【SDGs取り組み事例】「プラスチックの生涯設計」で持続可能な生産・消費社会目指す

一貫体制と高い技術力でプラスチックの魅力や価値を国内外に発信

本多プラス株式会社(愛知県新城市)

 

目次

1.「自ら考え」「自らつくり」「自ら売る」をモットーに新たな価値創出する提案型企業
2.サステナビリティを考慮した事業活動
3.「プラスチックはゴミではない」プラスチックの魅力を追求
4.ダイバーシティはじめ、4つの軸でSDGsにアプローチ
5.再生可能エネルギーの導入や社内インフラを整備、業務を“見える化”、職場環境にも変化が
6.環境配慮型材料:価値に対する海外と国内の大きなへだたり

1.「自ら考え」「自らつくり」「自ら売る」をモットーに新たな価値創出する提案型企業

セロファン製毛筆の鞘(さや=キャップ)などの製造・販売から始まり今年、設立から75年を迎えた本多プラス株式会社(愛知県新城市・本多孝充社長)では「ヒトのやらないコトをやる」を経営理念としています。たとえ、他の人があきらめてしまったことでも「自ら考え」、「自らつくり」、「自ら売る」をモットーとして、ブロー成形技術をコアに、パッケージのブランディング・デザイン、容器、その他の製造・販売を一貫して手掛けるクリエイティブプラスティック成形メーカーです。化粧品や文具、医薬品、食品など、同社から生み出される容器は多岐にわたり、誰もが一度は目にしたものばかりです。
創業地の愛知県新城市を中心に、全国各地に営業所や自社工場、ショールームやクリエイティブオフィス、そして海外にもフィールドを展開しております。一貫生産だからこそ可能な提案型企業として、プラスチック製品の魅力や価値を国内外に発信しながら活動をしています。

調味料容器と化粧水用ボトル

写真説明】携帯用ストラップ付の調味料容器㊧と頭皮用化粧水の容器。調味料容器は「日本パッケージデザイン大賞2011」で金賞受賞(同社提供)

2.サステナビリティを考慮した事業活動

環境問題解決(目標:12、13)にも取り組む同社では、ブロー成形で培った技術と捨てないためのデザインを追求。金型・成形技術・加飾技術にまで精通した同社デザイナーとの融合により、環境負荷を削減できるプロジェクトを提案しています。また同社では、プラスチックが長い生涯を送れるよう「プラスチックの生涯設計」を前提としたモノづくりに取り組んでいます。一つ目は、消費者の心を惹(ひ)きつけ、大切に長く使い続けたいと思って頂けるようなプロダクトづくり、二つ目は製品として使用した後も多用途として繰り返し使えるようなリユース設計、また廃棄プラスチックを使用したリサイクル製品、そして最後は、エネルギーとして燃焼するサーマルリサイクル[1]までの一連の流れです。プラスチックの生涯が少しでも長くなるよう、モノづくりの製造現場・流通・消費を含めたライフサイクル全体を通して、環境負荷を削減できるプロダクトづくりを実施しています。
またこれ以外にも、現在同社で最も注力している分野がインハウスリサイクルです。これは自社工場で生産され、合格基準に至らなかった製品やバリ[2]などを再粉砕し、異なる製品の材料として再利用するという廃棄プラスチックを出さない“完全循環型リサイクル”で「インハウスリサイクルプラスチック」は同社の登録商標になっています。
これはメカニカル・リサイクルと比べてもPETやPE(ポリエチレン)、PP(ポリプロピレン)など様々な材料で対応可能ということです。また、製品自体が汚れていないため、洗浄に膨大な水を使用することもなく、さらに粉砕や運搬で発生するCO2や運搬費の削減にも繋がります。また、インハウスリサイクルのため、原材料のグレードから出所といったトレーサビリティも明確になるため、品質や安全確保が可能になるというメリットがあります。

化粧品ボトルとミニ容器

写真説明】ブロー成型技術を生かした化粧品ボトル㊧やさまざまな形状でデザインされたミニサイズの容器(同)

3.「プラスチックはゴミではない」プラスチックの魅力を追求

昨今、海洋プラスチック汚染をはじめ、地球環境にとって「プラスチック=悪」といった風潮や安価な製品が浸透する中、同社では本多社長の「プラスチックはゴミではない」という考えの下、プラスチックの魅力や価値を世界に発信するプライベートブランドを展開。一つ目は、リサイクルプラスチックの美しさを追求するライフスタイルブランド「ame(アメ)」。アクセサリーやインテリア雑貨などのライフスタイル全般を一つひとつハンドメイドで販売しています。そして「カラッポ 容器 が主人公」をコンセプトに「捨てたくない」、「集めたい」、「使い続けたい」と思ってもらえるよう、暮らしに寄り添うアイテムを販売する「carappo(カラッポ)」を展開しています。この二つのプライベートブランドを通して、プラスチックという限りある資源を大切に、循環する社会を創(つく)る取り組みを行っております。これらブランドは直営店(港区北青山)や同社オンラインショップで販売されています。

ame(アメ)とcarappo(カラッポ)

写真説明】同社プライベートブランドの「ame(アメ)」㊧と「carappo(カラッポ)」(同)

