物流共同化の光と影:共同物流に取り組む(その1)

投稿日

SCM

 

◆ 物流共同化の意義とネック

共同物流は複数のユーザーがお互い協力し合い、一緒に物流活動を行っていくことを指します。輸配送の共同化や容器、パレットの共同化などが真っ先に頭に浮かぶアイテムでしょう。

 

最近、この物流の共同化を進めていく意義が一層明確になってきました。その一つがドライバー不足です。今やトラックドライバーを含む運転職の求人倍率は2倍を超えてきています。若者はクルマを持ちたがりません。一昔前はクルマを持って色々な所に出かけていくことがレジャーの中心でした。しかし免許を取らない若者も増えてきています。

 

このような状況下、トッラクドライバーの成り手は激減しています。特に大型トラックを運転するための大型免許を取る若者などほとんどいない実態にあります。現時点で大型トラックで当たり前のようにモノが運べている会社も、いずれ運べない状況がやってくる可能性も増してきているのです。

 

お互いにトラックを共同で使う、つまり混載を実施したり、行き帰りを融通しあったりすることで、将来的な輸送力不足に対応するニーズが出始めているのです。さらなる市場競争の激化も共同化を後押ししています。各社は自社製品を作って売るわけですが、人口減少時代に入った昨今では供給が過剰な状態に入った業種も出てきています。

 

競争に勝つためにはより良い品質の商品をより短納期で、より低価格で提供する必要性が出てきています。そのためにはコストも下げていかなければなりませんが、物流コストもその例外ではありません。物流コストを下げるためには共同物流が効果的なわけです。しかしながらこの共同物流ですが、それほど成功事例は多くありません。それは何故でしょうか。

 

一つに企業が未だ物流でも競争すべきと考えていることが挙げられます。人口減少のこの時代にあっては製品では競争しても、物流では協調すべきなのですが。

 

もう一つに秘匿情報の流出リスクが挙げられます。他社と物流で共同活動を行うと、今まで表に出せなかった情報を出さざるを得ない場合が出てき...

SCM

 

◆ 物流共同化の意義とネック

共同物流は複数のユーザーがお互い協力し合い、一緒に物流活動を行っていくことを指します。輸配送の共同化や容器、パレットの共同化などが真っ先に頭に浮かぶアイテムでしょう。

 

最近、この物流の共同化を進めていく意義が一層明確になってきました。その一つがドライバー不足です。今やトラックドライバーを含む運転職の求人倍率は2倍を超えてきています。若者はクルマを持ちたがりません。一昔前はクルマを持って色々な所に出かけていくことがレジャーの中心でした。しかし免許を取らない若者も増えてきています。

 

このような状況下、トッラクドライバーの成り手は激減しています。特に大型トラックを運転するための大型免許を取る若者などほとんどいない実態にあります。現時点で大型トラックで当たり前のようにモノが運べている会社も、いずれ運べない状況がやってくる可能性も増してきているのです。

 

お互いにトラックを共同で使う、つまり混載を実施したり、行き帰りを融通しあったりすることで、将来的な輸送力不足に対応するニーズが出始めているのです。さらなる市場競争の激化も共同化を後押ししています。各社は自社製品を作って売るわけですが、人口減少時代に入った昨今では供給が過剰な状態に入った業種も出てきています。

 

競争に勝つためにはより良い品質の商品をより短納期で、より低価格で提供する必要性が出てきています。そのためにはコストも下げていかなければなりませんが、物流コストもその例外ではありません。物流コストを下げるためには共同物流が効果的なわけです。しかしながらこの共同物流ですが、それほど成功事例は多くありません。それは何故でしょうか。

 

一つに企業が未だ物流でも競争すべきと考えていることが挙げられます。人口減少のこの時代にあっては製品では競争しても、物流では協調すべきなのですが。

 

もう一つに秘匿情報の流出リスクが挙げられます。他社と物流で共同活動を行うと、今まで表に出せなかった情報を出さざるを得ない場合が出てきます。たとえば物流コストや製品の原価情報などがあります。総論で共同物流をやろうと思っても、これがネックとなり進めない実態があるのです。

 

この秘匿情報管理については、それが漏えいしないことが担保されなければ活動は進みません。まずこの点について十分に検討してから活動スタートということになります。

 

次回に続きます。

 

 

   続きを読むには・・・


この記事の著者

仙石 惠一

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人材育成ならばお任せ下さい!

物流改革請負人の仙石惠一です。日本屈指の自動車サプライチェーン構築に長年に亘って携わって参りました。サプライチェーン効率化、物流管理技術導入、生産・物流人...


「サプライチェーンマネジメント」の他のキーワード解説記事

もっと見る
海外工場支援者のための「物流指導7つ道具」(その9)

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...

第9回 道具6「現地スタッフ教育マニュアル」 前回のその8に続いて解説します。 ◆関連解説『サプライチェーンマネジメントとは』 1.現地スタッフの実...


部品メーカーのサプライチェーンにおける機会と脅威

 部品メーカーにとって大きな機会と脅威が共存する時代となったのは、経営環境が今のように過渡期で大きく変わりつつあるからです。グローバル市場とインターネット...

 部品メーカーにとって大きな機会と脅威が共存する時代となったのは、経営環境が今のように過渡期で大きく変わりつつあるからです。グローバル市場とインターネット...


ギリギリまで作らない、運ばない、仕入れない (その1)

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...

1.高度成長期は商品力で競争していた    私は1954年生まれの61歳。高度成長から中成長への切替わり時に社会人になりました。私の先輩は高...


「サプライチェーンマネジメント」の活用事例

もっと見る
人事評価と給与のしくみ 物流スタッフの評価(その1)

        物流スタッフの人事評価をどのように実施されているでしょうか。このような人事マターについてはじっくりと検討されていないかもしれません。...

        物流スタッフの人事評価をどのように実施されているでしょうか。このような人事マターについてはじっくりと検討されていないかもしれません。...


現場での立ち会議 物流問題の解決は3現主義で(その2)

       1. 3現主義の典型例  物流過程で起きた問題点は3現主義で解決していきましょう。物流上の問題点の例として物流品質不良が挙げられ...

       1. 3現主義の典型例  物流過程で起きた問題点は3現主義で解決していきましょう。物流上の問題点の例として物流品質不良が挙げられ...


倉庫や工場の安全パトロール 物流安全管理(その3)

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...

  ◆ リスクアセスメントを実施しよう  物流は公道における安全管理はすべてに先立ちやらなければならないことは当然ですが、それと同時に、...