サプライチェーンマネジメントにおけるERP -ソフトウェアの本質的な方向性-

更新日

投稿日

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われています。そもそも、統合されたデータベースをあつかう情報システムから成立する設備が、ERPのコンセプトといえます。

 しかしながら実情は、業務別・段階別での導入となりがちです。購買システム・生産計画システム・会計システム・人事システムなどが、ソフトウェアの集合(パッケージ)であればよしといわんがばかりにバラバラに導入されてしまうわけです。それも実情を反映させるかのようにカスタマイズをほどこされながらです。これでは高価な市販ソフトの導入などと変わりません。

 ここにきてERPの意味合いも検討されたのか、ERPSCMと併記されるようにもなってきました。SCMは事業単位(BU:ビジネス・ユニット)を改善や構築の範囲とします。キャッシュが流出と流入するまでのオペレーション(ビジネスプロセス)を扱う必要があるためで、具体的には、購入から販売にいたるER(エンタープライズ・リソース)、すなわち「人や設備の経営資源」が範囲となります。

 ERPの構築は、SCM視点の目的を持つことが今後重要になってきます。SCMの目的が事業単位での統合にあるためで、事業単位が縦とするならば業務機能は横の展開となります。

 ERPがデータベースなどの基本技術をプラットフォームとするように、ERPをプラットフォームとしてSCMが成立するといえます。このときERPは市販ソフトの単純な導入ではなく、購買・生産・販売(SCMの機能)と、資金とモノの動きのモニター機能(在庫・売掛・買掛など運転資金状況把...

 ERP(エンタープライズ・リソース・プラニング)を直訳すると、経営資源計画システムとなります。しかし日本では、統合業務パッケージと訳された言葉が使われています。そもそも、統合されたデータベースをあつかう情報システムから成立する設備が、ERPのコンセプトといえます。

 しかしながら実情は、業務別・段階別での導入となりがちです。購買システム・生産計画システム・会計システム・人事システムなどが、ソフトウェアの集合(パッケージ)であればよしといわんがばかりにバラバラに導入されてしまうわけです。それも実情を反映させるかのようにカスタマイズをほどこされながらです。これでは高価な市販ソフトの導入などと変わりません。

 ここにきてERPの意味合いも検討されたのか、ERPSCMと併記されるようにもなってきました。SCMは事業単位(BU:ビジネス・ユニット)を改善や構築の範囲とします。キャッシュが流出と流入するまでのオペレーション(ビジネスプロセス)を扱う必要があるためで、具体的には、購入から販売にいたるER(エンタープライズ・リソース)、すなわち「人や設備の経営資源」が範囲となります。

 ERPの構築は、SCM視点の目的を持つことが今後重要になってきます。SCMの目的が事業単位での統合にあるためで、事業単位が縦とするならば業務機能は横の展開となります。

 ERPがデータベースなどの基本技術をプラットフォームとするように、ERPをプラットフォームとしてSCMが成立するといえます。このときERPは市販ソフトの単純な導入ではなく、購買・生産・販売(SCMの機能)と、資金とモノの動きのモニター機能(在庫・売掛・買掛など運転資金状況把握: 従来のERPの機能)を必要とすることでしょう。このことでERPSCMの関係、すなわち「計測」と計測されたデータに基づいて意思決定を行う「制御」の関係が、協業する統合業務システムを設計可能とします。

 ERP導入は、キャッシュフローを指標とするSCMを指向したビジネスモデルの創造・改善からはじめるべきなのです。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

今岡 善次郎

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。

在庫が収益構造とチームワークの鍵を握ります。人と人、組織と組織のつながり連鎖をどうマネジメントするかを念頭に現場と人から機会分析します。


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
サプライチェーンとはなにか

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...

 工業時代の主役が技術であったことは言うまでもありません。企業の成長は最高の技術が約束し、企業の評価基準が研究開発投資であった時代が長く続きました。今は成...


物流人財育成【連載記事紹介】

  物流人財育成の記事が無料でお読みいただけます!   ◆物流課題を解決できる人財育成 「物流は極めて重要な戦略的課題であ...

  物流人財育成の記事が無料でお読みいただけます!   ◆物流課題を解決できる人財育成 「物流は極めて重要な戦略的課題であ...


サプライチェーンにおけるリードタイム短縮の方策

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...

1.情報共有とチームワークによる同期化  危機感や目標の共有が、キャッシュの回転スピードを上げます。 サプライチェーンの同期化とは、車の運転でいえば、速...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
輸送単価改善とは : これからの輸送改善のコツ(その3)

  ◆ 輸送単価改善  前回と同様に輸送コスト式を見てみましょう。    ・輸送コスト = 距離 × 物流量 ×...

  ◆ 輸送単価改善  前回と同様に輸送コスト式を見てみましょう。    ・輸送コスト = 距離 × 物流量 ×...


保管の現状把握とは:物流現状把握の重要性(その2)

  ◆ 保管の現状把握  物流の重要機能である保管について、保管機能を4M(人、もの、設備、方法)の4つの視点から現状把握をしてみましょ...

  ◆ 保管の現状把握  物流の重要機能である保管について、保管機能を4M(人、もの、設備、方法)の4つの視点から現状把握をしてみましょ...


自動車サプライチェーンに学ぶ グローバルサプライチェーン(その5)

  1. ジャストインタイム生産  最終組み立てメーカーである自動車メーカーを最下流とし、そこにつながるサプライチェーンはまさにグローバルワイドで形成...

  1. ジャストインタイム生産  最終組み立てメーカーである自動車メーカーを最下流とし、そこにつながるサプライチェーンはまさにグローバルワイドで形成...