4.ダイバーシティはじめ、4つの軸でSDGsにアプローチ

同社の本格的なSDGs(持続可能な開発目標)活動は2019(平成31・令和元)年からですが、10年ほど前から環境に配慮したモノづくりは行われておりました。また、古くから女性管理職登用の推進が進められるなど、ダイバーシティ(多様性:多様な人材の活躍を促す)な風土が出来上っていたことから、無理なくSDGsの方針に沿った取り組みを始めることができたそうです(現在、役員含め女性管理職は3人)。
そんな同社のSDGs主要テーマは「人権尊重」と「製造責任」、「地域貢献」、「事業継承」の4つです。
人権尊重(目標:5、8、10)…同社に就業する90人(8月1日現在)のベトナム人研修生に対し、日本語教育を行っています。また、研修生が食育など同国の文化を紹介、母国料理を振る舞う食事会が開かれるなど、相互理解の促進を図っています。このほか同社では、今期から「マネジメントアカデミー」と称したセミナー(公募制)を開始。社内外から講師を招き人材育成のための勉強会を行っているそうです。また、LGBT[3]といった、ジェンダー平等や障害者雇用も含め、ダイバーシティ推進のための取り組みが行われています。
製造責任(目標:12~15)…成形メーカーとして高品質な製品(サービス)を提供する一方、容器や部品など、一度使用された製品がその後も、長い人生を全う出来るような「プラスチックの生涯設計」を前提としたモノづくりが進められています。
地域(社会)貢献(目標3、11)…新城市の新城マラソンや新城ラリーなどへの協賛をはじめ、地元小学校の教師を対象としたSDGsに関連する講義や工場見学(生徒・学生)など、同市を中心に個人や自治体などと連携し、活動や支援に取り組んでいるということです。
事業継承(目標:8、9)…「下請けではなく、メーカーから企画・提案するクリエイティブ型企業」をテーマに、一貫体制構築のためデザイン部の創設はじめ、製品開発から金型製作までを行う「ブローラボ」(同市・2001年)の設立など、取り組んできた事業活動が評価され、これを基にセミナーや講演など幅広い活動を行っています。また、2017(平成29)年には、日本のアントレプレナー(起業家)を国際的なステージに輩出するアントレプレナー表彰制度「EYアントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2017ジャパン」日本大会で、本多社長がアクセラレーティング部門大賞とグローバル・エクスペリエンス・モナコ賞を同時受賞。ここでも、同社の提案型企業としての活動が高く評価されています。

写真説明】ベトナム人研修生との交流会のようす㊧とバングラデシュ研修生を対象に行われた工場見学(講師は本多社長・同社提供)

写真説明】新城市などが主催する「しんしろ企業展」で同社ブースを見学する中高生(同)

5.再生可能エネルギーの導入や社内インフラを整備し業務を“見える化”、職場環境にも変化が

同社では、省エネへの取り組みとして、昨年下期からシステム推進室を設けIT化を推進。Web会議システム導入により、人の移動時間を減らす取り組みを実施。また、今年3月には同社大宮工場屋上に太陽光発電パネルを設置。持続可能な環境負荷低減に向け、再生可能エネルギーの導入が行われています(年間予測発電量:227,209kWh、年間CO2削減量:110.9t -CO2・商用電力の排出係数・代替値 =0.000488。いずれも同社HPより)。
これまで「働きがいのある環境とは何か」など、漠然とした考えはあったという同社ですが、SDGsという目標が示され、業務の“見える化”などを取り入れた結果、日常業務をはじめ、職場環境や社員のモチベーションにも良い変化が表れたそうです。
まず、はじめに取り組んだのは、ペーパーレス化による現状業務の見える化(可視化)でした。このシステム(電子化)を取り入れたことで全部署の「ムリ・ムダ」な業務内容が把握でき、工数削減や適材適所に人事配置などが行えるようになり、社の方針に必要な取り組みに注力することが可能になったといいます。

同社ソーラーパネル

写真説明】同社大宮工場屋上に設けられた太陽光発電パネル(同)

現在、同社では「一日一善(改善)」制度を実施。社員が1日に1度、改善内容の報告や提案を行うものですが、これまで文書として扱ってきた報告・提案方式がデジタル化されたことで、小さな課題に対する改善内容も把握でき、公正で適正な評価に繋げることが可能になったといいます。
同社も「SDGsという具体的かつ、明確な目標があることで、売り上げや営業利益増といった目標だけでなく、人権や環境などを含めた広い視野で物事を意識し考えられるようになった」と話しています。

6.環境配慮型材料:価値に対する海外と国内の大きなへだたり

容器に対する海外と日本企業における品質基準の差異について「海外では、環境配慮型の材料であるかといった“価値”が評価される一方、国内ではたとえ、同材料の製品であっても不採用となるなど、まだ『日本品質』が求められてしまう傾向があるため、SDGsを視野に入れた社会風潮(評価基準)が実現すれば、環境にやさしい世の中になる」と話してくれました。
今後、同社ではインハウスリサイクルを推進し、将来的(2040年)には、CO2排出量の半減を達成目標にサステナブルな社会の発展を目指し、活動していくということです。

記事:産業革新研究所 編集部 深澤茂


記事中解説

[1]サーマルリサイクル…廃棄物(主にプラスチック)を焼却した際、発生する熱エネルギーを再利用するリサイクル手法。
[2]バリ…樹脂など加工する際、金型から樹脂がはみ出した(とげや出っ張りなど)不要な部分を指す。
[3]LGBT…レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、それぞれの英語の頭文字からとったセクシャルマイノリティの総称。


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