保管効率:物流KPIについて考える(その3)

投稿日

SCM

 

◆保管効率を示すKPI

物流機能でコスト的に最もかかっているものは輸送ですから、輸送では回転率や積載率といったKPIを持ち、日々管理していくことが求められます。そして輸送の次にコストがかかっているものが保管です。倉庫や工場の一部で製品を保管する機能です。外部保管の場合は外払い費用が発生するため、比較的注目度は高いのですが、自社内では意識は薄くなりがちです。

 

しかし保管が発生すると場所を食いますし、保管作業の伴う工数も発生します。そこで保管についても何がしかのKPIを持ち、管理していくことが望ましい姿といえるでしょう。保管に関わる指標として考えなければならないのは保管効率と作業効率の2つです。前者は保管エリアをどこまで効率的に使えているかを表します。後者は保管エリアの中での作業の効率性を示します。

 

保管効率はそのエリアについて床面積だけでなく、保管エリアを立体的にとらえ、その活用有効度を評価します。

  保管効率 = 保管物の容積÷保管エリアの容積

このような算式で算出されます。

 

この保管効率は通路があると低くなります。荷役のための通路は保管エリアとしては使えないため、デッドスペースになるからです。また高さを有効に活用しない場合も低くなります。物流倉庫ではいかに高さを効果的に活用するかがキーになります。

 

保管効率を高めることで原則として保管コストは低下します。評価できるKPIは必ず設定するようにしましょう。

 

次に作業効率です。これは保管エリア内で入出庫作業を行う際にその作業の効率を示すKPIです。簡単な指標として1人1時間あたり入庫量(あるいは出庫量)などはいかがでしょうか。

 

もし物流標準時間を設定していたとしたら、標準時間に対する実際作業時間の比率を取るのもよいかもしれません。大抵標準時間よりも時間がかかっていることが多いでしょうから、そのギャップを生産性として把握することは正しい評価でしょう。

 

私たちが注意しなければならないことがあります。それは保管効率と作業効率はトレードオフに...

SCM

 

◆保管効率を示すKPI

物流機能でコスト的に最もかかっているものは輸送ですから、輸送では回転率や積載率といったKPIを持ち、日々管理していくことが求められます。そして輸送の次にコストがかかっているものが保管です。倉庫や工場の一部で製品を保管する機能です。外部保管の場合は外払い費用が発生するため、比較的注目度は高いのですが、自社内では意識は薄くなりがちです。

 

しかし保管が発生すると場所を食いますし、保管作業の伴う工数も発生します。そこで保管についても何がしかのKPIを持ち、管理していくことが望ましい姿といえるでしょう。保管に関わる指標として考えなければならないのは保管効率と作業効率の2つです。前者は保管エリアをどこまで効率的に使えているかを表します。後者は保管エリアの中での作業の効率性を示します。

 

保管効率はそのエリアについて床面積だけでなく、保管エリアを立体的にとらえ、その活用有効度を評価します。

  保管効率 = 保管物の容積÷保管エリアの容積

このような算式で算出されます。

 

この保管効率は通路があると低くなります。荷役のための通路は保管エリアとしては使えないため、デッドスペースになるからです。また高さを有効に活用しない場合も低くなります。物流倉庫ではいかに高さを効果的に活用するかがキーになります。

 

保管効率を高めることで原則として保管コストは低下します。評価できるKPIは必ず設定するようにしましょう。

 

次に作業効率です。これは保管エリア内で入出庫作業を行う際にその作業の効率を示すKPIです。簡単な指標として1人1時間あたり入庫量(あるいは出庫量)などはいかがでしょうか。

 

もし物流標準時間を設定していたとしたら、標準時間に対する実際作業時間の比率を取るのもよいかもしれません。大抵標準時間よりも時間がかかっていることが多いでしょうから、そのギャップを生産性として把握することは正しい評価でしょう。

 

私たちが注意しなければならないことがあります。それは保管効率と作業効率はトレードオフになる可能性があるということです。エリア内にぎっしりと詰め込みすぎると作業性が低下します。すべて1動作で入庫・出庫できることが望ましい姿です。しかし異なる製品どうしを積み重ねていると1動作での作業は困難です。一方で保管効率はよくなります。両者を成立させるために、どのような姿を目指せばよいのかは考えどころです。

 

次回に続きます。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その8)

1.ネット社会では商品のライフサイクルも短く、口コミで売れ行きが急激に変わる    前回のその7に続いて解説します。次のグラフを見てください...

1.ネット社会では商品のライフサイクルも短く、口コミで売れ行きが急激に変わる    前回のその7に続いて解説します。次のグラフを見てください...


サプライチェーンマネジメントの背景と効果実現に向けた考え方(その2)

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...

 前回のその1に続いて解説します。 4.様々な業界におけるSCM  SCMではサプライチェーンのボトルネックを管理することで効果の最大化を狙います...


サプライチェーンにおけるリードタイム短縮の方策

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
  物流価格見積り:物流購買の勘所(その8)

  ◆物流価格見積り 物流はコストとしての認識が強いですから、一番興味があるところではないでしょうか。物流購買の勘所(その8)で、価格見...

  ◆物流価格見積り 物流はコストとしての認識が強いですから、一番興味があるところではないでしょうか。物流購買の勘所(その8)で、価格見...


本当のサプライチェーンマネジメント論の展開 固定観念を捨てて取り組む重要性(その1)

   進化論では時代の変化に対応できたものだけが生き残ると言われています。この言葉は私たちが携わる物流の仕事にもそっくりそのまま当てはまる...

   進化論では時代の変化に対応できたものだけが生き残ると言われています。この言葉は私たちが携わる物流の仕事にもそっくりそのまま当てはまる...


物流時間管理の基本

  1. 標準化の必要性  製造メーカーであれば必ずといってよいほど整備されているのが「標準時間」です。この元には標準作業が決められており、誰もが...

  1. 標準化の必要性  製造メーカーであれば必ずといってよいほど整備されているのが「標準時間」です。この元には標準作業が決められており、誰もが...