送費も距離単価と総距離数を記入してもらうようにするこのです。
 
 このように知りたい項目はあらかじめ洗い出し、それを記入してもらうことで後々の分析が楽になりますし、価格比較の際にも役立ちます。購買であればサプライヤーの実力値を把握しておくことが求められます。価格がすべて込み込みの丸まったものであれば、そのサプライヤーの労務費に問題があるのか資材調達力に問題があるのか分析が出来ません。
 
 価格をもらう際に気を付けたいことは他にもあります。それは「ブラックボックス」にする項目を無くすことです。よく物流費を明確化せずにブラックボックス化してしまっているケースを見かけますがこれは望ましくありません。原価を明確にした上で、それに管理費と利益を乗せるという考え方でいきたいものです。「一式」でいくらという考え方は、全てが「ブラックボックス」です。
 
 これをコスト方式と呼びます。一方でプライス方式と呼ばれるものがあります。これは原価積み上げではなく最終的に「価格がいくら」になるかどうかを見る方式です。実はプライス方式の方がコスト方式よりも安くなるという考え方もあります。原価積み上げでは表せない「戦略価...
 SCM前回のその3に続いて解説します。RFP1プロセスにおいては見積価格を提示していただきます。その際に提出フォームはこちら側で準備しそれをサプライヤーに渡して記入していただくことにします。提出フォームを相手任せにすると各社まちまちな項目での提出となりますので、提出後の分析にとても苦労します。1:RFP( Request for proposal)「提案要請」
 
 そして、こちら側が知りたい項目はできるだけブレークダウンしておくと効果的です。例えば、溶接価格1cmあたりの単価を記入する欄と溶接の長さを記入する欄に分けます。物流費であれば輸送費と荷姿費に分けます。輸送費も距離単価と総距離数を記入してもらうようにするこのです。
 
 このように知りたい項目はあらかじめ洗い出し、それを記入してもらうことで後々の分析が楽になりますし、価格比較の際にも役立ちます。購買であればサプライヤーの実力値を把握しておくことが求められます。価格がすべて込み込みの丸まったものであれば、そのサプライヤーの労務費に問題があるのか資材調達力に問題があるのか分析が出来ません。
 
 価格をもらう際に気を付けたいことは他にもあります。それは「ブラックボックス」にする項目を無くすことです。よく物流費を明確化せずにブラックボックス化してしまっているケースを見かけますがこれは望ましくありません。原価を明確にした上で、それに管理費と利益を乗せるという考え方でいきたいものです。「一式」でいくらという考え方は、全てが「ブラックボックス」です。
 
 これをコスト方式と呼びます。一方でプライス方式と呼ばれるものがあります。これは原価積み上げではなく最終的に「価格がいくら」になるかどうかを見る方式です。実はプライス方式の方がコスト方式よりも安くなるという考え方もあります。原価積み上げでは表せない「戦略価格」というものがあるからです。確かに戦略価格の恩恵を被ることもあるかもしれません。ただし、購買行為においては相手のQDCM2を把握するためにも原価の積み上げで価格を提出してもらうことが肝要です。2:QDCM、Q(品質)・D(納期)・C(コスト)・M(マネジメント)
 
次回は、その5:公平公正なソーシングを解説します。
 
 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その5)

第5回 道具4「物流会社選定ツール」(中)   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ3】候補会社評価表の作成 ...

第5回 道具4「物流会社選定ツール」(中)   ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 【選定ステップ3】候補会社評価表の作成 ...


サプライチェーンマネジメントにおけるERP -ソフトウェアの本質的な方向性-

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われて...

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われて...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その12)

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...

1.どこに何がいくつあるか、そのどこには国内とは限りません    前回のその11に続いて解説します。商品はグローバルに流通しています。シリー...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流改善の考え方と優先度

1. 工場内物流の効率化とその影響  皆さんは物流改善というとどのようなイメージを持ちますでしょうか。多くの人が物流はコストだという認識があります。...

1. 工場内物流の効率化とその影響  皆さんは物流改善というとどのようなイメージを持ちますでしょうか。多くの人が物流はコストだという認識があります。...


現場での立ち会議 物流問題の解決は3現主義で(その2)

       1. 3現主義の典型例  物流過程で起きた問題点は3現主義で解決していきましょう。物流上の問題点の例として物流品質不良が挙げられ...

       1. 3現主義の典型例  物流過程で起きた問題点は3現主義で解決していきましょう。物流上の問題点の例として物流品質不良が挙げられ...


情報発信と情報共有 物流BCPについて考える(その14)

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...

         【物流BCPについて考える 連載目次】 1. 事業継続を脅かすリスク ...