サプライチェーンの効率化:物流コスト改善に取り組む(その5)

更新日

投稿日

サプライチェーンマネジメント

 

◆サプライチェーン全体の効率化

物流はコストだと言って、常に物流を減らすことばかり考えることは正しくはありません。生産工程の生産性向上を図るためには物流でコストをかけても問題ありません。たとえば工場で物流の効率化をするとなると、最初に行うべきことは生産工程の生産性向上に寄与するための活動です。

 

物流は工場の中で直接的に付加価値を生みませんので、生産工程の効率化に寄与することで、間接的に工場収益に貢献するのです。物流でひと手間かけてライン供給を行うと、ライン効率が劇的に向上する場合があります。生産性向上ばかりではありません。品質も向上します。

 

工場で在庫削減するためには調達品の量を減らす必要があります。そのためには調達方法を工夫する必要があります。多数回調達という方法があります。これは1日で使う部品を何回かに分けて調達することです。しかし1つのサプライヤーでは納入回数を分割するとトラック積載率が下がる可能性があります。

 

そうなると、そのままで回数を増やすと物流コストが上がります。トラック台数が増えてCO2排出量が増えてしまいます。これでは逆効果になりますので、一工夫が必要になります。それがサプライヤー同士の混載であり、引き取り物流の実施でもあるのです。

 

やはり物流コスト削減を優先して在庫を増やすことは望ましくありません。トラックがいっぱいになる量を納入単位とすることは一見正しく見えて、実は望ましくありません。サプライチェーン全体を効率化するのであれば、在庫量を極限まで減らして、リードタイムを短縮する必要があるからです。

 

これは工場の中でも、部品調達プロセスでも、サプライヤーの社内でも一緒のことです。在庫削減は常に必要なのです。そしてそれを実行するためにはさまざまな工夫が求められます。いろいろなこ...

サプライチェーンマネジメント

 

◆サプライチェーン全体の効率化

物流はコストだと言って、常に物流を減らすことばかり考えることは正しくはありません。生産工程の生産性向上を図るためには物流でコストをかけても問題ありません。たとえば工場で物流の効率化をするとなると、最初に行うべきことは生産工程の生産性向上に寄与するための活動です。

 

物流は工場の中で直接的に付加価値を生みませんので、生産工程の効率化に寄与することで、間接的に工場収益に貢献するのです。物流でひと手間かけてライン供給を行うと、ライン効率が劇的に向上する場合があります。生産性向上ばかりではありません。品質も向上します。

 

工場で在庫削減するためには調達品の量を減らす必要があります。そのためには調達方法を工夫する必要があります。多数回調達という方法があります。これは1日で使う部品を何回かに分けて調達することです。しかし1つのサプライヤーでは納入回数を分割するとトラック積載率が下がる可能性があります。

 

そうなると、そのままで回数を増やすと物流コストが上がります。トラック台数が増えてCO2排出量が増えてしまいます。これでは逆効果になりますので、一工夫が必要になります。それがサプライヤー同士の混載であり、引き取り物流の実施でもあるのです。

 

やはり物流コスト削減を優先して在庫を増やすことは望ましくありません。トラックがいっぱいになる量を納入単位とすることは一見正しく見えて、実は望ましくありません。サプライチェーン全体を効率化するのであれば、在庫量を極限まで減らして、リードタイムを短縮する必要があるからです。

 

これは工場の中でも、部品調達プロセスでも、サプライヤーの社内でも一緒のことです。在庫削減は常に必要なのです。そしてそれを実行するためにはさまざまな工夫が求められます。いろいろなことを考えます。こうしたプロセスを経て、サプライチェーン効率化のための知恵がついてくるのです。

 

いかがでしょうか。物流コスト改善は物流自体が身を切ることだけではなく、逆にもっと高度なサービスを実施することでサプライチェーン全体が効率化できるわけです。ぜひ多角的な視点で物流コスト改善に取り組んでいただきたいと思います。

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
精度確保のキー『ブルウィップの克服』 SCM最前線 (その8)

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...

1. ブルウィップ効果を取りあげる理由    前回の連載『最先端のSCMテーマS&OP』では、その実現のためには「SCMオペレーショ...


SCMにおけるブルウィップ効果、需要の変動が川上の工程へ増幅する

1. ブルウィップ効果とは  ブルウィップ効果は、川下の需要変動が川上にいくほど増幅していく需要変動増幅現象です。この現象は、フォレスター効果として19...

1. ブルウィップ効果とは  ブルウィップ効果は、川下の需要変動が川上にいくほど増幅していく需要変動増幅現象です。この現象は、フォレスター効果として19...


連続的プロセス改善によるサプライチェーンのスピードアップ

 企業経営におけるコア・コンピタンスがスピードであるならば、何を経営指標としなければならないのでしょうか。組織ぐるみでの日本発の経営改善活動である連続的改...

 企業経営におけるコア・コンピタンスがスピードであるならば、何を経営指標としなければならないのでしょうか。組織ぐるみでの日本発の経営改善活動である連続的改...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
物流事業者連絡会:物流協力会社の育て方(その2)

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...

   少し会社が大きくなると受注した営業所と送り先の営業所が異なり情報連携がおろそかになることが考えられます。着荷主から指摘されて初めて誤...


物流効率化の視点とは

  1.物流全体の効率化、カギを握るのは荷主 すべての産業で人材不足が顕在化してきています。産業界での人の取り合いが進むとともに、人件費...

  1.物流全体の効率化、カギを握るのは荷主 すべての産業で人材不足が顕在化してきています。産業界での人の取り合いが進むとともに、人件費...


物流量 輸送インフレ時代の次の一手(その3)

  ◆ 荷量を縮める ~ 荷姿充填率の向上  輸送インフレ時代の次の一手について、前回に続き解説します。物流コストを構成する下記数式右辺...

  ◆ 荷量を縮める ~ 荷姿充填率の向上  輸送インフレ時代の次の一手について、前回に続き解説します。物流コストを構成する下記数式右辺...