水平展開の前にすること:物流の改善ポイント(その5)

投稿日

SCM

 

◆改善は、まず一か所だけ導入する

単なる発注者とサプライヤーの力関係だけで現状を変えようとしても上手くいくはずがありません。そうではなく、現状を変えればこれだけ良いことがあるという説明が必要です。そして、サプライヤー支援時には、数値で示して相手を説得できることが成功の秘訣になります。外部から人が来て、とやかく今まで自分たちがやってきたことを変えられることに、少なからず否定的な考え方を持つことが普通です。そのような時には、自社内でもサプライヤーの現場でも同様ですが、「一か所だけやってみる」というやり方が効果的です。

 

理屈で言ってもなかなか理解しがたいことは皆さんも経験されていることではないでしょうか。そんな時に「実験」してみることは良いことです。たとえば台車カンバン方式を一か所だけ導入してみる。それをしばらく運用してみる。その結果として腹に落ちるものがあれば水平展開していくようなやり方です。

 

何か「目に見えるもの」があると人間は気づきを実感します。ちょっとした管理ボードがあるのとないのとでは大違いです。在庫の適正水準が見える化されていると、現場作業者の意識は格段に高まります。そのために在庫の最小値と最大値を在庫置場に表示します。その基準があれば、在庫が最大値を超えようとすると、何かしらのアクションを取ろうとするものです。これも複数ある在庫置場のどこか一か所だけやってみればよいのです。

 

まず自社内でこのような改善を進め、その後でサプライヤー支援を行った方がよいでしょう。なぜなら、自分でやったことがないものを他人にやらせることは説得力に欠けるからです。

 

さて自社の改善もできる、そしてサプライヤーの支援もできる物流スタッフを育成していくわけですが、その際に5機能+情報機能のスキルに加えて重要なスキルを入れておきましょう。それが「改善力」です。現状の決められた作業をその通りに行うことは当然ですが、その作業を行う中で改善点を見つけられるようなスキルは重要...

SCM

 

◆改善は、まず一か所だけ導入する

単なる発注者とサプライヤーの力関係だけで現状を変えようとしても上手くいくはずがありません。そうではなく、現状を変えればこれだけ良いことがあるという説明が必要です。そして、サプライヤー支援時には、数値で示して相手を説得できることが成功の秘訣になります。外部から人が来て、とやかく今まで自分たちがやってきたことを変えられることに、少なからず否定的な考え方を持つことが普通です。そのような時には、自社内でもサプライヤーの現場でも同様ですが、「一か所だけやってみる」というやり方が効果的です。

 

理屈で言ってもなかなか理解しがたいことは皆さんも経験されていることではないでしょうか。そんな時に「実験」してみることは良いことです。たとえば台車カンバン方式を一か所だけ導入してみる。それをしばらく運用してみる。その結果として腹に落ちるものがあれば水平展開していくようなやり方です。

 

何か「目に見えるもの」があると人間は気づきを実感します。ちょっとした管理ボードがあるのとないのとでは大違いです。在庫の適正水準が見える化されていると、現場作業者の意識は格段に高まります。そのために在庫の最小値と最大値を在庫置場に表示します。その基準があれば、在庫が最大値を超えようとすると、何かしらのアクションを取ろうとするものです。これも複数ある在庫置場のどこか一か所だけやってみればよいのです。

 

まず自社内でこのような改善を進め、その後でサプライヤー支援を行った方がよいでしょう。なぜなら、自分でやったことがないものを他人にやらせることは説得力に欠けるからです。

 

さて自社の改善もできる、そしてサプライヤーの支援もできる物流スタッフを育成していくわけですが、その際に5機能+情報機能のスキルに加えて重要なスキルを入れておきましょう。それが「改善力」です。現状の決められた作業をその通りに行うことは当然ですが、その作業を行う中で改善点を見つけられるようなスキルは重要です。

 

改善提案制度を導入している会社は多々ありますが、改善力を体系的に向上させていくしくみを入れている会社は多くないかもしれません。改善点の見つけ方や、現場分析手法の教育など、メーカー物流には必要になってきます。ぜひIE手法も含め、こういった人財育成にも着手していきたいものです。

 

次回に続きます。

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
生産材メーカーサプライチェーンの機会と脅威

 サプライチェーン上のポジショニングで見ることにより、金型・工具・工作機械など生産財メーカーの製品は、どのようにビジネスの機会が広がるでしょう?   生...

 サプライチェーン上のポジショニングで見ることにより、金型・工具・工作機械など生産財メーカーの製品は、どのようにビジネスの機会が広がるでしょう?   生...


サプライチェーンのリードタイム別ビジネスモデル

 モノの流れを扱うサプライチェーンにおいて、鉄鋼業のような付加価値の高い素材型産業、自動車のような総合組立型機械産業、複写機やコンピュータのような電器セッ...

 モノの流れを扱うサプライチェーンにおいて、鉄鋼業のような付加価値の高い素材型産業、自動車のような総合組立型機械産業、複写機やコンピュータのような電器セッ...


サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?メリットや注目される背景を簡単に解説

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...

インターネットの普及やグローバル化などによる事業環境の変化に伴い、サプライチェーンマネジメント(SCM)が改めて注目を集めています。ものづくりに関わる...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
リターナブル容器:梱包品質向上の進め方(その3)

  ◆リターナブル容器 梱包は包装とかパッケージ、荷姿などと呼ばれます。この内企業間の梱包を「工業包装」、一般消費者向けの梱包を「商業包...

  ◆リターナブル容器 梱包は包装とかパッケージ、荷姿などと呼ばれます。この内企業間の梱包を「工業包装」、一般消費者向けの梱包を「商業包...


物流診断の勘所

  1. 保管状況は確実か    物流現場を診断する。これは今の仕事の仕方を客観的に見て正しいのか、改善の余地があるのかを判断す...

  1. 保管状況は確実か    物流現場を診断する。これは今の仕事の仕方を客観的に見て正しいのか、改善の余地があるのかを判断す...


物流アウトソースにあたっての留意点 (その2)

1. 物流アウトソース:RFIとRFPの実行  アウトソース先には物流条件をできるだけ詳しく伝えましょう。たとえば輸送業務をアウトソースするのであれ...

1. 物流アウトソース:RFIとRFPの実行  アウトソース先には物流条件をできるだけ詳しく伝えましょう。たとえば輸送業務をアウトソースするのであれ...